未曾有の被害をもたらした、かの東日本大震災から、1年が経ちました。この1年、日本中の人々ひとりひとりが、それぞれの立場で、悲しみ、苦しみ、迷い、被災地に思いを馳せ、犠牲になられた方々のことを悼み、そして互いに助け合ってきました。
桑田佳祐も震災直後から、一ミュージシャンとしてさまざまな形で震災への思いや、被害にあわれた方々への気持ちを表現してきました。そして特に、震災からちょうど半年後の9月10日、11日に行われた「宮城ライブ〜明日へのマーチ!!〜」は、震災後、遺体安置所として使用されていた「宮城県総合運動公園総合体育館:グランディ21」の音楽コンサート会場としての再開の機会となったばかりでなく、桑田自身の病気療養後初のライブコンサートでもあったため、まさに日本中に勇気と希望のメッセージを発信することができた、とても象徴的なものとなったのです。
その「宮城ライブ」から半年。そして、震災からちょうど1年。1年経った今も、被災地をはじめとして日本中の困難はいまだなお続いているといってよいでしょう。そんな状況の中、震災1年にあたり、3月10日桑田佳祐が再び「宮城ライブ」を開催した会場「グランディ21」を訪れました。改めて、復興への願いを込めて記念植樹を行ったのです。植えられたのは三本のソメイヨシノの木です。わが国を象徴する花のひとつであり、新たな始まりや命の息吹を感じる春の象徴でもある桜。「宮城ライブ」本編の最後に歌われた『Let’s try again』にもあるように、幾多の困難を乗り越えるべく、みんなで「新しい夜明けを信じて 今こそ立ち上が」った、あの宮城ライブでの気持ちを忘れず、これからも前を向いて歩いていこう、そんな気持ちをこめ皆の幸せを祈った植樹となりました。
そしてその日の夜は、自身のレギュラーラジオ番組「桑田佳祐のやさしい夜遊び」を仙台のDATE FMから生放送。仙台からの生放送は、昨年から通じて3回目。番組にも、震災1年に際して、さまざまな思いが綴られたメールが多数寄せられましたが、桑田はそのひとつひとつに真摯に、暖かい言葉で応えるとともに 「“もう一度やり直す”という気持ちを忘れちゃいけない」などと全国のリスナーに呼びかけ、さらに「仙台でまたライブをやりたいな」といううれしい発言も飛び出しました。
今回植えられた桜が、来春には、綺麗な花を咲かせることでしょう。そして、桜の木とともに、今後も音楽の聖地としてグランディ21が、ますます発展していくことをお祈りいたします。