2005年にリリースされ、CD5枚組というボリュームながら、8万セットを超えるセールスを記録した大ヒット作詞集『人間万葉歌』(全108曲収録)、追悼企画として2008年にリリースされた第二弾『続・人間万葉歌』(CD5枚組、全107曲収録)に続く、阿久悠作詞集シリーズの完結編『新・人間万葉歌』(CD3枚組、全57曲収録)が9月8日発売になります。
1人の作詞家の作品集が、音源の重複なしで第三弾まで発売されるのも、生涯5,000曲を超える詩を遺し、シングル総売り上げ6,800万枚超という不滅の大記録を持つ阿久悠さんならではのこと。その注目の収録内容は、次の通りです。
まず、CD1〜2は、「ぼくの愛しい歌」として、生前に自ら選んでいた歌を中心に構成されます。2002年、作詞家生活35周年を機に、オフィシャル・ウェブサイト「あんでぱんだん」に連載された『あまり売れなかったがなぜか愛しい歌』(河出書房新社より『なぜか売れなかったぼくの愛しい歌』として文庫化)選曲の50曲のうち、シリーズ前2作への既収録曲を除く、25曲を完全収録。シリーズ三部作を通じて、阿久さんの「愛しい歌」全曲が網羅されます。さらに、連載後に発売され、阿久悠さんのラストメッセージが凝縮されている2000年代の代表曲も、今回初めてまとめられました。
「愛しい歌」のエッセーの中で阿久さんは、「評価されなかったものを見つめてみるのも、意味あることかなと思い」連載を始めることにした、と語っています。「資料が手許にないと諦めていたのに、書斎の物入れをひっかきまわしていたら、懐かしいEP盤のレコードが何百枚か出てきて、その中にこれもあった。それで書く気にもなった。あらためて、ドーナツ盤のレコードをターンテーブルにのせて聴いてみると、これがいいのである。♪せ し する する すれ せよ……これで歌になるかと思えるがなるのである。文章だけでなく音も聴かせたくなるが、それは今は仕方がない。」(第6回「愛は心のフルコース」唄:SHOTGUN 作曲:筒美京平/TBS水曜劇場『熱愛一家・LOVE』主題歌)
連載時からウェブサイト「あんでぱんだん」を管理運営し、制作協力した阿久悠さんの子息・深田太郎さんは、「聴き返してみて、なぜヒットしなかったんだろうと思う曲がいっぱいありますね。『愛は心のフルコース』(SHOTGUN)など、何曲かはぼくがリクエストして書いてもらいました。今回、『人間万葉歌』シリーズとしてまとまったことは、父も喜んでくれていると思います。」と感慨深く話しています。
そして、CD 3は、前作で大好評だった「阿久悠トリビュート」のパート2。前回同様、新旧織り交ぜた19曲のカバー作品が集められていますが、中でも、今作のために録音された「モンスター/UA」(オリジナル歌唱:ピンク・レディー)、「きりきり舞い/やくしまるえつこ」(オリジナル歌唱:山本リンダ)、「花のように鳥のように/前野健太」(オリジナル歌唱:桂銀淑)の3曲が聴きどころ。他にも、「ペッパー警部/石川さゆり」(オリジナル歌唱:ピンク・レディー)、「熱き心に/森進一」(オリジナル歌唱:小林旭)など、ベテランによる貴重なカバー録音も堪能できます。
『人間万葉歌』(通称:青盤)、『続・人間万葉歌』(通称:赤盤)という2つのヒット曲集と比較すると、今回の第三弾は、まさに、阿久悠の“ホワイト・アルバム”。多種多様な“愛しい歌”と新たなトリビュート盤を聴いてみれば、“怪物(モンスター)”作詞家の違った表情が見えてくるでしょう。
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■阿久悠オフィシャル・ウェブサイト「あんでぱんだん」