元宝塚歌劇団、月組男役トップスターの龍真咲が11月11日、東京・有楽町の東京国際フォーラム ホールCで行われたエンターテインメント・ショー「One Night Dream」にスペシャルゲストとして出演し、ジャズセッションに挑戦した。
日本で初めてデューク・エリントン・オーケストラと共演した玉野和紀が構成・演出・振付・出演する歌、ダンス、タップ満載の一夜限りの豪華なショーで、川平慈英、歌手のシルビア・グラブ、バイオリニストの寺井尚子らとの競演。当初、夜公演のみだったが、完売したため、昼夜公演となった。
8月23日発売のアルバム「L.O.T.C 2017」でメジャーデビューした龍にとっては、念願のビッグバンドとのジャズセッション。羽毛田耕士&スーパー・コラボ・ビッグバンド、約20人のダンサーを従え、アルバムのリード曲でジャズテイストの「Silly game」を色っぽく歌い上げた。
「一番大事な曲です。今回振り付けをしてくれたのはコンサートやディナーショーを担当してくれた元宝塚の隼海惺ちゃん。長い付き合いの中、一緒に場面を作れたのはうれしかった。ワンナイトだったはずが、公演が追加されて、昼夜2公演、ビッグバンドと競演できて、いい刺激になりました」と声を弾ませた。
右肩が開いたセクシーな黒のドレスで登場し、計6回衣装替え。エラ・フィッツジェラルドの名曲「ナイト・アンド・デイ」をのびやかに歌い、トニー・ベネット&レディー・ガガが歌った「チーク・トゥ・チーク」ではシンガーソングライターの川島ケイジと息の合ったデュエットも聞かせた。ほかにも、「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」、ゲスト総出となったガーシュウィンのスタンダード曲「アイ・ガット・リズム」、「キャバレー」の日本語版と多彩に表現した。トークタイムでは「東大阪市出身の龍真咲です。オフの日は12時間寝ています」と笑いも誘いつつ、「やっと緊張が解けたのに、終わってしまうのが悔しい」と充実の表情を見せていた。
人気ミュージカル「1789 ―バスティーユの恋人たち―」(来年4月9日、帝劇で開幕)の演出家、小池修一郎さんからは以前より、「龍にはジャズに挑戦してほしい」という声があった。「初めて、その言葉の意味が分かりました。ジャズの重み、深みを感じました。今後、歌い続ける中、ジャズのリズム感は大事。ジャズはいろんなジャンルにつながっている原点なんだなと改めて思いました」と話した。
今後も歌手活動が続く。
12月9日には「めざましクラシックス in Hyogo」(兵庫県立芸術文化センター 大ホール)に出演。「宝塚を退団して、再びお膝元に帰ってきましたということをメインにやらせていただきます」と龍。
12月18日の誕生日には東京・丸の内のコットンクラブでファンクラブ限定ライブも行う。「この1年の集大成。今回はピアノ一本で、シンプルなウソがつけないステージ。最前列の方との距離は1メートルくらいなので、血が通っている、息遣いを感じていただけます。私を応援してくださった方が楽しんでいただけるような、こだわりライブを見せたいです。記念の日をみなさんと過ごせるというのは、とても幸せなことです」と心待ちにした。
photo© 平賀正明