BREAKERZが今年7月に迎えるデビュー10周年に向けて、1月21日のZepp Nambaより開幕した「BREAKERZ 10周年 10番勝負 -VS-」。全10公演、1公演ごとにそれぞれ違うアーティストを迎えて行われるこのイベント・ライブは、“10番勝負”という名の下に、BREAKERZがリスペクトしているアーティストと熱いバトルを交わす対バン形式のライブだ。
1月21日より始まったこの対バンバトルも早や第3戦目、GRANRODEO、SKY-HIに続いて今宵の相手は強豪シドの登場だ。今年1月、シングル「硝子の瞳」をリリース、5月には日本武道館2DAYSも控えている中でのタイムリーな参戦、抜かりなきベストマッチなコラボライブになること間違いなし。会場はイベント初日と同じくZepp Nambaに再び舞い戻っての大阪。一夜限りのガチンコ勝負いざ行かん。
まず、先手はシド。 耽美的なエレクトロ・ビートのSEに導かれてメンバーが登場するや、超満員99%以上女子の視線が一斉にステージに吸い寄せられる。オープニングは、まさにBREAKERZのデビュー10周年を祝福するのにピッタリなナンバー「ANNIVERSARY」。軽快なナンバーに乗せて、Vo.マオの「歌ってみる?」の一言で最初から会場全員がシンガロング。両手を振りかざし、ド頭からすでにID-S(※シドのオフィシャルファンクラブ)もTEAM BREAKERZ(※BREAKERZファンの呼称)も分け隔てなくバンドを応援するその光景が美しい。続いての「V.I.P」はまさにVIP対応!? で呼ばれたゲストに相応しいベテランならではの演奏力を聴かせ、続けざまにビート感溢れる「Dear Tokyo」で再びサビメロの大合唱が起これば、そこはもうシド独壇場の世界に会場が魅きこまれた瞬間だった。
「約2年振りの大阪ライブ〜 みんな最後まで楽しんでください。新曲です」
1月にリリースされたばかりの最新シングル曲「硝子の瞳」。じっと聞き入ってしまうメロディアスなナンバー。続いてメジャー1stシングルの「モノクロのキス」でアーティスティックな世界観をしっかりと構築。確かな演奏力と楽曲の構成力は、シドの築いてきたヒストリーを見せつけた。
2度目のMC、BREAKERZとの楽屋話を披露して和ませた後に「今日は懐かしい曲や珍しいバラードもやっていきます」
アコースティックで叙情的なバラードは「hug」。続いて、会場からどよめきが起こった「空の便箋、空への手紙」。それもそのはず、この曲はインディーズ1stAL「憐哀-レンアイ-」収録曲。タンゴ調の耽美的なナンバーはこれもまたシドの音楽観を深く刻みつけて静かに終わった。
そうかと思えば3度目のMCにて「いよいよ後半戦ですよ〜」と再びオーディエンスを焦らせての新曲「チイサナツバサ」そして「もうあと2〜3ヶ月したら夏だよ」と心地よいグルーブで後半戦を盛り上げていく「夏恋」。さらにスカ・ビートを取り入れた色気溢れる「妄想日記」、ラストは黒っぽいリズムがじわっと熱量を上げさせる「眩暈」。バンドの音楽性の幅広さと世界観の深さを届けた。歓声の中、何度も「ありがとう」を繰り返しながらステージを去って行くマオの姿が印象的だった。
そう言えば、本日対バンのシド、DAIGOがしきりに言っていた「同じ時代を駆け抜けた同期の仲間、戦友であり同志」といったそのバンド同志の絆は、本当にライブの随所で見られ、今日という日が特別であることを印象付けていた。
ライブ中盤では、DAIGOがシドの曲の1フレーズを歌い、その流れから幻の曲として語り継がれていた伝説的な「ヒトリジメ」でのコラボが再び実現(※筆者注:この曲は2014年日本武道館で行われたシド主催イベント「Collabo BANG!」にDAIGOがソロ出演した際に演奏した一夜限りのコラボ曲。作詞:マオ、作曲:DAIGO)、さらにアンコールのセッションでは、シド曲の「嘘」とBREAKERZの1stシングル「SUMMER PARTY」を2バンド全員プレイで披露。ステージ上にWドラム&ベース&ボーカル+トリプルギターの総勢9人が集まって演奏する姿の豪華さ。エンディングではお立ち台ギリギリまでメンバーが寄り添って乗っているという仲睦まじさ、これはもうバトルというよりは男子会、という楽しさに溢れていた。
お互いのバンドがブレイクする前から知り合いで、共にこの厳しい音楽業界で10年サバイブしてきたからこその濃密な連帯感、それを情熱的なオーディエンスと共に分かち合った、まさにスペシャルな一夜だった。
さぁ、まだまだ続く「BREAKERZ 10周年10番勝負 -VS-」第4戦目は、3月5日(日)MY FIRST STORYとZepp Nagoyaにて。まだまだ予測不能、ブッ壊されるライブに期待したい。