2009年12月24日に急逝したフジファブリックのボーカル/ギター、志村正彦(享年29歳)とのお別れの会「志村會(しむらかい)」が、2010年1月21日(木)、中野サンプラザ(東京都中野区)にて執り行われ、平日開催にもかかわらず、総勢15,000人に及ぶファンが絶え間なく参列して故人を偲んだ。
志村が生前開いていた飲み會の名前に由来して名付けられた「志村會」は、志村正彦にお別れの献花をする場として設けられた。中野サンプラザが会場に選ばれた背景には、志村がデビュー以前に中野でアルバイトの傍ら、いつの日かこのステージに立つことを夢見て努力を重ね、その目標を叶えた思い入れのあるホールであるといういきさつがある。
ステージ上の献花台には、志村の出身地(山梨県富士吉田市)、およびバンド名「フジファブリック」にもゆかりのある富士山が、白のストックと青いデルフィニュームなど約1500本規模の生花により描かれ、その上に赤いギターが造花で象られた。ステージ上には志村が愛用していたギター7本、アンプ6台が並べられ、両脇には参列者からのメッセージカードを受け付けるためのギターケースが開かれた状態で配置。ホール外のロビーエリアには、マイクスタンド、ギター、アンプ、エフェクターなどがライブ時のセッティングのままに再現され、生前好んでいたタバコやアイスコーヒーなどが思い出の品として展示された。足元には、志村にとって最後のライブとなった2009年12月13日Zepp Tokyoでのイベント出演時のセットリストも貼り付けられていた。
「志村會」は昼の部(12時〜15時)と夜の部(17時〜20時)の二部制にて開催され、昼の部の冒頭にフジファブリック メンバーの金澤ダイスケ(Key)、加藤慎一(B)、山内総一郎(G)がまず献花を行う形で幕を開けた。参列者は思い思いの花を手に、会場にて渡されたメッセージカードに志村へのメッセージを綴り、献花台まで長い列を作った。会場では山内総一郎を中心とするメンバーが選曲したというフジファブリックの楽曲が響き渡り、参列者の涙を誘った。献花を終えた参列者には、この日のために作られたという志村の写真入りのポストカードと「志村會」チケットが手渡された。夜の部の入場は20時までとなっていたが、全国から駆けつけた多数のファンが溢れかえって敷地内に収まりきれない程の長蛇の列を作り、届けたい思いのただならぬ強さを物語っていた。
尚、フジファブリックの今後の活動詳細については未定ながら、メンバー3名は音楽活動を続けていくことと、7月17日(土)に富士急ハイランド・コニファーフォレストにて既に開催が発表されていたフジファブリックプリゼンツのイベント「フジフジ富士Q」は何らかの形で開催できるように準備中との情報が発表されている。
以下、フジファブリックメンバーから「志村會」に際してのコメント
金澤ダイスケ (Key)
月日の過ぎるのは早いもので、まもなく一ヶ月が経とうとしています。
今は現実と向き合い、受け入れていく時だと思っています。
僕達は7月に行われるライブを実現されるべく、それに向けての話し合いをしています。
志村會は僕達を含めみんなにとって区切りの、思い出の、転機の、そしてありがとうを伝える日になればと思っています。
加藤慎一 (B)
未だ気持ちの整理がつかずですが、過ぎて行く日々の中、前を向いて歩き出さなければいけない気持ちはあります。
フジファブリックとして出来る事があると思うので何かしら形にしていきたいです。
山内総一郎 (G)
ファンの方々や関係者の方々、一人一人いろいろな想いがあると思います。
今は音楽を続けていくということでしか表せないです。彼とはまだまだいっしょに音楽を作りたかったし、いっしょにギターを弾きたかったです。
<関連情報>
・フジファブリック公式サイト