思い出は枯れないお花のように心の中にずっと残っている
──ニューシングル「きみのうた」は、美しいピアノで始まる静かな歌い出しからドラマチックに盛り上がる壮大なバラードです。かけがえのない人との別れを歌った失恋ソングでありながら未来への希望を感じられる歌詞と、アルバム『Will』、『PRISM』を聴いた時の印象とはまた違った魅力を放つ歌声に、とても心を揺さぶられました。
ありがとうございます。「きみのうた」は、私の実体験をモチーフにして、亡くなった祖父や昔好きだった人など、これまでに経験した大切な人との別れを思い出しながら作詞をして、想いを込めて歌いました。別れイコール悲しい、辛いというマイナスな部分だけではなく、そこから新しい一歩を踏み出す勇気もクローズアップしたいなと考えて書いたので、悲しみを乗り越えた先に光がきっとあるという事を感じて貰えて嬉しいです。
──「別れ」というテーマはどのように決まったのでしょうか?
アニメ『夏目友人帳 陸』のエンディングテーマのお話しを頂いて制作が始まりました。『夏目友人帳』は、主人公の夏目貴志が、祖母から受け継いだ友人帳に縛られた妖怪に名前を返す役割を担っています。強さと弱さを持ち合わせた、とても人間らしい主人公で、様々な妖怪や人間と出会い、助けられながら、別れを乗り越えて行っているように感じました。それで「別れ」をテーマに歌いたいと思ったんです。楽曲もバラードソングに決まり、曲が出来上がって歌詞を書き始めたんですが、作詞をしている間は毎晩、もう会う事の出来ない大切な人たちが夢に出てくるようになって。会話をしている訳でもなく、ただ笑顔で私を見つめてくれているんです。すごく不思議な体験でしたね。そういう事が何日も続いたので、「何か伝えに来てくれているのかな?」と思って、夢で見た事を歌詞に書いたところもあります。今回は歌詞が書き上がるまで毎日スーパー考えていたから、自分でも無意識のうちに大切な人たちの事を思い出していたのかもしれませんね。
──「君の歌を君がいない街」、「駅のホームの景色」、「キミが好きだった赤いベンチ」という歌詞も、具体的な場所をイメージされて書いたんですか?
それぞれ実在する思い出の場所です。「赤いベンチ」は、歳を重ねて街の風景がドンドン変わって行っても当時のままですね。大切な人との思い出の場所は誰にでもあると思います。ただ、会えなくなった後に訪れるのは辛い気持ちにもなりますよね。その場所であった出来事を思い出して、いかに自分にとって大きな存在だったかとかと感傷的な気持ちにもなるでしょうし。でも、思い出の中に生き続ける人たちは、私が泣いたり悲しんでいるのを、きっと望んでいないように思うんです。ハッピーに前向きに歩いている姿を見たいと思っていると私は信じています。だから、別れの悲しさを何とか乗り越えて、新しい一歩を踏み出そうという想いを伝えたかったんです。
──また、心に刻まれた大切な思い出を表した「夢のなか 枯れない 花」という最後の歌詞が、とても心に残ります。
このフレーズがキーポイントになっているんじゃないかなと思います。大切な人たちとの思い出は鮮明なまま、枯れないお花のように心の中にずっと残っていると思ったんです。私は作詞をする前に、一度記憶を鮮明に思い出さないと歌詞を書けないんです。「きみのうた」の作詞をして、忘れていた気持ちや思い出の風景、その時の匂いや音を鮮明に思い出す事が出来て、私自身、気持ちの整理が付いた1曲になっているのかもしれません。心に閉じ込めていた想いを書き出す事によって気持ちも楽になりましたね。『夏目友人帳 陸』の放送が始まって、楽曲を聴いてくださった方々から、「歌詞に共感します」、「曲を聴いて頑張ってみようと思いました」という感想を頂いていて、とても嬉しかったです。「きみのうた」を書いて良かったなと思います。
歌っていると思い出の中の大切な人たちが心に思い浮かぶんです
──今回のレコーディングはいかがでしたか?
これまでとは違う歌に仕上げたくて、いつも以上にどう歌おうかを考えましたが、少し抑え気味に歌い出して、こらえられずに感情が溢れ出すような歌い方がいいのかなと。それで、今はもう居ない遠い存在に向けて歌い上げるというよりも、大切な人があたかも隣に居るかのように、ささやくようなイメージで歌いました。ライブでも大勢の人に「何処までも届け!」と歌うのではなく、観客の1人1人に届けるように歌いたいと思っています。ライブが楽しみです。
──ささやくようなイメージで歌うのは大変でしたか?
こう歌うと決めて集中したら意外に歌えるタイプかもしれないです。私は1つのストーリーを気持ちが途切れる事なく歌いたいから、レコーディングでは1曲を最初から最後まで通して歌います。そのほうが良い歌になると思うんです。曲の途中でレコーディングを止めてしまうと気持ちがすっと途切れてしまう事もあるから、ものすごく集中します。特に今回のようなバラードは気持ちを途切れさせたくなくて、歌詞のモチーフとなった出来事や景色を思い浮かべながら歌いました。ミュージックビデオでも、最後のサビで自然と涙が流れてきてしまいました。この曲を歌っていると思い出の中の大切な人たちが、今もそこに居るかのように心に思い浮かぶんです。それで感情が込み上げて来て、リハーサルから何回も涙が溢れましたね。それぐらい、歌詞の1つ1つの言葉が私自身の思い出をリアルに表しています。
──「きみのうた」に「何故これ程まで心を揺さぶられるのか!?」という謎が少し解けたような気がします。
歌い方が全てではなく、実体験をモチーフにした自分の言葉で歌っていますし、様々な要因が幾重にも積み重なって「きみのうた」になったのかなと思います。
──ところで、安田さんは最近ピアノの練習を始められたそうですが、「きみのうた」と関係がありますか?
あまり関係無いです(笑)。今とても制作意欲が湧いていて「曲を作りたい!」と思って、とりあえず「ピアノを買ってみよう!」と(笑)。私は小さい頃から即興で歌うのが大好きで、例えばムシャクシャしていたらその気持ちを吐き出すようにムシャクシャソングを歌ったりしていました(笑)。そうして精神のバランスを取っているところもありますけど、即興で歌う時にピアノの音があったら更に楽曲らしくなるかなと思ってピアノを買ったんです。まだ始めたばかりなのでスグには無理でも、いずれは私が作った曲に歌詞を書いたり、ライブで演奏を披露できるようになりたいですね。
──「きみのうた」の弾き語りを考えているのかと思いました。
いつかサプライズで突然披露するかもしれませんし、楽しみに待っていてください。例えば、いきなりライブ会場が真っ暗になって客席がざわつく中、私にスポットライトが当たって優雅にピアノを弾き出すみたいな(笑)。
ミュージックビデオは号泣必至の大作ショートムービー
──ミュージックビデオは11分にもおよぶ大作のショートムービーです。
不慮の事故で亡くなった彼氏が、主人公の女性の前に突然現れるところから物語は始まります。レンズ付きフィルムの「写ルンです」がキーアイテムになっていて、全部の写真を撮り終えたら彼は今度こそ本当に主人公の前から消えてしまうんです。自分だったらどうするか?深く考えさせられるストーリーになっています。監督さんが私の気持ちを汲んでくださって、さっきお話ししした夢とリンクしているシーンや、歌詞から考えてくれたセリフがあります。1つ1つのシーンがリアルですし、私の気持ちがそのまま表れているので、初めて観た時は涙を抑える事が出来ませんでした。
──主人公を演じる長沢 裕さん、その彼氏役の渡邉 剣さんの演技にも惹き込まれます。
お二人の素敵な演技に本当に魅せられます。長沢さんが最後の1枚を撮った瞬間、全ての音が止まって号泣するシーンが大好きです。長沢さんは初演技だったそうですが、見事な演技力に吸い込まれました。
──彼の前でカメラを投げ捨てるシーンもグッときます。
「こんなカメラが無かったら…」と思いますよね。でも、現実に彼は亡くなっている訳ですし、今のままでは前に進めないから最後の1枚を撮る。それで、最後のワンシーンがこの曲に託した未来への希望を表してくれていています。かけがえのない人を失った喪失感や悲しみだけではなく、その人と出会えた事への感謝や未来への希望に繋がるのが、この曲らしさなのかなと思います。
──安田さんが主人公の立場になったら最後の1枚を撮りますか?
最後の1枚を撮ったら彼が消え去ってしまうと考えると、とても辛いし勇気がいりますよね。それでも、残された人が新たな1歩を踏み出して行かなければいけないのが人生だと思うから、私は最後の1枚を撮りますね。思い出の中に生き続ける人たちのためにも、どこかで気持ちの整理を付けて、前を向いて自分の人生を生きて行こうとするでしょうね。きっと、その人たちは心の中で見守ってくれると思うし、独りではないと思うと不思議なパワーが湧いてくるような気がします。
──ミュージックビデオは、安田さんのオフィシャルYouTubeチャンネルで公開されていますが、反響はどうですか?
「涙が止まりません!」という嬉しい感想を沢山頂いています。通学、通勤途中にスマホで観て、「バス停に並んでいる時に観ていたら大号泣してしまいました」とか、「こんなに泣くとは思わなかったから家に帰るまで待てば良かった」という声もありました。素敵なミュージックビデオを制作して頂いて本当に感謝しています。沢山の方に是非観て頂きたいです。
──「涙活」にもオススメです。
涙を流すのは恥ずかしい事ではなくて、誰にでもある人間らしさのように思います。私は人に相談するのが得意では無くて、ストレートに悩みを話せなかったりするんですよね。それで気分がモヤモヤしたり、上手く行かなくて悔しい想いをした時に、音楽や映画の力を借りて涙を流して気持ちの整理を付ける事があります。涙と一緒に心のモヤモヤがさーっと流れ落ちて行く感じがして、気持ちが落ち着きますね。ミュージックビデオでも感情が溢れ出てしまいましたけど、涙を流した事で100%では無くても気持ちの整理が付いて、最後は少し前向きな表情になっていると思います。
「自分にはこれしかない!」という夢があるなら
──カップリングの「up to ME」はビートの効いたアップテンポのナンバーです。自身のツイッターに「ヤバい曲できたよ/踊れるよ/横ノリLIKEワカメな曲できたよ」と書かれていたのはこの曲ですか?
そうです(笑)。面と向かって読まれると恥ずかしいですね(笑)。
──「LIKEワカメ」という独特の例えは、どういう所から発想されたんですか?
そんなに深く考えた訳ではなくて(笑)。(リズムを取りながら首を左右に動かし)こういう感じにリズムに合わせて横ノリするのが好きなんです。
──その横ノリをワカメに例えたんですね(笑)。「up to ME」もご自身が作詞をされています。
「up to ME」を直訳すると「自分次第」という意味です。時代や流行の変化が凄まじくて自分がどうすればいいのか迷っている人や、大人に気を遣い過ぎて思った事を言えなかったり、やりたい事を我慢してしまっている人が居るように思います。私は幼い頃から歌手になりたくて、反対される事も多かったのですが自分の夢を信じてここまでやってきました。大人は大変な世界である事を知っているから当然反対しますよね。そういう意味では誰かを裏切る事になるかもしれません。でも、私は「自分自身の人生なのに何故人の言う事を聞かなければならないんだろう?」と思っていました。だから、「自分を信じてあげようよ」と言いたいし、「自分にはこれしかない!」という夢があるなら「まずはその世界に飛び込んでみようよ」と伝えたいです。そして一人前になる覚悟を持って努力をして経験も積んで、その頑張る姿を認めて貰えばいいのではないでしょうか。怖がらないで欲しいです。私自身がそうやって来ましたし、そういうメッセージを込めて歌詞を書きました。
──2017年最初のシングルであり、さらに安田さんが年女という事もあり、歌詞は今後の決意表明のようにも思いました。
歌詞を書いている時に、そういう気持ちもあったかもしれないです。今回の「きみのうた」、「up to ME」の作詞にあたって、自分自身をさらけだしてみようと思いました。そうして歌詞を書く事に恥ずかしい気持ちもありましたけど、皆さんから「きみのうた」に温かい言葉や素敵な感想を頂いて、これからも内に秘めていた想いを歌って行きたいと思います。そのスタートとなったのが今回のシングルかなと思いますね。
──両A面でも納得できる質の高い2曲です。そして、リリース後は、5月30日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで「Singin’ In The Moonligh」、7月27日に「OTODAMA SEA STUDIO 2017 SWEET SUMMER」とイベントライブがあります。また、7月2日には、名古屋ブルーノートでワンマンライブ「4th Anniversary Live」の開催が決定しています。昨年の大晦日にアップされたブログでは、「2017年はライブをいっぱいする予定」と書かれていました。
あのブログを書いていた時は100本を目標に考えていましたね(笑)。ライブで歌いたいという気持ちは常に変わらずあります。
──同時に、年女となる2017年は「ニワトリが大空を羽ばたくくらいの、大きな奇跡を起こしたいと思います!」とも綴られていましたが、今後の抱負、目標をお聞かせいただけますでしょうか?
作詞だけではなく作曲も出来るようになりたいです。ファッションの面でも音楽とのコラボレーションで何かを作れたらいいなと思っていますね。また、4月から毎週1時間生放送のラジオ番組でパーソナリティを担当させて頂いています。
──TOKYO-FM系列で毎週土曜に放送中の「JA全農COUNTDOWN JAPAN」ですね。
番組には多彩なジャンルのゲストに来て頂いているのですが、そこでお会いした方々から刺激を受けて、これからきっと私の歌にも影響するような気がしています。また新たな一面を見せられるようにシンガーとしてより成長して、これからも皆さんに歌を届けて行きたいです。
1. きみのうた
2. up to ME
3. きみのうた -Instrumental-
〈期間生産限定盤 CD〉
1. きみのうた
2. up to ME
3. きみのうた -TVアニメサイズ-
【CD情報】
[通常盤 CD]
シングル
発売:2017.05.24
SECL-2161
SMEレコーズ
1,111(税抜)
CD購入
[期間生産限定盤 CD]
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発売:2017.05.24
SECL-2162
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1,204(税抜)
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Singin’ In The Moonlight Vol.2
【日程】 5月30日(火)
【時間】 開場18:30 / 開演19:00
【会場】 Shibuya duo MUSIC EXCHANGE
【出演】 南波志帆 / 安田レイ / 上野優華 / 南壽あさ子
チケット予約:shibuya duo MUSIC EXCHANGE
http://www.duomusicexchange.com/
安田レイ ライブ@名古屋ブルーノート
【日程】 7月2日(日)
【時間】
・1stステージ:開場16:00 / 開演17:00
・2ndステージ:開場19:00 / 開演20:00
【会場】 名古屋ブルーノート (名古屋市中区錦3-22-20 ダイテックサカエ B2F)
チケット予約:名古屋ブルーノート
http://www.nagoya-bluenote.com
OTODAMA SEA STUDIO 2017 SWEET SUMMER
【日程】 2017年7月27日(木)
【時間】 開場15:00 / 開演15:30
【会場】 OTODAMA SEA STUDIO (神奈川県三浦市 「三浦海岸」交差点すぐ)
【出演】 出演:河西智美 / GIRL FRIEND / MAY’S / メロディー・チューバック / 安田レイ and more…
■一般発売日:5月27日(土) 10:00~
・楽天チケット http://r-t.jp/otodama-beach
・チケットぴあ 0570-02-9999 (Pコード:561-272) http://t.pia.jp/
・ローソンチケット 0570-084-003 (Lコード:72447) http://l-tike.com/
・イープラス http://eplus.jp/
■お問い合わせ:OTODAMA 運営事務局 03-6421-7735
(平日 10:00-19:00 / 開催期間中 11:00-18:00)
※最新のライブ情報はOfficial HPをご確認下さい。
http://www.yasudarei.net/
1993年4月15日、アメリカ・ノースカロライナ州生まれ。3歳で日本へ。10歳の頃、母親が聴いていた宇多田ヒカルに衝撃を受けてシンガーを志す。13歳で元気ロケッツのオーディションに合格し、ヴォーカリストとしての才能を開花させる。20歳を迎えた2013年、「自身の歌声をもっともっとたくさんの人々の心に直接届けたい」という強い想いを胸に、ソロシンガーとしてデビュー。
2013年7月、デビューシングル「Best of my Love」リリース。その後も、ドラマやテレビアニメ主題歌、CMタイアップ曲など話題の楽曲を次々とリリース。2015年11月にリリースした「あしたいろ」は、TBS系火曜ドラマ『結婚式の前日に』主題歌として、共感を呼び、有線11月度月間お問い合わせチャート1位獲得。その年の活躍が認められ、「第57回輝く!日本レコード大賞」では新人賞を受賞した。
またデビュー以来、東京ガールズコレクション、GIRLS AWARD、関西コレクション、など数々のファッションイベントにも出演しており、音楽×ファッションの架け橋として今後さらなる活躍が期待されている。
2017年5月には9枚目のシングル「きみのうた」をリリースする。