60年代後半から約半世紀にわたり日本の音楽界に偉大な足跡を残し、2020年10月7日、80歳で逝去した作曲家・筒美京平。そのキャリア初期にあたる1971年から1974年に発表されながら眠っていたお宝音源をまとめたコンピレーションCD『筒美京平 アーカイブス 4』が11月16日に発売された。
本作は昨年7月21日にリリースされた『筒美京平 アーカイブス 1』、今年3月23日リリースされた『筒美京平 アーカイブス 2』、7月27日にリリースされた『筒美京平 アーカイブス 3』に続く第4弾。毎回ファン垂涎の希少音源を網羅した内容の濃さが好評を博し、続編となる企画が実現した。今回はバーバラ・ホール、亜木ジュン子、大橋恵子、青木リカ、ザ・ディメンション、藤島新、福沢良、平浩二、青江三奈らの楽曲全26曲を収録。うち20曲が初CD化で、これまでの筒美京平作品集とは重複なく選曲されている。これまでCD化されなかったマニアックな音源ではあるが、いずれもさすがは筒美京平と唸らされるクオリティの高い楽曲ばかりなのは言うまでもない。今まで聴ける機会が少なかった隠れた名曲たちをたっぷり堪能できるコンピレーションをぜひチェックしてほしい。
因みにこのCDはソニーミュージックショップのオーダーメイドファクトリーでの販売となる。
◇アーティストからのコメント
大橋惠子
一昨年は「花びらは恋する女/愛のわかれ」を、復刻版としてアナログ発売して頂きまして、有り難うございました。又、この度はこの2曲が初CD化されるという事で、大変有り難く嬉しく思います。全日本歌謡選手権第11代チャンピオン(第10代チャンピオンは五木ひろしさん)になり、宇崎竜童さんの曲でCBS・ソニーからデビューさせて頂きました。そして、3枚目のシングル「花びらは恋する女/愛のわかれ」の後、一身上の都合で引退しましたが、10年前よりカムバックして、現在も歌手活動をしています。今、昭和歌謡が世界的にも注目されているようですが、私の曲も世界に、又、筒美京平先生に届くよう頑張りたいと思います。是非皆様、当時の私の音源の歌声を聴いて頂けましたら幸いです。
藤島新
大学卒業後、渋谷のジャン・ジャンで歌うようになり、その後、NHKの番組「ステージ101」のレギュラーメンバーになりました。そして初めてレコーディングしたのが筒美京平さんの「愛にさよならはない」です。何しろジャン・ジャンと言えばシャンソンの聖地みたいなライブハウスでしたから、京平さんは私の歌い方が硬い(または今っぽくない)と思われていたのではないでしょうか。と言うのも私に野口五郎さんの「青いリンゴ」を聴かせたからです。これはとても印象に残ってる出来事でした。後に知った話ですが、野口さんが演歌からポップスへ路線を変えアイドルになっていく画期的な歌だったようです。その後、ピーカブーというグループを結成した後も、3枚のシングルレコードのAB面、アルバムの曲2曲、合わせて8曲を作曲してくれました。しかも、いい曲ばかり。売り出し中のアイドルじゃないのにも関わらずです。これは例外的なことではないのか、と今更ながらに思います。
筒美京平 アーカイブス 4
■発売日:2023年11月16日
■リリース形態:26曲入り、1枚組CD
■価格:3,300円(税込)
ウェブサイト
https://www.110107.com/tsutsumi_top10hits
収録曲
01.絵はがき/バーバラ・ホール(1973)
作詞:安井かずみ 編曲:筒美京平
02.待ちぼうけ/バーバラ・ホール(1973)*
作詞:安井かずみ 編曲:筒美京平
03.さよならの街角/亜木ジュン子(1972)*
作詞:橋本 淳 編曲:高田 弘
04.ふたりは永遠に/亜木ジュン子(1972)*
作詞:橋本 淳 編曲:高田 弘
05.小さな駅/中島まゆこ(1972)
作詞:林 春生 編曲:青木 望
06.ひみつの恋/中島まゆこ(1972)
作詞:林 春生 編曲:筒美京平
07.花びらは恋する女/大橋恵子(1972)*
作詞:橋本 淳 編曲:筒美京平
08.愛のわかれ/大橋恵子(1972)*
作詞:橋本 淳 編曲:青木 望
09.混血児リカ/青木リカ(1972)*
作詞:橋本 淳 編曲:筒美京平
10.リカ・マイガール/青木リカ(1972)
作詞:橋本 淳 編曲:筒美京平
11.この素晴らしい愛を/ザ・ディメンション(1973)*
作詞:エベリン正木 鳥井 実(補) 編曲:筒美京平
12.夏のめぐり逢い/ザ・ディメンション(1973)*
作詞:エベリン正木 鳥井 実(補) 編曲:筒美京平
13.真夏の愛/フォーリーブス(1972)
作詞:北 公次 編曲:筒美京平
14.街はずれの家/井上順之(1971)*
作詞:山上路夫 編曲:筒美京平
15.朝な夕なに/青山一也(1972)*
作詞:阿久 悠 編曲:筒美京平
16.愛にさよならはない/藤島新(1972)*
作詞:なかにし礼 編曲:筒美京平
17.愛したあとに/藤島新(1972)*
作詞:なかにし礼 編曲:青木 望
18.雨が降る/福沢良(1973)*
作詞:安井かずみ 編曲:筒美京平
19.永すぎた恋人たち/福沢良(1973)*
作詞:安井かずみ 編曲:筒美京平
20.自由であれば/福沢良(1974)*
作詞:阿久 悠 編曲:筒美京平
21.ふるい喫茶店/平浩二(1973)*
作詞:山口洋子 編曲:高田 弘
22.夏の終りに/平浩二(1973)*
作詞:山口洋子 編曲:高田 弘
23.札幌イレブン/青江三奈(1972)*
作詞:阿久 悠 編曲:筒美京平
24.しのび泣き/島津亜紀彦(1972)*
作詞:橋本 淳 編曲:高田 弘
25.別れどき/山中圭(1973)*
作詞:山口洋子 編曲:筒美京平
26.新しい女/山中圭(1973)*
作詞:山口洋子 編曲:筒美京平
*初CD化
筒美京平プロフィール
1940年(昭和15年)5月28日生まれ。クラシックのピアニストを目指したが大学卒業後は日本グラモフォン=ポリドール(現ユニバーサルミュージック)に就職し洋楽部のディレクターとして勤務、青山学院大学時代のモダン・ジャズ・コンボの一年先輩である橋本淳の強い薦めで歌謡曲の作曲をはじめた。初ヒットは1967年8月1日に発売されたヴィレッジ・シンガーズ「バラ色の雲」(作詞・橋本淳 編曲・森岡賢一郎)。コンフィデンス誌(現・ORIGINAL CONFIDENCE)のチャートにおける最初のナンバーワン・ヒットは、いしだあゆみの「ブルーライト・ヨコハマ」(1968年12月25日発売)。1969年2月10日付で首位を獲得し、4月7日まで9週連続で首位を独走。時代を代表する大ヒットとなった。以降、TOKIOの「AMBITIOUS JAPAN !」(2003年10月1日発売)まで全39曲のナンバーワン・ヒットを創出した文字通り戦後を代表する歌謡曲の職業作曲家の第一人者である。2020年10月7日逝去。享年80。