LAMP IN TERRENは11月1日(金)、バンド史上最長となるワンマンツアー『Blood』の初日となる東京・下北沢CLUB251公演を開催した。
ワンマンライヴとしては約3年半ぶりに、アマチュア時代からのホームに帰還した彼ら。原点でのライヴということも相まって、ツアータイトルに込められた純然たる想いを、「ロックバンド」として赤裸々に描くツアー初日を目撃することができた。
SEもなくステージに現れた彼らは、松本大(Vo.&Gt/Pf)の「LAMP IN TERRENです、よろしく」というシンプルな言葉と共に、ライヴ序盤から轟音の渦にオーディエンスを連れ込んだ。過去例にないほど、バンドサウンドを全面に押し出したセットリストを披露した彼らだったが、当然バンド然とした激情的な部分だけを披露したわけではない。
美しい鍵盤の旋律と共に届けられた“花と詩人”や“I aroused”などは、自問自答を続ける先に見えた「生き方」を沁み渡るようにフロアへと語り、自他共に認めるバンドの代表曲となった“BABY STEP”は、懐の深いメロディを携えて、今まで歩んできた道程を互いに肯定する光を放ち、暖かな空間を生んでいた。
「皆さんの心と近いライヴをしたい」という想いを、『Blood』というタイトルには込めていると松本は語った。それはどのように?と問われると、オーディエンスの血肉ーー身体の内側に、音と言葉を鮮明に届けるライヴを、「ロックバンド」然とした姿を通して目指していることは明白だった。
そう言える理由の一つに、サウンドが「生々しく」変貌していたことが挙げられる。バンドサウンドの枠を完全に超えた楽曲制作を重ねてきた彼らは、時を経るごとにバンドサウンド以外の様々な収録音源と共にライヴパフォーマンスを行うようになった。しかし、ここにきて彼らは、4人がステージ上で実際に鳴らす音だけで極力ライヴを行うスタンスに回帰。リズム隊である川口大喜(Dr.)のドラムがよりタイトに進化したこと(特にスネアの鳴りに顕著だった)、中原健仁(Ba)の低音がよりダイナミズムを増して表現力が上がったこと、大屋真太郎(Gt.)のピッキングニュアンスがより精度を増したことーーメンバーそれぞれのスキルアップも重なって、彼らのサウンドには以前よりも生々しい音の輪郭と「ロックバンド」としての説得力が強く帯びていた。
そのサウンドを纏って、この日最も強い叫びとして飛んできたのは、ツアーに先立って配信となった“ほむらの果て”。バンド史上最も歪んだヘヴィな音像の中で<僕は望む自分でしか生きられないよ>と振り絞るように心の内側を叫ぶ同曲は、『Blood』というツアーを象徴する「ロックバンド・LAMP IN TERREN」としての姿を色濃く描いていた。
「僕にとって、何が生き辛くて、何が喜びか、そんなことを伝えたほうが近道だと思った」と語った松本は、4人が鳴らす音と共に、ありのままの想いをステージからダイレクトに飛ばすことーーロックバンドとしての原点に立ち戻り、オーディエンスと対峙することを選んだ。ヴェールを脱いだ新曲達が、初披露であるにも関わらずオーディエンスの記憶に強く刻まれたことも、すっかりライヴでの定番曲となった“オーバーフロー”に綴られた<愛してくれよ>という言葉がよりストレートに響き、この日のハイライトとなる凄まじい大合唱が生まれたことも、その結果に他ならない。
「孤独で生まれてきたからこそ、みんなで生きていきたい。何回もありがとうという気持ちで、今日も歌を歌います」ーーそう松本は最後に話し、新たな旅路を始めた。『Blood』として全国15箇所を周り、『Bloom』という名を冠した赤坂BLITZでの約束の日を、彼らはこれから目指す。その頃には、よりロックバンドとして研ぎ澄まされた姿を私たちに見せてくれるだろう。是非その姿を見逃さないで欲しい。(黒澤圭介)
ライブフォト:(C)木村篤史