30年以上もの間誰にも聴かれることなく、誰にも触られないままとなっていた、マイルス・デイヴィスの幻のアルバム『ラバーバンド』が、遂に発売となった。この発売を記念して、今作のレコーディングからリリースに至るまでの過程を、オリジナル・プロデューサーのランディ・ホールやゼイン・ジャイルズ、マイルスの甥でありドラマー/プロデューサーであるヴィンス・ウィルバーン・ジュニア、そして今作にゲスト・ヴォーカリストとして参加しているララ・ハサウェイやレデシーといった人達からのコメントを中心としたミニ・ドキュメンタリー映像(日本語字幕付)が現在公開されている。
『ラバーバンド』 ミニ・ドキュメンタリー映像:
1985年、マイルス・デイヴィスは30年にも渡り所属していたコロンビア・レコードを離れ、新たにワーナー・レコーズと契約し、世界中に衝撃を与えた。その年の10月、ロサンゼルスにあるAmeraycan Studiosにてプロデューサーのランディ・ホールとゼイン・ジャイルズとともにアルバム『ラバーバンド』のレコーディングを開始、マイルスはこの作品で、ファンクやソウルのグルーヴを大胆に取り入れ、急進的なサウンド・スタイルという方向性を打ち出し、アル・ジャロウやチャカ・カーンをゲスト・ヴォーカリストとして迎える予定もあったという。しかし、最終的にこの作品は日の目を見ることなく、マイルスは新たな作品をレコーディング、今や歴史的名盤として知られる傑作『TuTu』をもって、移籍第一弾作品としてリリースする。結果、この『ラバーバンド』は30年以上もの間、そのまま誰にも聴かれることなく、誰にも触れられないままの状態となっていた。
この幻の作品を今回最終的に完成させたのは、オリジナル・セッション時のプロデューサーでもあったランディ・ホールとゼイン・ジャイルズに加え、85年から86年にドラマーとして実際にレコーディングに参加していたマイルスの甥、ヴィンス・ウィルバーン・ジュニアだ。また、ジャケット・カヴァーは当時マイルスが描き上げた絵画がレイアウトされている。
「マイルスおじさんも、この仕上がりを誇りに思ってくれるはずさ。ランディとゼイン、そして私や、このプロジェクトに携わった全ての人達が、この「Rubberband」に全ての情熱と魂を注ぎ込んできたからね」 ─ ヴィンス・ウィルバーン・ジュニア
アルバムの購入、ストリーミングはこちらから:
https://WarnerMusicJapan.lnk.to/MilesDavisRBPu
マイルス・デイヴィス(1926 – 1991)
1926年5月米国イリノイ州アルトン生まれ。モダン・ジャズの歴史を築いた史上最大のイノヴェーター、トランペット奏者。カリスマ性をもち、“ジャズの帝王”と呼ばれた。チャーリー・パーカーのバンドで活躍後、クール・ジャズ、ハード・バップ、モード・ジャズ、フュージョンなど、モダン・ジャズの大半の音楽スタイルの中心的な創造者となる。自己のバンドから数々の有名ジャズ・ミュージシャンを輩出したことでも有名。91年9月28日没。
■アルバム情報■
アーティスト:マイルス・デイヴィス
アルバム:『ラバーバンド』
<収録曲>
- Rubberband of Life- featuring Ledisi / ラバーバンド・オブ・ライフ – フィーチャリング・レデシー
- This Is It / ジス・イズ・イット
- Paradise – featuring Medina Johnson / パラダイス – フィーチャリング・メディナ・ジョンソン
- So Emotional-featuring Lalah Hathaway / ソー・エモーショナル – フィーチャリング・レイラ・ハサウェイ
- Give It Up / ギヴ・イット・アップ
- Maze / メイズ
- Carnival Time / カーニヴァル・タイム
- I Love What We Make Together-featuring Randy Hall / アイ・ラヴ・ホワット・ウィ・メイク・トゥゲザー – フィーャリング・ランディ・ホール
- See I See / シー・アイ・シー
- Echoes in Time/The Wrinkle / エコーズ・イン・タイム/ザ・リンクル
- Rubberband / ラバーバンド
<マイルス・デイヴィス>