毎年夏、東京と大阪で行われているソウルの祭典「SOUL POWER」。14回目を迎えた今回は、初めて「ヨコハマ SUMMIT」と銘打ち、まずは8月19日、20日の2日間、パシフィコ横浜国立大ホールで開催された。第一回目からこのイベントをホストとして牽引しているのは、ソウル・ミュージックをこよなく愛し、そのスピリットを活動の指針としてきている鈴木雅之、ゴスペラーズ、Skoop On Somebodyの「ソウル・トライアングル」。三者の情熱と鈴木が言うところの「音楽の神様」に導かれ、カテゴリーや世代を越えたさまざまなアーティストたちが、3時間半強に渡ってソウルの絆を分かち合った。
両日ともに先陣を切ったのはバブルガム・ブラザーズ。のっけからミラーボールが回り、会場は往年のディスコにタイムスリップ。彼ら一流のズッコケもアリの「エンターテインメント・笑」で、一気にパーティムードを盛り上げた。そのパーティムードから一転、観客をメロウな世界に引き込んだのはSkoop On Somebody。「今回は攻めてみたかった」というセットリストだったが、みんなその歌と演奏が紡ぎ出す極上のグルーヴに酔いしれ、気持ちよく身を任せた。「魂から歌を奏でる人はみんなソウル・ミュージシャンだから」と、ボーカルTAKEがSOUL POWERが大事にしてきた信条を語ると、心から賛同するように大きな拍手が送られた。
まさにその言葉を体現したのが大黒摩季。「たまたま売れちゃった曲でロックの人みたいになっちゃったけど」と苦笑しつつ、「今日は最高の魂がハートに降りてきますように」と、自ら「張り芸」と称する熱いハイトーンでヒット曲を大サービス。余韻醒めやらぬ空気を飄々と引き取ったのは、このイベントの影の立役者DANCE☆MAN。ユーモアいっぱいのそのファンキーなステージは、CHEMISTRYへの見事な箸休め、いや、橋渡しとなった。SOUL POWERでもお馴染みになりつつある彼らが担ったのは、イベント中盤のしっとりと聴かせる役回り。デビュー直後によくカバーしていたという楽曲では夢のコラボも果たした。
丁寧に回を重ねつつ世代を越えたソウルの絆を育んできたSOUL POWER。それをひとつ象徴するのは3年ぶりの出演となったLittle Glee Monsterの成長ぶりだろう。清涼感あふれるスキルフルなパフォーマンスに、「ソウル・トライアングル」の面々は親のように目を細めつつ、自分たちを鼓舞する刺激ともしていたはず。もちろん、次世代へ渡していくバトンは、前の世代から受け継いだものでもある。
来年、デビュー40周年を迎える鈴木雅之のステージでは、今年2月に他界したザ・キング・トーンズのリーダー・内田正人さんへのトリビュートも。天を指して鈴木が言った「キングトーンズ、Forever!」には、脈々と受け継がれてきた音楽への感謝と、これからも受け継いでいく、という決意がこめられていた。
トリを飾ったのは、今年メジャーデビュー25周年を迎えるゴスペラーズ。「外務省から世界に発信されている令和の正式な名称って知ってます?」と問いかけて、会場一斉に「Beautiful Harmony」とハモらせちゃうところが実に彼ららしい。「いやー、ゴスペラーズの時代がきました」、「追い風吹いてます」と、棚ぼたを冗談交じりに喜びながら披露したのは、アニバーサリー・イヤーに相応しい新旧取り混ぜてのメニュー。軽やかにステップを踏み、エネルギッシュに歌う彼らの晴れやかな笑顔には、自ら進んで紐帯を担い、「Beautiful Harmony」から始まる未来へとSOUL POWERをつなげていこうという心意気があふれていた。
ライター藤井美保
■関連リンク
SOUL POWER公式サイト:http://soulpowersummit.info/
鈴木雅之 公式サイト:https://www.martin.jp/
ゴスペラーズ 公式サイト:https://www.5studio.net/
Skoop On Somebody 公式サイトhttps://www.skoop.jp/index.php