7月14日、梅雨空の渋谷でNOT WONKの『Down the Valley』ツアーのファイナルが行われた。
音楽的に大きな飛躍を遂げたアルバムは高い評価を受け、またバンドのキャリアとしても大きな意味を持つツアーだっただけにオーディエンスの期待もとても大きなものがあった。
オープニングのゲストの踊ってばかりの国が貫禄のステージを見せた後、苫小牧を拠点に活動するトリオは場の雰囲気を引き戻すようにレーナード・コーエンの「ハレルヤ」のカバーから静かに演奏を始めた。
続く「Landfall」、エンディングに演奏されることの多い曲を冒頭に起き、ステージと客席との緊張感を高める。
そしてようやくアルバムのオープニング・ナンバーである「Down the Valley」のイントロとともに客席から大きな歓声があがった。ステージも一気に緊張状態から解放され、アルバムの収録曲が繰り出される。
今作でとくに際立ったバンドのアンサンブルの巧みさと音圧の抜き差しはとても20代前半の演奏と思えない、日本のロックバンドのレベルはここまで進化したと実感させられる。
本編エンディングの「Love Me Not Only Weekend」まで緊張感をはらみながらも完成度の高いアルバム収録曲の精度を上げたステージが進行、あっという間の60分が過ぎた。
アンコールでようやくリラックスした表情のバンドが代表曲「Laughing Nerds And A Wallflower」と「This Ordinary」を繰り出すとフロアは耐えきれずついに爆発しモッシュが巻き起こった。
2015年のデビュー以来一貫して独自のシーンで活動してきたNOT WONKだが、今作のリリースとこのステージによってはっきりとアンダーグラウンドのヒーローからメインストリームに対するオルタナティブとして大きな存在になりはじめたと言っていいだろう。
後年もし日本の音楽シーンを振り返ることがあったら、2019年NOT WONKのこのアルバムが時代のターニング・ポイントとして思い出されるようになってもなんの不思議もない。
それほど希望ある可能性と高い完成度に満ちたステージだった、この先の彼らの動きを見逃すことはできない。
<NOT WONK「Down the Valley Tour」渋谷WWW X 7月14日>
1. Hallelujah
2. Landfall
3. Down the Valley
4. Subtle Flicker
5. Of Reality
6. Shattered
7. Come Right Back
8. Count
9. Elation
10. I Won’t Cry
11. Golden Age
12. Not All
13. The Bare Surface,I’ve longed for you
14. Love Me Not Only In Weekend
en.1 Laughing Nerds And a Wallflower
en.2 This Ordinary
en.3 Give Me Blow
撮影: 桑島智輝