スティーブン・スピルバーグ監督作品『レディ・プレイヤー1』への出演で、一躍ハリウッドスターの仲間入りをした森崎ウィンをメインボーカルに擁する超国際派ダンスボーカルユニット・PRIZMAXが、7月6日にワンマンライブ『PRIZMAX Live Level 8 ~CIRCUS~』を豊洲PITにて2部制で開催した。3月に新メンバー3名が加わり7人組の新体制になってから初のワンマンということで、メンバーそれぞれの個性を打ち出しつつ、趣向を凝らした演出でライブテーマである“大人の遊園地”を舞台上にしっかりと実現。全31曲というフルボリュームで、よりパワフルに、よりダンサブルに、よりスケールの大きなステージングを展開し、2部の最後には年末ワンマンも発表して、新しい船出を見届けるべく会場に詰めかけたホリック(PRIZMAXファンの呼称)たちを魅了した。
メンバー紹介映像が“IT’S SHOW TIME!!!”と締めくくられ、ステージの二階に一人登場した森崎が朗々たるロングトーンで歌い上げたのは光と闇、過去と未来をつなぐR&Bダンスチューン「Light The Night」。そこに島田翼、福本有希、清水大樹、小川史記と、スポットライトを浴びて4人のパフォーマーが順にソロダンスを披露すれば、照明の上がったステージ上に森崎の左右でコーラスを入れるケビンと森英寿の姿が現れる。眩いネオンカラーの衣装に身を包んだ7人が贈るスリリングなオープニングに、場内のテンションは急上昇するばかり。さらに「Put your hands!」の声に合わせて客席のペンライトが大きく振られ、ケビンの背から島田が大ジャンプする「DADADADADADA」と、4月に発売した全英詞アルバム『FRNKSTN』からのナンバーを並べて、躍動的かつ煌びやかな最新形のPRIZMAXをお披露目してゆく。
「ようこそいらっしゃいました。今日は最高の夜にしていきましょう!」とリーダーの清水が挨拶してからは、代表曲の「Mysterious Eyes」へ。メロウな印象の強かったラブソングはビートの太いダンスチューンに見事に生まれ変わり、挑発的な清水のラップや檀上から放たれるクラップに客席もヒートアップの一途を辿る。紗幕越しのシルエットから清水が放つ気だるいラップに乗ってパフォーマー陣が蠢く「Candy」以降は、昨秋配信されたメンバープロデュース曲がラインナップ。シックな装いで3ボーカルがジェントルに声を合わせた「夢唄」を挟み、福本のプロデュース曲「South Cross」では森崎とケビンの美しいハーモニーに乗って、クラシカルに舞うパフォーマーチームが美しい。島田の作による「rewind」でも、息の合った7人の動きが舞台上で電飾に瞬く“CIRCUS”の文字と相まって、クールに場の空気を引き締める。そういったアーティスト性の高さも彼らの武器に違いなく、ハイクオリティな楽曲に客席からは感嘆の声があがっていた。
浮遊感ある「WHO」でセンターステージへと移動してのMCでは、1部で小川が「7人で過去の曲をやることでパワーアップしたものが見せられたと思っております」と真面目に語った一方、福本は「雨が降れば地、固まるんですけど、俺、さらにそこに花を咲かせようかな」と相変わらずのキザキャラを発揮。加えて、新グッズの黄色いペンライトだけを灯らせて「めっちゃ綺麗じゃん!」と喜んだ森崎は、なんと照明が消えている間にステージの下に隠れるという悪戯でホリックとメンバーたちを驚かせる。大人びたパフォーマンスからは想像もつかない子供のような茶目っ気ぶりだが、しかし、そのギャップが大きいぶんだけ魅力的に映るというものだ。
そんな森崎プロデュースの「I hate you」を7人一丸となって会場の中央から届けたあとは、四季をテーマにしたメドレーでメンバーそれぞれをフィーチャー。まずはスレイベルの音が鳴り、アカペラから渾身の力で「yours」を歌い上げる森崎の背後で、福本がエモーショナルなダンスと表情で想いを訴えると、なんと檀上に当たったスポットライトの中にはピアノを演奏するケビンの姿が! ピアノを弾き語りながら森崎と「春空」をデュエットして大歓声を浴びる中、今度は島田が体幹の強さを活かした巧みな動きで、曲からあふれ出す感情を表現していく。さらに夏の眩い陽射しを思わせる「Orange Moon」が始まると、シャツのボタンを全開にした清水が波のようにうねるサテン布の狭間をセクシーにサーフして、場内を悲鳴の嵐に。そして切なさが秋風を匂わせる「Someday」では、ケビンと森のボーカルをバックに、小川が情緒豊かなダンスのみならずラップまで聴かせて、新メンバーだけのステージでホリックたちを沸かせる。トドメの「Never」では、ステージ中央で歌い踊る森崎の上下左右で、4人のパフォーマーが躍動するというダイナミックなフォーメーションを展開。次々にメンバーが入れ替わって魅せる多彩なパフォーマンスは、まさしく7人の新体制ならではだろう。
そのぶん7人が揃ったときのパワーも強大にしてバラエティ豊か。ステージに出現したカフェで、それぞれの人間模様をミュージカルのように描き出した「カフェオレ」では、場内に芳醇な珈琲の香りが漂い、長髪のウィッグで小川が可愛らしい女子店員に変身して声援を受ける場面も。続く「Truth」でも全員がスタンドマイクを使ったパフォーマンスでラフに楽しませるが、一転「BAD LOVE」では赤いライトを浴び、緊張感のあるフォーメーションダンスで危険なムードを振りまいてゆく。さらに、ラフでカラフルな私服風衣装に着替えての「Ignight」では、2階のDJブースでプレイする島田の周りにメンバーが集結。そのまま「Pleasure」からハッピーなノンストップメドレーへと雪崩れ込み、一斉にタオルを振る「Sing it!」にペンライトを手旗信号のように上下させてウェーブする「Just Revolution」と、ホリックたちと結ぶ一体感の温度は高まるばかり。センターステージに揃って7人で肩を組んだ「Woh!」から、なんと「my girl」では森が花を出すマジックを披露し、最後は「Three Things」で笑顔の内に締めくくるというのが、また彼ららしいところだ。
ここで7人体制になってからの歩みを振り返るVTRが流れ、“OUR STORY STARTS HERE.”の文字がモニターに浮かぶと、白一色の装いに身を包んだボーカル陣がステージへ。3人で歌声をつないで「Memory」を贈ると、清水のラップからはパフォーマー4人も加わって、未来への尽きせぬ想いを息の合った歌とダンスで謳い上げる。“ボクラノメモリーキエルコトハナイ”と、過去を連れて夢へと向かう決意の籠もった熱いパフォーマンスは実に感動的なもので、場内からは大きな拍手が。その決意を現実のものとするための第一歩が、直後に投下された『FRNKSTN』のリード曲「DANCE」である。メンバーいわく“2019年版「スリラー」”というだけあり、アタックの強いサウンドもアルバムタイトルの通りのクリーチャーを思わせる振り付けも爆発力満点。最後はアルバムでもラストを飾っている「Sweet Goodbye」でホリックたちに携帯を掲げさせ、その光で眩いフィナーレを飾った。
そして「HUG & KISS」で始まったアンコールでは、曲名通り福本が島田を後ろからハグしたり、森崎が清水の頬にキスしたりと、メンバーのキュートな面が全開に。「僕たちからプレゼントあります!」と「Ready」でサインボールを投げ込み、「UP<UPBEAT」では自分で作った替え歌がツボに入って、森崎が歌えなくなる一幕まであった(笑)。かと思えば、パフォーマーチームがアクロバティックなソロダンスで魅せて、清水はバク転まで披露するのだから侮れない。タイトルコールから歓声が湧いたラストソング「If you」では、ホリックたちがペンライトを大きく振って、森崎にマイクを向けられた小川も見事に歌唱。メンバー同士肩を組んでカメラを覗き込んだり、そこで森が島田にキスしたりと、キャリアの長さに関わらず、共に同じ夢に向かって進んでいこうと一つになった7人の姿には、見ていて胸が熱くなるものがあった。
曲中、オーディエンスを巻き込んでのジャンプも息ピッタリに決まり、大成功に終わった新生PRIZMAXのファーストワンマン。メンバーがステージを去ると、12月29日に再び豊洲PITで『PRIZMAX Live Level 9~CIRCUS WINTER EDITION~』を行うこともモニター上で発表され、ホリックたちの歓喜の声を呼んだ。昨年末から7ヶ月ぶりのワンマンということで、久々に披露される過去曲にはイントロが鳴るたび喜びの声があがっていたが、そのぶん新体制でいかに表現するか?というところでメンバーに圧しかかったプレッシャーも大きかったに違いない。しかし、その重圧を跳ね除け、見事に期待に応えた7人――中でも新メンバーの戦力の高さは、今後のPRIZMAXの発展を確信させるに十分なものだった。世代やバックグラウンドを超えて集まった7人の新たな物語。その行く先がどんな大海原であろうと、彼らならきっと渡り切ってくれるはずだ。
文:清水素子
カメラマンクレジット:笹森健一
【セットリスト】
M1:Light The Night
M2:DADADADADADA
M3:Mysterious Eyes
M4:Candy
M5:夢唄
M6:South Cross
M7:rewind
M8:WHO
M9:I hate you
M10:yours
M12:春空
M13:Orange Moon
M14:Someday
M15:カフェオレ
M16:Truth
M17:BAD LOVE
M18:Ignight
M19:Pleasure
M20:Sing it!
M21:Just Revolution
M22:Woh!
M23:my girl
M24:Three Things
M25:Memory
M26:DANCE/INT
M27:Sweet Goodbye
<アンコール>
EN1:HUG & KISS
EN2:Ready
EN3:UP<UPBEAT
EN4:If you
PRIZMAX Live Level 9 〜CIRCUS WINTER EDITION〜
2019年12月29日(日)
豊洲PIT
【1部】開場 14:00 / 開演 15:00【2部】開場 17:30 / 開演 18:30
全自由 ¥6,500-(税込)
※3歳以上はチケットが必要。
※整理番号順の入場となります。
※別途ドリンク代は頂きません。
【チケットに関するお問い合わせ】
スターダストチケットカスタマーセンター TEL:050-5824-5138 (13:00~17:00)
【公演に関するお問い合わせ】
ホットスタッフプロモーション TEL:03-5720-9999(平日 12:00~18:00)