6月14日、東京・千代田区の内幸町ホールでバイオリニスト式町水晶(しきまちみずき・23)がデビュー1周年を記念したコンサートを開いた。
式町水晶は2018年4月に念願のメジャー・デビューを果たすも、その道のりは決して平坦なものではなかった。脳性まひという障害をかかえながらの奇跡のデビュー。今回のコンサートはそんな彼の軌跡を辿るような内容となった。
ピアノ、ベース、パーカッション、そしてバイオリンという4人編成で、マイルス・デイヴィスの名曲「Milestones」で幕を開け、チック・コリアの「SPAIN」の熱い演奏で一気に会場のボルテージを引き上げた。
「ようこそ!1周年記念のコンサートへ。今日を迎えられたのも一人一人の皆様のお蔭です!」と冒頭の挨拶をすると、「Oliver Ruiz」「Memory of Moment」とオリジナル曲を披露。そして「1周年を経た【孤独の戦士】をお届けしたいと思います」というMCと共にメジャー・デビュー・アルバムのタイトル・トラック「孤独の戦士」を情感たっぷりに演奏した。「1年経って早口が直りました!前は落ち着きがない感じでトーンも高かったんですけど」と1年前の自分を振り返ると、言わずと知れたピアソラの名曲「リベルタンゴ」を披露。ここで客席に降りてきてのパフォーマンス。アドリブの部分ではテクニカルな演奏も見せつけ、最高のテンションで第一部は幕となった。
この日、講談社BE・LOVEで式町水晶をモデルにした漫画「水晶の響」(すいしょうのひびき)を連載中の漫画家、斉藤倫(さいとうりん)も応援に駆け付け、トークショーを展開。式町との出会いから漫画にするまで、そしてこれからの展開についても和やかに語り、「これから世界に羽ばたいていってほしい」とエールを送った。
第二部は漫画「水晶の響」をテーマにして書き下ろした新曲「水晶の響~Crysral Soul~」をコンサートでは初披露。どこかでオリエンタルな雰囲気も漂う、静と動が共存するオリジナル楽曲だ。続く「Stardust」では、ステージバックに満点の星空が現れる中、ピアノとバイオリンでロマンティックに聴かせた。再びバンド編成になると、メジャー・デビュー前からのオリジナル曲「Ripping nacre’s dance」に続き、ジブリアニメの名曲「人生のメリーゴーランド」「いのちの名前」をメドレーで披露、式町水晶の世界観の広さをみせつけた。そして1年前に出来上がったオリジナル曲「Meioh」で一気に壮大な世界観に引き込むと、アイリッシュ・テイストが印象的な「American Wake」に合わせて客席から手拍子が起こり、「一周年本当にありがとう!」と感謝の気持ちを伝え本編を締めくくった。
アンコールでは客席から登場するサプライズで2曲を披露すると、記念写真を客席をバックにパチリ。再びたっぷりの感謝をファンやスタッフに伝え、大きな拍手と歓声の中で大団円を迎えた。
■作品情報
メジャー・デビュー・アルバム「孤独の戦士」
http://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICC-1417/
発売日:2018/04/11
品番:KICC-1417
販売価格:定価¥2,778 + 税
発売元:キングレコード
【収録曲】
1.孤独の戦士 (The Lonely Soldier)
2.リベルタンゴ (Libertango)
3.メモリー・オブ・モーメント (Memory of Moment)
4.オリビア・ルイーズ (Olivia Ruiz)
5.マインズ・モーション (Mind’s Motion)
6.ユラン・マグノリアズ・プリンセス (Yulan Magnolia’s Princess)
- ホワイト・ローズ (White Rose)
8.アメリカン・ウェイク(American Wake)
- ロコマイカイ (Lokomaika’i)
10.浜辺の歌〈TSUNAMIヴァイオリン〉
11.スマイル(Smile) ※ボーナス・トラック
演奏:式町水晶(ヴァイオリン)
ゲスト:中西俊博(ヴァイオリン)
A.Pf&鍵盤ハーモニカ:Keiko、A.Gt&E.Gt.:ファルコン、B.:大野弘毅、Perc.:渡辺庸介
■式町水晶-オフィシャルサイト
https://www.mizuki-shikimachi.com/
■プロフィール
1996年北海道生まれ。
3歳の時に脳性麻痺(小脳低形成)と診断される。
リハビリの一環として 4歳からバイオリン教室に通い始める。
5歳の時に網膜変性症・眼球運動失調・視神経乳頭陥凹拡大(緑内障)が見つかる。
8歳の時に世界的バイオリン奏者 ”中澤きみ子氏” に師事。 プロを志す。
音楽性の幅を広げるため、 10歳からポップスバイオリンを始め、幅広いフィールドで活躍中のバイオリニスト ”中西俊博氏” に師事。
現在も研鑚を積みながら、コンサート活動と楽曲制作に取り組む。
特にエレクトリックバイオリンによるエフェクターを駆使した独自のサウンドが評価されている。
小・中学校や自治体、老人ホームや学習施設等での講演・演奏会に多数出演。
障がい者や健常者の垣根を超えて、地域社会や若者に夢や希望を少しでも送りたいとの思いと、被災地の皆さんへの支援をとの思いで演奏活動を精力的に行っている。