5/24(金)東京キネマ倶楽部にてナナヲアカリの「ススメ!!しあわせ症候軍ツアー」のファイナル公演が行われた。
このツアーは4/10(水)にリリースされた彼女の1st E.P「しあわせシンドローム」をひっさげ、2019/4/26(金)〜5/24(金)の約1ヶ月に渡って全国8箇所を回るもの。その大締めとなるツアーファイナルはチケットが瞬く間にSOLD OUT。会場には超満員のファンが詰めかける大盛況となった。
自身が訪れたことなかった仙台や、地元大阪等々、各地を訪れる度に彼女が問いかけてきた「しあわせ」の答えが熱狂とともに垣間見えたライブレポートを公開。
ライブ当日、澄み渡る快晴の中、キネマ倶楽部の入口には長蛇の列が形成されていた。ナナヲが今まで行ってきたライブの中でも最大のキャパシティであるということもあるのか、観客は入場前から興奮冷めやらぬ様子。結果、入場が始まるやいなや約700人のファンが殺到し、会場はあっという間に熱狂の人々で埋め尽くされていた。
そして、いよいよ開演。
ステージの始まりを告げるSEが会場に響き渡ると、今か今かと開演を待ち望んでいた観客の熱狂的な歓声が上がる。高らかに響き渡る行進曲と共に登場したのはナナヲアカリのサポートを務めるえんじぇるズ(Dr.タイヘイ、Ba.かのーつよし、Gt.カトリーヌ、VJ.野良いぬ)のメンバー。そして続けざまに、膨らむファンの期待に応えるかのごとく、ナナヲアカリがステージに上がると、会場からは歓喜と興奮の入り混じった大歓声が上がった。
マイクを手に取ると「やんないんじゃない、できないんだ!」とファンにおなじみのフレーズで「ダダダダ天使」をスタート。
ナナヲの自己紹介ソングでもあるアッパーチューンが始まった瞬間、会場は一気にヒートアップし、大熱狂の中ライブはスタートした。
続けて、さらに会場のボルテージを上げるように「おばけのウケねらい」、「ディスコミュ星人」をポップなダンスと共に披露。ストロボやミラーボールを駆使した演出で、曲ごとの世界観に会場は彩られていた。
さらに「なんとかなるくない?」と続けると観客のテンションは最高潮に。繰り返されるコール&レスポンスで、会場のグルーヴは一つになっていく。
挨拶のMCも束の間、立て続けに1st E.P「しあわせシンドローム」から「ウツムキブレザー」など新曲を続々披露。「シアワセシンドローム」では曲の冒頭にSAWS(シアワセ)ダンスのレクチャーを入れるなど、エンターテイメントな一面も大きな見どころとなった。
その後のMCでは自らを振り返って、憧れを語る。
「始めてキネマ倶楽部でライブを見た時からここは、本当に大好きな夢の場所でした。こんなにたくさんの人に来てもらえるなんて本当にうれしいです、ありがとう!」
自身が憧れたステージに立っていられることに、ファンへの感謝をあらわにするとライブは中盤戦へ。
ここからのステージはいくつかの大きな変化を見せていく。
まずはじめに、前半とはうってかわって「妄想ハッピーエンド」、「ナンセンス・ハビット」、「一生奇跡に縋ってろ」などハードでクールな楽曲群をプレイ。鮮烈ながら心地よいギャップを受け止め、観客は息をのんでステージに見惚れていた。
そのゾーンを抜けると、今度は暗転から雰囲気を一転、ナナヲとえんじぇるズとのツアーでの思い出を集約した映像が流れ会場はのどかな雰囲気に。
ナナヲは映像内で「後半も素敵なことが起きそう!」と締めると、サブステージから新たな衣装に身を包み「パスポート」を演奏。会場の空気をガラリと変える粋な演出に新しい期待が膨らんでいく。
「kidding」、「Youth」、「ひとりごと」など、シリアスなナンバーで構成されたステージがナナヲが持つ多彩な表情を表現していた。
二転どころか三転、四転と変化していくステージは1カ月のツアーを経て幾重にもブラッシュアップされた賜物で、1st E.P「しあわせシンドローム」でもテーマとしてきた「しあわせ」という姿を変え続けるものと、
いかにナナヲが真摯に向き合ってきたかが伺える。各地で出会う人々に少しでも「しあわせ」を届ける為に構築されたステージングは、自分の音楽を聴いてくれる人々に限りなく寄り添った温かいもののように感じた。
その後は再び、ナナヲ節全開のアッパーゾーンに突入。
「んなわけないけど」、「インスタントヘヴン feat.Eve」、「ハッピーになりたい」などナナヲを象徴する楽曲群で、ライブ終盤戦を迎えるオーディエンスをこれでもかと盛り立てる。
負けじとファンもリズムに乗って掛け声を返し、会場はこの日一番のボルテージを迎える。
そして、本編最後を飾ったのは「オトナのピーターパン」。「しあわせ」を求めているのにそれに疲れているというジレンマをポップな曲調に乗せて歌い上げるナナヲ。
ライブがフィナーレを迎える寂しさもありながら、同時に観客の胸を満たす満足感が、「しあわせ」を求めながら成長する主人公の想いとリンクして、会場を包んでいた。
えんじぇるズが一人一人退場した後、最後にナナヲは笑顔でステージを去り本編が終了した。
同時に、観客から沸き起こる熱い「天使」コールに応え、再びナナヲ達がステージに登場。
ここで2019/10/2(水)に新作”プチアルバム”「DAMELEON」をリリースすること、それを引っ提げた全国ツアー「DAMELEON RELEASE TOUR「CHANGING!」」を発表。
「こんなことを言うのは初めてかもしれないけど、本当に渾身の一作にするから!」と次作への熱い思いを語ると、続けざまに「ワンルームシュガーライフ」、「ビビっちゃいない」とファンなら誰もが口にする名曲を演奏。
再びファンのテンションを最高潮に持っていき、アンコールを締めた。
しかし、驚くことに会場からはまだコールが鳴りやまない。「天使!」、「あかりん!」とナナヲの愛称を呼ぶファンの前に、再びナナヲ達が登場。ファンの期待に応える一曲としてナナヲが演奏したのは「メルヘル小惑星」。観客の一人一人に向けて「あなたが好きだ!」と歌い上げるナナヲに呼応するように、まるで会場自体が鳴っているように思えるほどの大シンガロングが沸き起こる。
すると、楽曲を熱唱するナナヲの目には涙が。ファンのまっすぐな想いに胸を打たれた瞬間、とめどない感情が溢れた瞬間だった。
もはや演者と観客の関係を超え、一つの曲を全員で歌い上げて作るというナナヲアカリのライブでしか見られない光景からは、「しあわせシンドローム」を通じて誰もが考える問題にナナヲが、そしてファンが真摯に向き合っていることが
ありありとうかがえ、そして以前よりもずっと固い絆として結ばれているように思えた。あたかもキネマ倶楽部という終着点で、それぞれの「しあわせ」の答えを互いに確かめ合うような時間を終え、ステージは終了。
熱狂の中に、各々の確かな意志を感じる、圧巻のライブだった。
「変化」をコンセプトにした新作と、新たなツアーを発表したナナヲアカリ。どこまでも前を向いて変わり続けていく彼女から、今後も目が離せない。
▼カメラマン:小見山峻
2019.5.24(金)@東京キネマ倶楽部
M1.ダダダダ天使
M2.おばけのウケねらい
M3.ディスコミュ星人
M4.なんとかなるくない?
M5.ウツムキブレザー
M6.事象と空想
M7.シアワセシンドローム
M8.妄想ハッピーエンド
M9.ナンセンス・ハビット
M10.一生奇跡に縋ってろ
M11.お釈迦になる
M12.ハノ
M13.パスポート
M14.kidding
M15.Youth
M16.ひとりごと
M17.んなわけないけど
M18.インスタントヘヴン feat.Eve
M19.ハッピーになりたい
M20.オトナのピーターパン
<アンコール>
M21.ワンルームシュガーライフ
M22.ビビっちゃいない
<Wアンコール>
M23.メルヘル小惑星