2016年、乳がんため58歳の若さで逝去したヴァイオリニスト・若林暢の2017年にリリースされたCD(2タイトル)が、2017年度クラシック年間ベストセラーCDランキング(2016年11月28日~2017年12月3日まで/レコード特信出版社調べ)で、「ヴァイオリン愛奏曲集」が1位、「ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集」は2位となり、 故人のクラシック演奏家のCDとしては異例の大ヒットとなり大きな話題となった。
この度、ポーランド国営放送局で1986年に収録・放送された貴重な音源が奇跡的に発見され、2018年12月19日、第3弾となるCD「“魂のヴァイオリニスト”甦る若林暢」が発売された。
聴く者の胸を打ち、感銘を与える奇蹟のヴァイオリニスト・若林暢の「魂の芸術」が、 ふたたび甦る。
生前、世界的なコンクールで優勝や入賞を果たし、 多彩な音色とスケールの大きな演奏が海外で高い評価を得て、世界のステージに立ち東奔西走していた若林暢。
しかし晩年は、両親の介護、 そして自身の病と闘いながら、 ヴァイオリンへの情熱を燃やし続けてきた。
暢が遺した音源はライブ録音が殆どで、数えるほどしか残っていない。
その中で奇跡のように、はるかポーランド国営放送局で彼女の演奏が発見された。
1986年の秋、「ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール」で、彼女は優勝こそ逃したものの全ての副賞を得、ヘンリク・シェリングにも絶賛された。その年の12月に、ポーランド国営放送局で収録され放送された音源だ。
ポーランドの作曲家でありヴァイオリンの名手ヴィエニャフスキの「モスクワの思い出 作品6」、夭折の天才・ショーソンの「詩曲 作品25」、そしてフランスの作曲家マスネの「タイスの瞑想曲」という名曲を、ポーランドを代表する名ピアニスト、フミェレフスキとの共演で、彼女は完璧な技巧と奥深い表現力で「完成度の高い再現芸術作品」として完成させている。
それから2年後の1988年、ジュリアード音楽院のポールリサイタルホールで収録された「ヴィエニャフスキ:モスクワの思い出」「ショパン:夜想曲 『遺作』」は、室内楽で一緒に学んでいた楽友、鳥羽泰子との共演。30才と思えない若林暢の類い希なる表現力と相まって見事というほか無い演奏だ。
そして「フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番」は、晩年2011年のリサイタルのライブ録音から収録された作品。
盟友アルバート・ロトとの共演で、2人の個性がそれぞれ錬磨された宝石のように輝いたデュオの逸品と言える。
彼女の演奏は、 人々の胸に語りかけ、 聴く人の魂を捕え揺さぶりやまない。
■タイトル:“魂のヴァイオリニスト”甦る若林暢
・収録曲:
1.マスネ:タイスの瞑想曲
2.ショーソン:詩曲 作品25
3.ヴィエニャフスキ:モスクワの思い出 作品6
4.ショパン:夜想曲 第20番 嬰ハ短調 「遺作」(ミルシテイン編曲)
5.ヴィエニャフスキ:グノーの「ファウスト」の主題による華麗なる幻想曲 作品20
フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ長調 作品13
6.第1楽章. Allegro molto
7.第2楽章. Andante
8.第3楽章. Allegro vivo
9.第4楽章. Allegro quasi presto
・演奏:
若林 暢(ヴァイオリン)
タデウシュ・フミェレフスキ(ピアノ:1・2・5)
鳥羽泰子(ピアノ:3・4)
アルバート・ロト(ピアノ:6~9)
・発売日:2018年12月19日
・定価:¥2,500+税
・品番:MHCC-30006(Blu-spec CD2)
・発売:株式会社ソニー・ミュージックダイレクト
<otonano若林暢 特設サイト>
http://www.110107.com/nobu_wakabayashi
<プロフィール>
【若林 暢 Nobu Wakabayashi (1957年~2016年)】
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学、同大学院を経て、ジュリアード音楽院を卒業。1995年「音楽に登場する悪魔」の論文で博士号を取得。
コンクール歴は、1986年、ニューヨーク国際芸術家コンクール優勝、モントリオール国際コンクールで優勝、またヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール2位、最優秀音楽解釈賞、ヘンリク・シェリング賞、ワンダ・ウィルコミルスカ賞、ポズナン市長賞も併せて受賞。その他入賞多数。
1987年カーネギー・ホールでのデビューリサイタルは、ニューヨーク・タイムズ紙でも高い評価を受け、アメリカ、ドイツ、イタリア、スペイン、ポーランド、スイス、オーストリア、中国、韓国など世界各地でソロリサイタル、及び各地のオーケストラとの共演などソリストとして演奏活動を行う。
イギリスのPICKWICK 社から発売された「ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集」はデイリー・テレグラフ紙で “The CD of the Week” に選ばれるなど欧州各紙で話題となる。
また西ドイツ放送協会でもシリーズレコーディングを行っており「アイヴズ:ヴァイオリン・ソナタ全集」を完成、Arte Nova Classics からそのCD がリリースされ、日本でも2000 年に発売。2007年5月より新しいデザインで再びインターナショナル・リリースされ、各国で紹介されている。
またNHK ラジオ、NHK 総合テレビ・Eテレ・国際放送などで、演奏と共にクラシック音楽のわかりやすい解説も行い好評を得る。
マドリード国際フェスティヴァル、なら国際音楽アカデミー、アメリカのボードイン・サマーミュージック・フェスティヴァル等のマスタークラスや、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校でも後進の指導に携わる。
ヴァイオリンをD. ディレイ、E. ヴァルディ、海野義雄、田中千香士、室内楽をF. ガリミア、J. フックス、音楽理論をM. ホワイト、R. フレンチの各氏に師事。
2016年6月8日に58歳で亡くなる。
2017年に発売された国内初のCD「ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集」「ヴァイオリン愛奏曲集」は、『2017年度クラシック年間ベストセラーCD ランキング(2016年11月28日~2017年12月3日まで/レコード特信出版社調べ)』で1位(ヴァイオリン愛奏曲集)と2位(ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集)に選ばれるなど、故人のクラシック演奏家のCD としては異例の大ヒットとなった。
<魂のヴァイオリニスト 若林暢 公式サイト>