次世代ユニットX21から選抜されボーカルを務めたAXL21と、ats-、清水武仁、渡辺徹の“スーパークリエイター”3人が手掛ける『仮面ライダービルド』の挿入歌。
その裏側に迫るavex management web(以下 AMG Web)での週刊連載だが、この度、新たな座談会企画がスタート。ゲストに迎えるのは、『仮面ライダーエグゼイド』で、仮面ライダークロノス/檀正宗役を演じ、歌手&俳優としても活躍するaccessの貴水博之!
第3回目のお題は貴水博之が歌う『エグゼイド』の挿入歌! 出演のみならず歌手として、いかにして楽曲に向き合ったのか。ここでは、貴水の証言はもちろん、ats-、清水武仁、渡辺徹のクリエイター3氏、AXL21の二人と多角的な視点を通して、楽曲の魅力を問いたいと思う。
テキスト:トヨタトモヒサ
写真:阿部薫
- 「Wish in the dark」への熱き想い
――今回は貴水さんが『エグゼイド』を通じて発表された3曲を取り上げていきたいと思います。
貴水:最初が「Wish in the dark」ですね。「挿入歌もお願いします」とお話をいただきまして、しーちゃん(※清水さん)が曲を書いてくれる、ということだったから、そこに関する心配は全くありませんでした。今回はソロだけど、ずっとaccessのサポートをしてくれている間柄でしょう。一緒に生きて来た土台があるから、出来上がった曲は、こんなにも自然に入っていけるんだなと。
清水:え、想像できる範疇の曲だった?
貴水:いや、想像以上だよ(笑)。僕が言いたいのは、ほら、初めての作家さんに書いてもらう場合、どうしても声を出し難い箇所やメロディの動きが難しかったりすることがあるじゃない。でも、「Wish in the dark」は、それが全くない。実際に歌ってみると「ああ、(メロディは)そう行くよね」とストレスなく歌える。もう一度言うけど、想像以上だからね!(笑)。
清水:ありがとう(笑)。もちろん『エグゼイド』の挿入歌として意識した部分もあるけど、そこに僕が知ってる「歌手・貴水博之」のテイストはブレンドしたつもりだからね。
貴水:分かる、分かる。それがすごく伝わってきたよ。
清水:イメージはすぐに沸きましたね。
貴水:それもaccessとはまた違う、僕に対するイメージがしーちゃんにはあるんだろうね。
清水:そうだね。accessからインプットされた部分も多少はあるけど、やっぱり違う部分はあるよね。
貴水:歌詞も、普段、僕が書いている詞のテイストに寄せて下さっている気がしたんだけど、どうなのかな?
――作詞家の方も、貴水さんへのリスペクトがあったとうかがっています。
貴水:そうですか! とても嬉しく思いますね。その辺りを感じたこともあり、すごく感情移入しやすかったんですよ。しーちゃんが作ってくれたメロディも含めてまさに、ドンピシャな曲でした。まさに感謝しかありませんね。
清水:いや、こちらこそ、ステキな声で歌ってくれて感謝ですよ。
末永:最初、タイトルを聞いて、めっちゃ悪そうな曲なのかなと思ったんです。
田中:逆に爽やかな中に、ちょっと闇を感じさせるのが、とても新鮮です。
貴水:闇がありつつも、力強さや前向きな明るさが込められている感じだよね。
末永:はい。
ats-:「Wish in the dark」は、またひとつ新しい、貴水さんのサウンドと歌を聴くことできた満足感でいっぱいです。
清水:サウンドでいえば、僕が書いた曲を、編曲の徹ちゃんが巧みな手腕で膨らませてくれました。
渡辺:いや、「曲が呼んでくれるアレンジ」ってあるんですよ。今回はまさにそれで、清水さんから曲をいただいて、迷うことなく出来ちゃった感じでした。そうそう、何かアクセントが欲しいなと思って時計の針の音を入れてみたんです。後々、クロノスのバックに巨大な時計の文字盤が出ていて、かなりテンションが上がり
ました(笑)。
貴水:え、それは全くの偶然?
渡辺:そうです。「Wish in the dark」の頃はまだクロノスを知らなかったですからね。
――その時計の音は何からインスピレイションを得たのでしょうか?
渡辺:僕は小学生の頃にaccessを知ってファンになったのですが、アレンジで参加させていただく際に「20年近く経ってまさか、貴水さんとご一緒にお仕事できるなんて」と思って。それで「時間」ってキーワードが浮かんだんです。
貴水:いや、すごいね。今日一番感動しましたよ!
- 「JUSTICE」が内包する奥深さ
――そして2曲目が「JUSTICE」です。
貴水:これは歌詞を読み込むと、まさに檀正宗の生き様が感じられる楽曲になっていたかと思います。クロノスのテーマとは明言してないけど、世界観を解釈させてもらうと、そうなるのかな。
清水:その辺りは、確か後で決まった感じだったね。
貴水:曲自体は「Wish in the dark」のほうがハイテンポだけど、力強さのようなものは「JUSTICE」のほうが感じる。そういう意味でも気合を入れて、レコーディングに臨みました。
――アレンジは清水さんと渡辺さんが手掛けられたそうですが、いかがでしたか?
清水:歌に関しては、ヒロのポテンシャルを持ってすれば全く心配がなかったけど、実は曲自体は割とウェットなんですよ。
渡辺:ええ。メロディには、ちょっと切ない感じがありますね。
清水:だけど、「仮面ライダー」の挿入歌である以上、力強さはマストだし、何かそこで色彩的な豊かさを残したいなとは思っていました。
渡辺:逆に僕のほうでは、キラキラした音色を足したりして、力強さだけじゃないぞ、といった部分を出してみたつもりです。
清水:「Wish in the dark」の後で地味だと思われたくないですしね。
渡辺:ええ。それと、さっき時計の音の話をしましたが、実は「JUSTICE」にも若干小さめの音で入っているので、探してみて下さい。
貴水:時計を探せ!(笑)。
渡辺:(笑)。
清水:そういう遊び心も含めて、二人で共有しながら纏めていった感じかな。
渡辺:そうですね。
清水:サビやカウンターで「JUSTICE」と歌うところは、普通は2声でハモるところを、ヒロに3声で入れてもらったんです。明るさを出すという部分では、細かい配慮をしたつもりです。
貴水:ああ。やったねぇ
清水:もちろん、ヒロの歌声は絶対に抜けるから、自ずと明るさは表現されるとは思うけどね。
末永:パッと聴くと、単に明るい曲という印象ですが、実はとても深い内容なんですね。
ats-:確かに。元々、貴水さんに持ってる僕のイメージは割りとブライトでハッピーだったのですが、今回はハードだし、非常に奥の深さを感じます。
田中:しかも、檀正宗役を演じているときとは、声も全然違っていて。
末永:もっともっと聴き込んでみたいと思いました。
貴水:「仮面ライダー」の世界観って、何かしら、みんな闇を抱えているでしょう。その中で一筋の光明を見出し、微かな希望に向かって進んでいく感じというのかな。なかなかありそうでないコンセプトで、それこそが「JUSTICE」の魅力だと思います。
清水:まさに思っていたことを言葉にしてくれてありがとう。
貴水:何と言っても悪なのに「JUSTICE」だからね!
過去の連載はコチラ↓
新企画始動!貴水博之×ats-,清水武仁&渡辺徹 Feat.AXL21座談会 第一回
https://avex-management.jp/news/180602_5538
新企画始動!貴水博之×ats-,清水武仁&渡辺徹 Feat.AXL21座談会 第二回