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新企画始動!貴水博之×ats-,清水武仁&渡辺徹 Feat.AXL21座談会 第二回

イベント 音楽

次世代ユニットX21から選抜されボーカルを務めたAXL21と、ats-、清水武仁、渡辺徹の“スーパークリエイター”3人が手掛ける『仮面ライダービルド』の挿入歌。

その裏側に迫るavex management web(以下 AMG Web)での週刊連載だが、この度、新たな座談会企画がスタート。ゲストに迎えるのは、『仮面ライダーエグゼイド』で、仮面ライダークロノス/檀正宗役を演じた歌手&俳優として活躍するaccessの貴水博之!

第2回目では、あまり語られる機会のなかった『エグゼイド』の劇伴音楽について取り上げてみたいと思う。映画音楽、サウンドトラック、BGM、背景音楽などとも称される「劇伴」。一般的にはあまり馴染みがないジャンルかもしれないが、映像作品においては欠くことができない重要なパートである。ここでは、貴水さん演じる仮面ライダークロノスの劇伴を始め、『ビルド』挿入歌でも活躍中のスーパークリエイター3人をメインに据え、そのクリエイティビティを紐解く――

 

テキスト:トヨタトモヒサ

写真:阿部薫

 

  • 劇伴音楽とは?

――クリエイターのお三方は『エグゼイド』で劇伴を手がけていらっしゃいますが、accessのサポートメンバーとしても知られている清水さんと貴水さんが同じ作品に関わるというのも何か縁を感じさせますね。

 

清水:まさに縁の力です。

 

貴水:完全にそう。しーちゃん(※清水さん)とは縁があるね。

 

清水:不思議ですねぇ。でも、どこで知ったの?

 

貴水:どこだったかなぁ。刑務所の場面を撮っていた頃はまだ知らなかった。

 

清水:確か、accessのツアー中にヒロから「しーちゃん、(『エグゼイド』の劇伴)やってるんだって?」と聞かれた気がする。

 

貴水:そうだ、そうだ。確かその辺りだった。しーちゃん、奥ゆかしいから、自分から、そういうこと言わないんだよ(笑)。

 

清水:僕は「ヒロが仮面ライダーに出るかもしれない」ってなんとなく聞いていたからね。

 

貴水:劇伴ってさ、相当な量があるんだよね?

 

清水:まぁ、そうだね。

 

渡辺:3人で分担して、テレビシリーズだけで100曲以上あります。

 

田中:そんなにたくさん!

 

末永:めっちゃあるんですね~。

 

貴水:いや、すごいね。だって、ほとんどのシーンで何かしら音楽が流れているわけじゃない。

 

――映画とテレビでまた劇伴の作り方も違うかと思いますが、いかがでしょうか?

 

ats-:まず映画の場合、映像が送られて来ます。それを全員で観つつ、イメージを膨らませて作曲に取り掛かります。それでシーンが切り替わるタイミングに合わせてキーを変えたり、転調させたりするので、組曲のように異なる曲が繋がった1曲が出来上がります。また、パンチしたら、そこでヒット音が鳴るといった細かい表現も映画音楽ならではの手法で、全てタイミングを合わせてシーケンス上に並べて動画も一緒に走るようするわけですが、ちょっとテクニカルな部分が要求されますね。それにパソコンも重くて大変です(苦笑)。

 

渡辺:テレビでも映画でも、割と心情シーンの曲を書かせていただく機会が多かったのですが、映画だと、やはり事前に映像をいただけるのが大きいですね。役者さんの芝居や表情を観ながら、音を盛り上げたり、テンポチェンジしたりして、音を通じて演技を盛り上げて行ければなと。そこは映画ならではの醍醐味です。

 

貴水:そういう創意工夫があるんですね。

 

ats-:逆にテレビでは、タイミングっていうよりは、個々の楽曲について、「こういった形で流れます」と聞いて、そこに当てハマる音楽を想像して作ります。

 

貴水:どっちが大変なんですか?

 

ats-:合わせるほうが高度ですね。

 

貴水:しーちゃんは?

 

清水:どっちも大変だけど、作っていて楽しいのは画に合わせて書ける映画かな。

 

貴水:さすが、合わせ上手!(笑)。

 

清水:テレビの場合は映像がない。

 

――テレビの劇伴は、番組自体が始まる前にある程度、まとまった数の曲を用意しないといけないわけですよね。

 

清水:ええ。ですから、「日常」、「怒り」、「悲しみ」といったワードを手掛かりに作曲します。作曲するタイミングは前期と後期の二回に分かれていて、後期で、前期と似たようなワードがある場合は、担当を変えることもありますね。

 

貴水:アバウトなイメージがあるんだ。1曲は長いの?

 

清水:だいたい2~3分くらいで、短いと30秒とか。

 

貴水:ここまで創ったけど、実際はここまでしか使われてないとか、そういう場合もあるわけでしょ?

 

清水:ええ。劇伴ってそういうものなんだよね。使われる場面は短いし、劇中では、画に合わせて音楽も編集されているんですよね。

 

ats-:逆にたった一回しか流れてない曲もあります。

 

清水:それどころか流れてないのもある。

 

貴水:CM前とかの決まった曲があるじゃない。ああいうのも耳に残るよね。

 

清水:そういうジングル的なものも、こちらで用意しました。

 

ats-:毎週の提供クレジットで流れるゲームっぽい音楽(※「ゲームスタート!」)はまさに清水さんの作曲ですよ。

 

清水:たまたま、僕の担当分に含まれていたから、用意したまでなんですけどね。

 

貴水:なるほどね。でも、その振り分けはどうやって決めるの?

 

ats-:ざっくりとはキャラ毎です。僕は主にエグゼイド担当。

 

渡辺:僕はスナイプやレーザー関連の楽曲を。

 

貴水:誰が何を書くかでケンカになったりはしないの?

 

渡辺:いや、それはないです(笑)。

 

ats-:そこは、お互いどうぞ、どうぞと。

 

清水:そういう意味では、上手く擦り合わせが出来ていたんじゃないかな。

 

ats-:で、クロノスは当然清水さんが(笑)。

 

清水:クロノスは、ヒロが演じるわけだから、当然、僕がやったほうがいいでしょう。すぐにイメージが浮かびましたね。

 

貴水:素晴らしい!

 

  • 貴水&清水の友情が生んだクロノスのテーマ

――清水さんがクロノスの劇伴を作曲されるというのは、事前に貴水さんにお伝えしていたのでしょうか?

 

清水:クロノスは後期作曲分だったんだけど、「クロノス絡みで何曲か作ったんだよ」っていうのは、彼に報告してましたね。

 

貴水:ちょうど「JUSTICE」のレコーディングの時に、クロノスの変身シーンのラフの映像を観させてもらって、しーちゃんが「ここに僕が書く音楽が入るんだよ」って。

 

清水:でも、その時点で、ヒロは僕がどんな曲を書くかは分からなかったよね。オンエアを観て初めてどういう音楽が流れるか知ったんでしょ?

 

貴水:そう。音の入ってないラフの映像だと、ちょっと寂しい感じがあるけど、オンエアを観ると、めちゃくちゃカッコいい音楽が付いていたので、そこはもうさすが!としか言いようがないですよね。

 

清水:クロノスの劇伴は、「ゼロデイ」(※劇中、ゼロデイに纏わる回想シーンで度々使われていた劇伴)と並ぶ渾身の1曲だと思っています。

 

渡辺:クロノスは、ほとんど立候補でしたもんね。

 

貴水:なんだよ~、好きなら好きって言ってよぉ!(一同笑)。

 

清水:もちろん、2人がやっても絶対にいい曲ができたと思うけど、まぁ、そこは長い付き合いだからね。

 

――なんでも聞いた話だと、accessのファンの渡辺さんも書きたかったとのことですが。

 

渡辺:いやいや、まぁ……(笑)。

 

ats-:実は僕もちょっと書いてみたいと思っていたんです。

 

清水:いや、すみませんね~(笑)。

 

田中:取り合いに!

 

末永:ケンカしないでください(一同笑)。

 

ats-:実は悪のヒーローが好きで、ゲンム、パラドと担当してきたので、せっかくなら悪シリーズを極めたいなって。

 

貴水:それはなんとなく分かる気がする。演じていてもそうだけど、悪の部分って、普段生きていて、なかなか表現できない精神的なものだから、すごく演じ甲斐があるんですよ。

 

ats-:歌ものでも、悪の本質に迫るような曲はなかなか書く機会がないんですよ。

 

清水:ats-さん、悪得意だもんね。

 

ats-:そう。得意なんです!(笑)。

 

貴水:芝居でも、悪はめちゃくちゃやっても許されるから、楽しいんですよね。

 

末永:そうなんですか。

 

貴水:うん。機会があったら是非、挑戦してみるといいね。

 

末永:はい!

 

ats-:音楽も「悪」は堪らないものがありますよ。

 

清水:そういう意味では、3人それぞれ好きな傾向がありますね。徹ちゃんは?

 

渡辺:え、いきなり僕ですか?

 

ats-:彼はバラード系の劇伴が得意。

 

清水:ドラマ中もよく使われていました。

 

――「trust me」や「To Heart」等、劇中で感動的なシーンで流れていた楽曲を担当されていましたね。

 

ats-:あれは絶対に泣く。流れるたびに泣いちゃう(笑)。

 

清水:キターって感じになるよね。

 

ats-:曲を知っていても、泣くんだから、まさに名曲ですよ。

 

渡辺:ありがとうございます!

 

――各仮面ライダーの戦い、ピンチ、登場人物の喜怒哀楽、様々な状況説明と、あらゆる音楽を、クリエイターのお三方が手掛けているわけですよね。

 

末永:そういうことなんですね!

 

田中:いや、そう言われると、ホントにすごいなって思います。

 

清水:まるで今知ったかのような。そのリアクションはもうちょっと前!(笑)。

 

田中:「劇伴」と言われても、なかなかピンと来なかったのですが、勉強になりました。

 

  • 劇伴音楽に込められた思い

――確かに「劇伴」って言葉自体がなかなか一般的ではないですからね。

 

末永:はい。まずはとにかく量の多さに驚きました。

 

田中:ホント!

 

末永:たくさんシーンに応じて様々な音楽があるなんて考えてみたこともなかったです。改めてうかがってみて、どの曲も拘って創られていて、それだけたくさんのアイディアと絶対的な熱量が求められると思うと、本当に大変な作業なんだなって。

 

田中:『ビルド』で「Ready Go!!」「Evolution」が流れた時も思ったのですが、音楽の持つ強さってありますよね。セリフに加えて、先生方が創られた劇伴が入ることで、映像にさらに説得力が増す、みたいな部分はすごく感じます。

 

ats-:そういう意味だと、セリフを食わない音楽という意識も大事。あまりうるさい音楽を書いてしまうとセリフが聴こえなくなってしまいますしね。

 

清水:まぁ、サントラを聴いてもらわない限りは、全体のイメージはなかなか掴み難いとは思いますね。

 

ats-:断片的にしか使わないものですしね。

 

清水:でも、我々としては、尺は短いとはいえ、ひとつの曲として完成させているから、やっぱり全容を知っていただきたい。

 

渡辺:創った側としてはまさにそういう思いですね。

 

貴水:これは是非サントラを聴かないとね。

 

田中&末永:是非聴いてみたいと思います!

 

  • 次回予告

座談会第2回はここまで! 6月9日公開の第3回からは、いよいよ貴水博之が歌った『エグゼイド』挿入歌の話題へ。「Wish in the dark」、「JUSTICE」、「Believer」…原稿は鋭意作成中。読まないと絶版だ!?

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