蓮花「金魚涙。」ShortPV
その清く澄んだ歌声が人々の耳を惹き付ける女性シンガー、蓮花。FM NORTH WAVEで放送中のレギュラー番組『蓮花 Voice…』の人気コーナー「~My Voice~」では、J-POPや洋楽、さらにはアニメソングのカバーをアカペラで披露している。歌声のみで表現されたそのカバーを聴けばきっと、彼女が「時代を潤す癒しの歌声」と称されるのも納得いただけるのではないだろうか。そんな蓮花がニューシングル「金魚涙。」をリリースしたということで直撃インタビュー。FM NORTH WAVEのアカペラ・コーナーの制作秘話や、自身が影響を受けた音楽やシンガーを志したキッカケなどのプロフィール、そして新作「金魚涙。」制作の経緯と歌詞に込めた想いを聞いた。7月21日(土)に東京・六本木クラップスで開催される自身2度目の単独ライブ「3周年記念ライブ 蓮花~Live Voice#1~」も見逃せなくなりそうだ。
アカペラを聴けば納得の「時代を潤す癒しの歌声」
──FM NORTH WAVEでご自身の番組『蓮花 Voice…』が放送中です。番組開始からどのぐらい経ちますか?
デビューと同時にスタートしています。7月で4年目に入りますね。
──番組内の人気コーナー「~My Voice~」では、アカペラで様々な楽曲をカバーされています。放送後YouTubeにアップされているアカペラを聴いて、資料の「時代を潤す癒しの歌声」というコピーも納得しました。
ありがとうございます。アカペラの収録は一発録りで、ものすごい緊張感なんです。だから、事前にかなり準備はしますし、今まで歌い直した事はありません。それぐらい集中力を高めて歌うから心も鍛えられますし、いい経験をさせて貰っています。
──カバー曲は、松田聖子さん「赤いスイートピー」、レミオロメンさん「粉雪」、洋楽のベット・ミドラーさん「The Rose」など多岐に渡っていますが、選曲はご自身で?
基本的には私がカバーしたい曲を提案して、チームの皆さんと一緒に相談しながら選んでいます。曲毎に歌い方もキーも違いますし、ノドの使い方もコントロールして、いろいろな表現で私の声を伝えることが出来るかなと思って、懐かしい曲から最近のアニメソングまで歌っています。原曲のキーをあえて低くしたり逆のパターンもあったり、私自身の色を出せるように練習しながら声を見つけて行きます。
──そのカバー曲の一方、ツイッターには「Carole Kingの名盤『Tapestry』に、私は何度も救われてきた」と書かれていました。蓮花さんは、どのような音楽、アーティストに影響を受けているのでしょうか?
日本語を大事にされているアーティストもよく聴きます。松任谷由実さんや中島みゆきさんは、本当に心の奥まで刺さるような言葉をチョイスされているので、作詞の面でも影響を受けています。様々なアーティストに影響を受けてきましたが、やっぱり幼い頃の記憶が未だに根付いているのかなと思います。テレビの音楽番組だったりCDだったり、日常的に音楽が流れているような家庭でした。両親に「これは誰の曲?」と聞いたりして自然に身に付いたというか、幼い頃から音楽に浸りながら生活していましたね。
カバー曲にあったベット・ミドラーもそうですし、両親は洋楽もよく聴いていました。小学生時代は母と一緒にエンヤのアルバムをずっと聴いていました。その記憶もあって、デビュー曲「if~ひとり思う~」では、エンヤの歌を何度も聴いて、その世界観を自分の中に落とし込んでいって私自身の声にしていきました。それは作詞においても同様で、小説を読んだり映画やアニメを観たりする中で、好きな作品の感動したポイントを何度も咀嚼し消化した上で、私自身の言葉で紡いで行く事が多いです。
──日常的に音楽が流れている家庭に育ってシンガーを目指すように?
詩人の金子みすゞさんが好きで、子供の頃から詩を書いていたので、将来は作詞家や小説家といった文章を書く仕事に就きたいなと思っていました。ですが、親にミュージカルなどの舞台を観に連れて行って貰う機会も多かったんですね。そこで、大勢の観客が歌に感動する姿を目の当たりにして、言葉を音楽に乗せて伝えたいと思うようになりました。それからずっと歌手になる夢を追い続けてきましたが、まさか叶うなんて思いもしませんでした。今も新曲をリリースさせて頂くたびに歌わせて貰っている事に感謝しています。
──蓮花さんは作詞もされています。今回の「金魚涙。」や前作「徒桜」など言葉の表現が独特な印象を受けました。小説もよく読まれるそうで、橋本紡さんの小説『流れ星が消えないうちに』が愛読書の1つと伺いました。
『流れ星が消えないうちに』もそうですが、気に入った作品は何度も読み返します。同じ文章でも1年後に読むのと3年後に読むのとでは印象が違いますし、年齢や重ねた経験値によって言葉の意味や捉え方が変わるので読書は勉強になりますね。それに、言葉を頭に入れてから寝ると落ち着くんですよね。次の日に作詞をする時に生きてくるような気もしますし(笑)。今日はこの気分だなとか導かれるままに本を選んで、一言でも読んでから寝ますね。
──ちなみに好きな作家は?
女性作家のLiLyさんは学生時代から読んでいます。女性の内面を代弁してくれているような作品を書かれているのですが、LiLyさんの本はもう付箋だらけです。読み辛いから、もう1冊買わなければと思うぐらいです(笑)。吉本ばななさんも好きですし、女性作家の作品をよく読みます。意識してそうしているのではありませんが、振り返ってみると、聴いてきた歌も読んできた本も、女性の作品が多いですね。
作曲者を知らずに選んだ運命の1曲
──人気TVアニメ「信長の忍び~姉川・石山篇~」の主題歌となるニューシングル「金魚涙。」は、壮大なストリングスから始まり、次第にドラマチックに盛り上がっていく展開が印象的です。CD発売前から先行配信がスタートしていましたが反響はいかがでしたか?
ファンの皆さんからお手紙を頂く事も多くて、しかもすごく熱心に書いてくださっているので読んでいて感動します。歌の捉え方や感想はそれぞれ違って、私自身が気付かされる事も沢山あります。今回の「金魚涙。」については「1本の映画を観終わったような気分になりました」とか、「切ないメロディですけど聴き終わったら心がスッと晴れやかになりました。すごく不思議です」という感想を頂きました。切ないけれど聴き終わった後に晴れやかになる、気持ちが楽になるという感想を頂いて、この曲を作って良かったなって思いました。
──「白雪」「徒桜」に続き、「金魚涙。」も永見和也さんの作曲です。
『信長の忍び』のタイアップが決まってから、スタッフさんが絞ってくれた複数のシングル候補曲を、作曲家さんの名前を伏せて聴きました。その候補の中から、私が「この曲を歌いたいです」と伝えて、そこで初めて和也さんの曲と知りました。「白雪」「徒桜」の曲も同じように決まったんですよね。だから不思議な縁を感じますし、音の力はすごいなと思います。
──運命の1曲ですね。永見さんは「金魚涙。」について「蓮花さんの声だから浮かんだメロディです」とツイートされていました。
歌詞にはメロディに感化されて出てきた言葉が沢山ありますし、和也さんの曲が「金魚涙。」を作ってくれたと言っても過言ではありません。毎回レコーディングを終えてから実感するのですが、人や音との出会いのおかげで蓮花の声はドンドン進化していくんだなって。「金魚涙。」では特にそう感じました。
──永見さんの曲から、歌詞はどのように考えられたのでしょうか?
『信長の忍び』に寄り添いつつ、夏をイメージする曲にしたいなと考えていました。最初に歌詞のインスピレーションを受けたのは、人の瞳の中を見ていた時です。疲れていると目が赤くなったりしますよね。瞳の中にあるその赤い色が、私には水槽を泳いでいる金魚のように見えた瞬間があったんですね。その時に「これだっ!」と閃きました。言葉よりも目のほうが気持ちを語る事もありますし、瞳にフォーカスを当てようと思ったんです。それなら『信長の忍び』に寄り添いつつ、自分の伝えたい想いも表現できるかなって。
──「金魚涙。」というタイトルは、どんな風に決められたのでしょうか?
私は「歌詞ノート」を作っていて、そこにはタイトルにしたい言葉も書いています。そのノートの一番上に、何年も前から「金魚涙。」と書いてありました。「このタイトルは絶対にいい!」と思っていたのですが、今回、人の瞳を見てインスピレーションを受けて書いた歌詞「潤んだ瞳の中で 泳いでいる金魚たち」と、長年温めていたこのタイトルが見事に重なったので。「これしかない!」とタイトルに決めました。
──歌詞では「我らを 赤く染めてゆく」、「熱を帯びている胸に手を当て/あなたを思ふ」というフレーズが、『信長の忍び』を意識しているように感じました。
人が赤く染まる瞬間は日常の中にも沢山あるように思います。例えば、抑えきれない感情や情熱、ケガをして血が流れる事もあるでしょうし、瞳も赤くなることもありますよね。一方、今回の『信長の忍び』では、姉川の戦いで血の海になるシーンがあります。そこで、いざ戦いに行くぞと覚悟した武士は目が血走っていたかもしれないし、大切な人を残して戦場に向かう想いを色で表すなら赤だろうなと思って、『信長の忍び』と私たちの日常を重ねながら歌詞を考えました。反対に待つ人の心を表現しているところもあります。信長の妹・お市は、夫の長政に戦に行かないで欲しいけど送り出さなければいけない。そのお市の葛藤を汲み取って「言葉は、裏腹ね…。」と書いています。『信長の忍び』のキャラクターの想いを重ねて表現した言葉も沢山ありますが、普段は言えないような私自身の葛藤も歌詞に反映させて書いているところもあります。
──また、YouTubeでは、ミュージックビデオのショートバージョンが公開されています。
今回のミュージックビデオは、映画監督の古厩智之さんが脚本から絵コンテから全てを手掛けています。
──長澤まさみさん、小栗旬さんが出演した映画『ロボコン』の古厩監督ですか?
その古厩監督です。私のマネージャーさんと同級生だった事からお願いしました。古厩監督がイメージした「金魚涙。」を映像化してくれたのですが、すごく綺麗な映像なので私自身が何度も繰り返し観ています(笑)。登場人物の心情が伝わる作品で、楽曲の繊細な部分まで汲み取ってしてくださっているんだなと感じて、ありがたかったですね。
2度目の単独ライブも感動を届けられるように
──2曲目の「Rainy day…」はツカダタカシゲさんとMiss-artさんの作曲、3曲目の「jewelry☆」は目黒良子さんの作曲です。それぞれ初めてご一緒する作曲家さんのようですが?
「Rainy day…」も「jewelry☆」も、デビュー当時から温めてきた曲です。曲を頂いて、私が歌詞を書いて、そしてレコーディングという作業を数えきれないほど繰り返しているので、実はその貯金が沢山ありまして(笑)。その中から今回の2曲を磨いてカップリングに収録しました。
──未発表曲が沢山あると知って今後への期待も膨らみます。もったいぶらないでくださいね(笑)。
本当ですよね(笑)。7月21日に2回目のワンマンライブがあるので、その時はもったいぶらずに披露したいなと(笑)。温めてきた曲が沢山ある分、皆さんに新しい曲も届けられたらなと思っているので、ワンマンライブはすごく楽しみです。
──「Rainy day…」は歌詞に「三度目の夏」とあって、少なくとも2年間は恋心を隠していた主人公が1歩を踏み出す物語です。
カップリングの収録が決まってから、「Rainy day…」の歌詞はガラリと書き直しました。映画監督や小説家になった気持ちで、主人公や登場人物からストーリーの設定まで細かく考えてから作詞をして。そういう書き方をしたことが無かったのですごく新鮮でした。
──雨という題材は、リリース時期から梅雨を意識されました?
「金魚涙。」も夏にかけて聴いて欲しいなと思いながら書いたから、「Rainy day…」も作詞にあたって少し季節を意識しましたね。「真夏の雨降る あの日のこと」というフレーズがありますが、私の歌詞には夏とか雨がよく出てきます。反対の言葉、イメージカラーで言うと赤と青。例えば「金魚」が赤で「涙」が青。そんな風に赤と青が行き来するような言葉を紡ぐのが、私のクセなのかもしれないですね。分かりやすく色で言うと赤と青ですけど、男性と女性を表すマークも青と赤で色が分かれていたりしますよね。感情もポジティヴが赤でネガティヴが青。色でイメージして反対の物事をくっ付けてみたら、複雑に絡み合った人の心情も表現できるんじゃないかと思って。どの作品も、私の根底にあるその考えから歌詞を書いています。
──3曲目の「jewelry☆」はポップな楽曲で、蓮花さんの歌声がスーッと耳に馴染みました。
リラックスをテーマに歌った曲なので。そういう感想が聞けて安心しました(笑)。例えばお風呂の中で、何も考えずに口ずさみたくなるような、ゆったりほんわかした気持ちになって貰える曲を作りたいと思って。私の曲にはそういう作品が少ないので、気持ちが軽くなるシンプルな歌を、言葉遊びをしながら作ろうという想いがありました。それを素直に表現した曲ですね。なので、歌は楽しいなという子供みたいに素直な気持ちでというか、童心に帰ったつもりで歌いました(笑)。私の中で声帯の設定があって、それをガチャッと切り替えて声の色も子供っぽくしています。意識としては声優さんが役を演じるように、ワンピースを着て風船を持った子供が歌っているようなイメージで、その子に成り切って歌っていますね。
ちなみに「Rainy day…」は、ピンヒールを履いた女性に成り切って歌っています。役柄も声の質も曲毎に違う自分を表現しているので、1曲1曲思い入れがあります。
──ラストナンバーは「Gemini ~brilliant blue remix~」です。「~brilliant blue remix~」というのは、蓮花さんが名付けられたのですか?
私ではなくアレンジャーさんが付けてくれました。シングル「白雪」のカップリング曲を音にこだわってリミックスして頂いています。弦の音などさらに磨きがかかっているので、オリジナルと聴き比べて楽しんで貰えたら嬉しいです。
──今回のリリース形態はCO+DVDで、特典DVDには、2016年10月1日に東京都内のライブハウスにて開催された、初の単独ライブ『蓮花~Live Voice#0~』から「Gemini」「Don’tCry」「笑顔の影」の3曲のライブ映像を収録しています。
初の単独ライブだったので、いろんな想いが込み上げて、すごく緊張したのを覚えています。でも、ファンの皆さんが見守ってくださっている温かな空気に包まれてリラックスする事が出来ました。私自身は収録映像を厳しい目で観てしまうから反省点もありますが、でもやっぱり感動が一番でしたね。ピアノとギターを演奏してくださったミュージシャンの情熱を感じながら歌ったので、それらの音が一つになった時の感動も、映像を観て思い出しました。7月21日に開催する単独ライブも、またこの感動を届けられるようにしたいです。
──先程からお話し頂いているその単独ライブ「3周年記念ライブ 蓮花~Live Voice#1~」は、7月21日に六本木クラップスで開催されます。今回はどのようなライブになりそうでしょうか?
新曲も披露する予定なので、私自身も楽しみにしています。ファンの皆さんと会話をするように、語り掛けるように歌を届けられればと思います。リラックスした雰囲気を作って、純粋に音を楽しんで欲しいです。蓮花の音楽の世界観を伝えて、その瞬間を皆さんと一緒に刻みながら楽しみたいですね。
(取材・文:岡村直明)
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<CD>
1. 金魚涙。
2. Rainy day…
3. jewelry☆
4. Gemini ~brilliant blue remix~
※曲名クリックで歌詞を表示
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<DVD>
2016年10月1日に東京都内のライブハウスにて開催された、蓮花初の単独ライブ『蓮花~Live Voice#0~』から「Gemini」「Don’t Cry」「笑顔の影」の3曲のライブ映像を厳選収録!!
PV視聴URL:https://youtube.com/watch?v=IUBcJ_aKA1w&feature=youtu.be
【CD発売情報】
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蓮花 3周年記念ライブ「蓮花~Live Voice#1~」
7月21日(土) 【東京】六本木クラップス
※公演の詳細、最新のLIVE情報はOfficial HPをご確認下さい。
http://renka-web.com/
2015年7月1日にニンテンドー3DSソフト「ファイアーエムブレムif」 のテーマ曲「if~ひとり思う~」で鮮烈なデビューを飾る。素性を明かさず、メディア露出をしないにも関わらずオリコンデイリーランキング11位、ウィークリーランキング20位に。
TVアニメ『信長の忍び』の放送開始時の主題歌「徒桜」は多くの要望から緊急配信を実施。iTunes J-POPランキングではデイリー5位をマークする。
“誰か”が言葉にできない思いを綴り、奇跡の歌声と称された、清く澄んだ歌声で、時代を癒す。
現在、北海道FM NORTH WAVEでレギュラーラジオ番組『蓮花Voice…』を持ち、 独特な世界観でトークも展開中。