2017年にデビュー30周年を迎え、ベスト・アルバムをリリースした鈴木聖美が、そのアルバムを記念したライブ「”Woman Soul” Tour 2017-2018」を4月27日に東京マイナビBLITZ赤坂で開催した。
東京・大森という下町生まれの彼女らしく、お祭りのお囃子でオープニング。一曲目の「悲しきハート」(1990)からファンキーなビートに乗って歌い上げる姿は、まさにソウル・ディーヴァ。そのヴォーカルはもちろん、「いま31年目だけど、けっこういい歳なのよ。デビューが遅かったから」と、客席をなごませながら自らの30周年をセレブレイトする気さくさにも大きな拍手と歓声が沸き上がった。
「今夜は楽しさてんこ盛りだからね」という言葉通り、「鈴木家の歌です」という「Down town story」(1992)、さらにR&Bのカバーやバンドメンバーとのア・カペラとバラエティーに富んだナンバーを披露。
名曲「TAXI」(1987)に続いてサプライズ・ゲストの杉真理がオン・ステージ。鈴木聖美がワン・フレーズ歌った「ウイスキーが、お好きでしょ」を作者である杉真理も絶賛。同世代のアーティスト同士ならではのトークで盛り上がった二人は、2012年のアルバム『RADIO STAR HEROES』に杉真理が楽曲提供、デュエットも果たした「Precious friend」華やかに歌い上げた。
デュエットと言えば、鈴木聖美のデュエット歴には「本格派」の名前が並ぶ。海外からはピーボ・ブライソン、マイケル・マクドナルド、デヴィッド・シー、国内では柳ジョージ、上田正樹、木村充揮、大澤誉志幸、黒沢薫(ゴスペラーズ)、郷ひろみなど、ヒストリーにずらりと並ぶデュエット・パートナーたちと数々の名唱を残してきた。
そんな「デュエットの女王」である彼女にとって最高のデュエット・パートナーと言えば、弟である鈴木雅之。「じゃあ、ここからは”鈴木聖美 with Rats & Star”(デビュー時の名義)で行ってみようか」という彼女の紹介で、鈴木雅之、佐藤善雄、桑野信義が登して、客席の持ち上がりは最高潮を迎える。
桑野信義、鈴木雅之との「星空の二人」(2011)、鈴木雅之と「夜明けのスターライト」(1988)、大ヒット・ナンバー「ロンリー・チャップリン」(1987)とデュエット・ナンバーを立て続けに披露。「ロンリー・チャップリン」では歌い出しのパートナーを佐藤善雄が、そして後半では桑野信義が担当するというサプライズもあって、「楽しさてんこ盛り」の言葉通りのステージング。大人のアーティストが集った、まさに円熟のエンタテインメントが繰り広げられた。
客席も合唱しての「ハッピー・バースデー」のプレゼントから、アン・ルイスが作曲、山口百恵が詞を書いたことでも話題となったデビュー曲「シンデレラ・リバティ」を”鈴木聖美 with Rats & Star”スタイルで歌い上げて本編が終了。
アンコールもさらに「楽しさてんこ盛り」。まず、鈴木雅之、佐藤善雄、桑野信義が「(アンコールの)前座です」とステージに登場して、「STAND BY ME」から「ランナウェイ」をメドレーで披露して、”お姉ちゃん”の30周年に華を添える。客席も大合唱して盛り上がったステージに、それまでの白い衣装から黒いドレスに着替えた鈴木聖美が再登場。ドナ・サマーの「She Works Hard For The Money」のカバーから、1987年のデビュー・アルバム『WOMAN』と「シンデレラ・リバティ」のB面に収められた「Darlin’」を熱唱。ここで杉真理が呼び込まれ、「俺たちは、みんなナイアガラ・ファミリーですから。杉さんを交えて大滝詠一さんのこの曲をみんなで歌おうか」と鈴木雅之が紹介。鈴木聖美と豪華メンバーが歌いつなぐ「夢で逢えたら」が会場を満たしていった。
そして、ステージにひとり残った鈴木聖美がラストの曲に選んだのは、サム・クックの「A Change Is Gonna Come」。それは単なるカバーではなく、幼い頃からR&Bやポップスを愛し、弟とステレオの前で歌ってきた、そんな鈴木聖美にしか歌えない響きを湛えている。
ベスト・アルバム『GOLDEN☆BEST WOMAN SOUL』に収められたナンバーとカバー、さらにRats & Starのヒット曲と、最後の最後まで「てんこ盛り」。キャリアの中で培ってきたつながりを大切にして、「これからも楽しくやっていこうと思います。よろしくどうぞ!」と最後まで気さくに客席に話しかける鈴木聖美の、まさに「魂(ソウル)」がこもったステージだった。
<リリース情報>
『GOLDEN☆BEST 鈴木聖美~ WOMAN SOUL ~』。
2017年9 月27日発売
■CD2 枚組 ■Blu-spec CD2(高品質CD)仕様 ■価格:\3,000+税 ■品番:MHCL 30469-70
歌に魂を宿し、そこから新たに生まれる鼓動と息吹が聴く者の魂を揺り動かす。それが鈴木聖美のヴォーカルだ。
2017 年、デビュー 30 周年を迎え、実弟・鈴木雅之をプロデュース・監修として制作された記念ベスト・アルバム。