日本のロック史に刻まれる名盤『THE BARN』の発売から20周年を記念して、佐野元春 and The Hobo King Band名義のライヴ・フィルム『THE BARN TOUR ’98-LIVE IN OSAKA』(2018 REMASTERED EDITION)が1月16日(火)Zepp Tokyoと17日(水)Zepp Namba(OSAKA)でそれぞれ一夜限定プレミア上映が行なわれた。
センター・エリア席はチケット発売と同時に東京・大阪共に即日完売となったプレミアムイベントから16日のZepp Tokyoの模様をお届けする。
最新アルバム『MANIJU』が傑作の呼び声も高くその活動が注目されている孤高のロッカー、佐野元春。約40年のおよぶキャリアのなかでもターニングポイントとなったのは90年代半ばのことだった。
1980年のデビュー以来、佐野元春の音楽活動を支えてきた“The Heartland”解散後、彼のロック・ミュージックに捉われない幅広い表現を追求すべく1995年に結成されたバンドが“The International Hobo King Band”だった。
1996年発表のアルバム『フルーツ』と、それに伴う全国ツアーを経て、よりシンプルかつスリムな形で“佐野元春and The Hobo King Band”が1997年に誕生した。
そして、その年の夏、佐野元春 and The Hobo King Bandは米国ウッドストックに渡った。向かったのはウッドストック・サウンドの聖地といわれるベアズヴィル・スタジオ。
多くのアメリカン・ロック名盤を産んだ聖地で、彼らは満天の星空、戯れる鹿、焚き火を囲む食事、3週間に渡る合宿レコーディングはバンドをより強固なものにしている。
彼らはジャケットにも写っている納屋(BARN)を改装したスタジオで、共同プロデューサーに、The Bandの『The Band』『Music From Big Pink』等数多くの名盤を手掛けたジョン・サイモンを迎えアメリカン・ルーツ・ミュージックから影響を受けたサウンドを奏でる『THE BARN』を完成させた(1997年12月1日発売)。
1998年1月~4月、アルバム『THE BARN』を携えての全国ツアーの最終公演、大阪フェスティバルホール公演の模様は、ゲストに、ジョン・サイモン、ザ・バンドのメンバーであるガース・ハドソンが参加。
70年代米国の伝説的なポップ・ロックにリスペクトする内容となったことからも伝説のライヴと語り継がれ、VHS/DVD『THE BARN TOUR ’98-LIVE IN OSAKA』(約90分)はロングセラーを記録した。
今回の上映は、リマスターが施された「2018 REMASTERED EDITION」として蘇り(アルバム収録曲「マナサス」初公開)、ダイナミックな音圧、ライヴ級の大音量、迫力の大画面で、20年前の感動の追体験が実現した。
また20年ぶりに発見されたタイムカプセル的秘蔵映像、ドキュメンタリー・フィルム『THE WOODSTOCK DAYS』(約40分)も上映され、Zeppを埋め尽くした観客の拍手喝采が止まない光景となった。
またプレミア上映前には、佐野元春本人と、当時ベアズヴィル録音にも同行した音楽ライターの能地祐子氏が登壇しフリートークも行われた。
ライヴ・フィルムのテーマとなった通算7枚目のアルバム『THE BARN』の制作エピソードの話題になると当時の想い出を回想しがらニヤリと微笑。
The Hobo King BandのKYON(キーボード他)、井上富雄(ベース)、西本明(オルガン他)の3名をステージに呼び込むサプライズを演出。
だが、実際には事前に何も説明を受けていない3人のほうこそサプライズだったことをメンバーがステージで暴露。
佐野元春をリーダーとする変わらないバンドの結束の固さを誇示する時間となった。
「僕らホーボーキングバンドは、アルバムを作ることがゴールではなくて、最高のライヴを奏でることを常に目指していたので、結果的に『THE BARN』を経たことで、最高のジャム・バンドの軌跡を辿ることになりました。音楽の古いとか新しいとかではなく、心から音楽を愛し、心から演奏することを楽しんだのがホーボーキングバンドです」(佐野元春)
終演後にZepp Tokyoに集ったファンの声を聞いた。
「夢のような時間でした。20年前は理由があって観に行けなかったツアーでしたが、今回こんなに大勢の佐野元春ファンと一緒に“LIVE“を体験できたことは一生忘れられません。これからまた生きていくヒントを頂いた元春にも感謝です」(東京都・50代・男性)
「佐野さんのLIVE会場にいる気分でした。全曲一緒に歌っていました。まさに<ロックンロール・ハート>を射抜かれたのは私です」(神奈川県・40代・女性)
「想像していたビデオ・コンサートではなくて、ド迫力にビックリしました。音が大きく、低音が足元から響いていました。大きなスクリーンを観ていたら、いろんな感情がこみ上げて来て、涙が出てきてしまいました」(東京都・50代・女性)
「上映前のトーク・タイムで佐野さんがおっしゃっていた<最高のジャム・バンド>を再確認した時間でした。若いリスナーに観て欲しい! 最高の夜です!!」(埼玉県・30代・男性)
20年前のあの夜と同じようにファンにとっても忘れられない日となったようだ。
撮影:アライテツヤ
3月14日には、本プレミア上映の映像を含む『THE BARN DELUXE EDITION』も発売される。
詳細は「otonano」内、佐野元春『THE BARN DELUXE EDITION』特設サイトをご覧ください。
http://www.110107.com/thebarn
【プロダクツ情報】
■タイトル:「THE BARN DELUXE EDITION」
■発売予定日:2018年3月14日
■規格:BOXセット(1Blu-ray+1DVD+アナログレコード+写真集)
■完全生産限定盤
■価格:\14,000+税
■品番:MHXL 43-46
■発売元:ソニー・ミュージックダイレクト
■佐野元春 Profile
1980年シングル「アンジェリーナ」でEPICレーベルよりデビュー。ロックビートと都会に生活する若者の感情を歌詞に見事に融合させ、これまでにない斬新な作品スタイルで日本語によるロック音楽に革命的変革をもたらすと同時に、1983年発表の画期的セレクション・アルバム『No Damage』がアルバムチャート1位に、1985年発表シングル「ヤングブラッズ」がトップ10入り、翌年発表の『Café Bohemia』がダブルプラチナアルバムを獲得するなど、瞬く間に日本を代表するロック・アーティストとなる。
その後、1992年発表『Sweet 16』が日本レコード大賞最優秀アルバム賞を受賞するなど、実績を重ねながら、音楽・ライヴ・映像の先駆的取り組みを続ける。
2004年、自身の音楽表現をさらに広く深く追求するため、EPICレーベルを離れ、“Daisy Music”を設立。
2015~2016年のデビュー35周年の大きな展開をしながら、アルバム『BLOOD MOON』を、そして去年7月に最新作『MANIJU』(17枚目のオリジナル・アルバム)をリリース。
コンスタントに自身の表現活動を続けている。