2016年9月より、キャリア初となる弾き語りライヴ『chay’s room〜One mic, One guitar〜』をスタートさせたchay。その3回目の公演が、「“day after“Christmas Party!!”」をコンセプトに東京は渋谷のSHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて開催された。
小さな会場だけに、チケットは即日ソールド・アウトである。実際に本人の部屋から運んできたという家具が揃い、クリスマス・ツリーが飾られたステージは、まさにchayの部屋。そこに帰宅したかのように登場したchayは、ソファーに座ってギターを抱える。そしてシンディ・ローパーの「トゥルー・カラーズ」で、クリスマス・パーティーの後夜祭は優雅にスタートした。
『chay’s room』の主旨であり、大きな魅力にもなっているのが、オリジナル曲以上に洋楽/邦楽のカヴァーが披露されること。この日も「Twinkle Days」「運命のアイラブユー」「あなたに恋をしてみました」など自身の代表曲を織り交ぜながら、日本テレビ系ドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』のオープニングテーマに起用された、荒井由実の「12月の雨」をはじめ、デズリーの「ユー・ガッタ・ビー」、本家同様12弦ギターで挑んだローリング・ストーンズの「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」、シング・アロングが巻き起こったジャクソン5「アイ・ウォント・ユー・バック」など、ポップ/ロック・クラシックスが愛情とリスペクトたっぷりに歌われた。もしかするとピンと来ない10代や20代のファンもいるかもしれないが、chayの音楽的ルーツが垣間見られて、とても興味深い。
恒例のリクエスト・コーナーでは、音源化されていない自身の隠れた名曲「together」などに加え、山下達郎の「クリスマス・イブ」、 さらにはなんと、ダンスともども話題沸騰中の星野源「恋」のカヴァーで、よりファンとの親密度を深めたchay。「みんなへ音楽のクリスマス・プレゼント」と言って披露された、Otoji+Ray(コントラバスとヴァイオリンの日本人夫妻デュオ)をスペシャル・ゲストに迎えてのクリスマス曲メドレーは、聖夜の余韻を華やかに美しく彩っていた。
ピアノ弾き語りでのアンコール「それでしあわせ」で、ハートウォーミングなフィナーレを迎えた『chay’s room』。大好評につき、4回目が初の大阪、5回目が再び東京で開催されることも発表された。今後は「Ken’s Bar」や「ジュジュ苑」のようなシリーズに育っていくことも期待できるし、何よりモデルのイメージも強いchayが、ギターとピアノを弾き、曲を作り、歌を歌うシンガー・ソングライターであることをダイレクトに、かつ楽しく伝える、とても意義の大きなライヴだと思う。