撮影:仁礼博
四国〜関西を縦断した台風11号の影響で、当日の午前11時まで開催が危ぶまれた今年のEGO-WRAPPIN’による夏の恒例の大阪城野音ライブ “Dance Dance Dance”。記録的な猛暑のなかで行われた昨年とは対照的なシチュエーションで、予定よりも30分遅らせてのスタートとなったお待ちかねのサマー・ダンス・パーティーは、結果として前回とはまた違った“ミラクル”を随所に呼び込みながらの熱く濃密な2時間半となった。 開演時間とほぼ同時に“もう待ちきれない!”とばかりにメンバーがステージに登場すると、観客もそれに応えるように総立ちで出迎えた。中世ヨーロッパのお転婆なお姫さま風(?)ファッションで現れた中納が「大阪!台風かっ飛べ〜!」と煽ると、オープニングの「天国と白いピエロ」からテンション高めの盛り上がりに。そのまま「PARANOIA」「a love song」の2大キラー曲を投下すると、場内は早くもピーク・タイム的な熱気と一体感に包まれた。「どうなるかと思ったわ。でも、良かった」と中納が率直な想いを伝えると、続いては森のニューウェイヴ・ファンク的なギターも映える「Bell 5 Motel」からご存じ「ミニー・ザ・ムーチャー」の技アリな80年代調カバーを経て、なんと森と同じ堺出身で“浪速のアレサ”と形容された大上留利子が 77年に発表した『タイフーン・レディー』収録のアーバン・ソウルな大名曲「Sexy Woman」の極上カバーへ。そして、前半のシメとなった「かつて…。」でもソプラノ・サックスのイントロから絶妙のタイミングで客席から3拍子のクラップが自然と入り、これまでに何度もライブで聴いてきた中でも屈指の名演となったことも忘れられない。
森が「いい風、吹かせましょうか」とMCしながらリラクシンなムードに切り替えての中盤は、中納が自らピアノも弾きつつの「水中の光」、ピアニカに持ち替えての「Fall」と昨年のアルバム『steal a person’s heart』のメロウ・サイドをしっとりと披露。ここで楽曲提供したTVドラマ『リバースエッジ 大川端探偵社』の話題を挟み、そのミニ・サントラ盤とも言える5月リリースの4曲入りの最新作「BRIGHT TIME」からトム・ウェイツ〜ジプシー・スウィング調の主題歌「Neon Sign Stomp」をアコースティック・バージョンで渋く響かせた。ここから再び、オーガスタス・パブロ調のダビーなインストを挟んでグルーヴを高め、メロウ・ スカな名曲「love scene」そして「ムーン・リバー」のスカ・カバーへ。得意のブルー・ビート路線で場内をダンス・フロアに塗り替えると、一転して森のマーク・リボーばりなアヴァンなギターも炸裂のシアトリカルな「morning star」、ロックな中にも彼らならではのメロディの美しさが映える「だるい」と、攻めな選曲で終盤へと突入。続いてグルーヴィーなフュージョン路線が新鮮な新曲「パンドラの箱」、エゴ流アフロ・ファンクな「10万年後の君へ」、そして本編ラストは中盤のメタル〜ハードコアっぽく展開する部分もド派手に効かせて熱狂を誘った「GO ACTION」へ。“これもまたエゴ・ラッピン”な多彩かつスリリングなグルーヴを伴ったナンバーの連打で圧倒した。
そして、アンコールでは「BRAND NEW DAY」「くちばしにチェリー」とライブに欠かせない2大定番曲でもうひと盛り上げしたところで、最後はステージ上に中納と森の2人だけがステージに残り、ドラマのエンディング曲ともなった新曲「サニーサイドメロディー」を。ここでずっと今にも降り出しそうながら奇跡的に持ちこたえていた雨が降り出し、中納も思わず歌詞を“どこかから風が/「雨」を運んできた”とアドリブで歌い替えて応えた。しかも、雨は曲の終わりとともに一旦ピタッと止み、最後にはライブの間だけ雨を降らせるのを我慢していた空からの粋でイタズラな演出も加わって、忘れられない台風一過の“Dance Dance Dance”となった。
EGO-WRAPPIN’ AND THE GOSSIP OF JAXX「Dance, Dance, Dance」セットリスト
1 天国と白いピエロ
2 PARANOIA
3 a love song
4 ロッテンマリー
5 Bell 5 Motel
6 MINNIE THE MOOCHER
7 Sexy Woman
8 かつて..。
9 水中の光
10 Fall
11 Neon Sign Stomp
12 Inst(カヴァー)
13 love scene
14 Moon River
15 morning star
16 だるい
17 パンドラの箱
18 10万年後の君へ
19 GO ACTION
EN-1 BRAND NEW DAY
EN-2 くちばしにチェリー
EN-3 サニーサイドメロディー
文章:吉本秀純
撮影:仁礼博
▼商品情報
EGO-WRAPPIN「BRIGHT TIME」発売中!
New Single
1,「Neon Sign Stomp」テレビ東京系ドラマ 24「リバースエッジ大川端探偵社」主題歌
2,「太陽哀歌(ルビ:エレジー) 」テレビ東京系ドラマ 24「リバースエッジ大川端探偵社」劇中歌
3,「パンドラの箱」
4,「サニーサイドメロディー」テレビ東京系ドラマ 24「リバースエッジ大川端探偵社」エンディングテーマ
TFCC-89503 ¥1,500+税(全4 曲入り)
VINYL
発売中 価格/2,000円/税込
発売元/流通/JET SET(有限会社フューチュラマ卸部)
▼配信情報
i-Tunes:https://itunes.apple.com/jp/album/neon-sign-stomp/id853001535?i=853001552
レコチョク: http://recochoku.jp/search/song/?q=EGO-WRAPPIN
▼LIVE情報
<EGO-WRAPPIN’ 2014 TOUR>
2014年11月17日(月) 札幌 道新ホール
2014年11月20日(木) 東京 かつしかシンフォニーヒルズ
2014年11月22日(土) 仙台 電力ホール
2014年11月26日(水) 名古屋市芸術創造センター
2014年11月28日(金) 福岡 都久志会館
2014年11月29日(土) 京都劇場
▼関連リンク
EGO-WRAPPIN’オフィシャルサイト
http://www.egowrappin.com/
EGO-WRAPPIN’ | TOY’S FACTORY
http://www.toysfactory.co.jp/artist/egowrappin
<関連リンク>
■EGO-WRAPPIN’ オフィシャルサイト