英ポスト・パンク〜ニュー・ウェーヴ・シーンを代表するバンドであり、70年代末から80年代初頭にかけての短い活動期間にロック史に残る名盤を作り上げた伝説的なバンド、”ザ・ポップ・グループ”がいよいよ本格的に活動再開する。日本では世界に先駆けて2011年にサマーソニックに出演したことで既に話題を呼んでおり、その後はイギリスでも再結成ライブが非常に高く評価され、またスタジオワークやレア音源の発掘の動きが断続的に報じられるなど、徐々に活動を活発にしていた。
今回発表されたのは、名盤と名高い3rdアルバム『We Are Time』のリマスター復刻と、『Cabinet Of Curiosities』なる未発表&初CD化音源コンピレーションのリリース。1980年に発表された『We Are Time』は当時解散寸前だったバンドが苦し紛れに吐き出した新録音源と初期音源の混ざったアルバムながら、ファンからの人気・評価共に非常に高い作品。そして同時に発売される『Cabinet Of Curiosities』は、盟友ザ・スリッツとの両A面シングルとして1980年に発表された「Where There’s a Will」で幕をあけ、バンドの代表曲とも言える「She Is Beyond Good And Evil」のアンディ・マッケイ(ロキシー・ミュージック)プロデュース・バージョンや、BBCのスタジオ・ライブ音源、さらに未発表曲が3曲収録されるなど、貴重な音源が多数発掘されている。
主要メンバーのマーク・スチュワートとギャレス・セイガーが、今回のリイシューに際し、『We Are Time』について、それぞれ下記のようにコメントしている。
◆マーク・スチュワート
「ザ・ポップ・グループはその活動初期からものすごい速さで変化し続けていた。今回の復刻はその最初期に行われた実験の極めて重要なドキュメントだ。『We Are Time』はまさにザ・ティーンエイジ・ポップ・グループのアルバムだ。反抗的な態度に満ちあふれており、このバンドの堅固な自立性と、スタジオ自体がある種の楽器の役割を果たすようになる以前の我々のごく初期のDIY精神を証明するマテリアルが揃っている」
◆ギャレス・セイガー
「このバンドは、不可解なほど純真なやり方でパティ・スミスによるランボオの朗読と、ジェームス・ブラウンと、ストゥージズと、ロキシー・ミュージックと、Tレックスとクラシカルなアレアトリックを融合させようとしていたんだ。その成果は「Genius Of Lunatic」、「Colour Blind」、「Trap」、「Sense Of Purpose」、「Kiss The Book」そして「We Are Time」で聴くことができる。そしてすぐにバンドはそれに加えて、オーネット・コールマン、キング・タビー、ファンカデリック、ドビュッシー、ジャック・ブレル、フェラ・クティ、スティーヴ・ライヒの影響を受けて、それが「Thief Of Fire」になったんだ。」
どちらも日本盤はビクターエンタテインメントより日本独自の紙ジャケット仕様で10月22日にリリースされることが決定しており、また、さらなる復刻リリースも近い将来発表されるとのこと。また海外ではUKのツアーも同時に発表されており、2011年のサマーソニック以来となる来日公演にも期待したいところだ。急速に活発化しているザ・ポップ・グループの今後の動きから目が離せない。
[プロフィール]
ザ・ポップ・グループ THE POP GROUP
ヴォーカルのマーク・スチュワートを中心に英ブリストルで結成。1978年にシングル「She is Beyond Good and Evil」でデビュー。1979年のデビュー・アルバム「Y」でその斬新かつオリジナリティ溢れるサウンドで世界に衝撃を与えた。パンクのアティテュードをベースに置きながら、その音楽性はファンク〜パンク〜フリー・ジャズなどが渾然一体となった混沌としたサウンドであり、プロデューサー:デニス・ボーヴェルによるダブ音響処理により、極めて攻撃的で怒りと苛立ちに満ちた独自の革新的なサウンドを作り上げた。1980年、自ら立ち上げたレーベル”Y”からセカンド・アルバム「FOR HOW MUCH LONGER DO WE TOLERATE MASS MURDER ?」を発表。サウンド面においてはさらにファンク色を強め楽曲としてのまとまりを高めながら、マークの歌とも叫びともつかないヴォーカル/アジテーションはさらに研ぎ澄まされ、衝撃の1stアルバムを超える名盤としてロック史に刻まれている。バンドはこのころから既に空中分裂状態であり、ライヴ・テイクやデモなどを集めた編集盤である3rdアルバム「WE ARE TIME」を最後に1981年解散。ポップ・グループやデニス・ボーヴェル、盟友であるスリッツ、エイドリアン・シャーウッドらが産み出したサウンドは、後にマッシヴ・アタックやポーティス・ヘッド、トリッキーらがブリストル勢が中心となったトリップ・ホップ・シーンのオリジネイターとしても高く評価されている。 ポップ・グループは2010年に再結成、2011年にはサマーソニックに来日を果たしている。2012年マーク・スチュワートが7枚目のソロアルバム「THA POLITICS OF ENVY」をリリース。
<リンク>
■オフィシャルサイト:http://www.thepopgroup.net/
■レーベルサイト:http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A020158.html (※8/6 AM0:00公開)
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