平井堅のアコースティック編成によるコンセプト・ライヴ「Ken’s Bar 15th Anniversary Special ! Vol.4」が、5月28日にさいたまスーパーアリーナで行われた。
これは、昨年5月から1年にわたって展開してきた「Ken’s Bar」15周年プロジェクトのファイナルとなる一夜限りのスペシャル公演。会場を埋め尽くした1万5千人のオーディエンスが、平井堅の歌に酔いしれたのはもちろんのことだが、同日リリースのコンセプト・カヴァーアルバム『Ken’s Bar?』に収録された楽曲の数々をはじめ、生で、いち早く、たっぷりと全15曲のパフォーマンスとKen‘s Barならではの雰囲気を堪能した一夜でもあった。
1曲目は、1970年代半ばに放映されていたTVアニメ「はじめ人間ギャートルズ」のエンディング・テーマ「やつらの足音のバラード」。アルバム『Ken’s Bar?』収録ヴァージョン同様、13人からなるストリングス隊を従えての披露だった。通常、「Ken’s Bar」のライヴの楽器編成は、ピアノ、アコースティック・ギター、ベース、パーカッションなので、いきなりのサプライズであり、スペシャルだったというわけである。
そして、さいたまスーパーアリーナに集まった人数にかけて、「“1万5千個”のハートにぼくのソウルが突き刺さるように歌いたいと思います」と、さらにオーディエンスを喜ばせたあとに歌われたのは、平井堅が初めてシングル・チャート1位を獲得した2002年の大ヒット曲「大きな古時計」。
ここからはいつもの「Ken’s Bar」のスタイルに戻り、たとえば福山雅治の「家族になろうよ」はピアノ、たとえばブラックビスケッツの「タイミング」はアコースティック・ギターと、ひとつの楽器をバックに、あくまでもシンプルに歌が届けられていったのだが、驚くべきは安室奈美恵との豪華コラボレーションで世間をあっといわせた「グロテスク」。ウッドベース1本のみでCDとはまったく異なるグルーヴを生み出し、そしてデュエットの相手はいなくとも、平井堅はひとりで見事なまでクールに、スリリングに歌い上げた。
その「グロテスク」をはじめ、映像作品としては最新となる「切手のないおくりもの」などのミュージック・ビデオが場内に流された休憩時間を挟んでの後半は、「いとしのエリー」でスタート。なんの説明も要らないサザンオールスターズの大スタンダード・ナンバーで、平井堅が桑田佳祐の熱狂的ファンであることは広く知られている。「恐れ多くもカヴァーさせていただきました」と、アルバム『Ken’s Bar?』で採り上げたことをずいぶんと謙虚に語るMCが飛び出したが、愛情たっぷりに歌われたのはいうまでもない。ただそれ以上に、エリーに対する思いを感情たっぷりに歌った平井堅のシンガーとしての表現力は瞠目すべきものであったと断言できる。これは他の楽曲に対してもいえることで、たとえばブラスセクションが登場し、ニューオーリンズ・ジャズのスタイルで披露された財津和夫の「切手のないおくりもの」。前半のストリングス同様、いつもの「Ken’s Bar」のライヴとは異なる編成だったが、そこには華やかな演出に負けない平井堅の絶対的な歌があった。シンガーとしての表情がさらに豊かになっているからこそのもので、これが最新の平井堅なのである。そして、アルバム『Ken’s Bar III』にはそのフレッシュな平井堅がしっかりとパッケージングされていて、このことに対する本人の喜びや自負は、セットリストから感じることができる。さいたまスーパーアリーナで披露された15曲のうち、『Ken’s Bar?』収録曲は、「やつらの足音のバラード」「家族になろうよ」「タイミング」「Love is Blind」「いとしのエリー」「順子」「切手のないおくりもの」「Virtual Insanity」と、8曲もあったからである。
アンコールでは「かけがえのないわたしの歌を、みなさんの前で歌うことができて感無量です。ありがとうございます」と感謝の意を述べ、この「Ken’s Bar」のテーマソングともいうべき「even if」を自らピアノを弾きながら熱唱。
こうして「Ken’s Bar 15th Anniversary Special ! Vol.4」は幕を閉じた。つまり、昨年5月から1年にわたり、全国で展開してきたアニヴァーサリー・プロジェクトが終了したということである。
そして、5月29日に「Ken’s Bar」は16周年を迎える。本人は「単なる通過点です」と、今後も攻めの姿勢を忘れずに活動していくことをアピールしたが、はたして、これからの1年はどんな「Ken’s Bar」が展開されていくのだろうか。
加えて、その1年は平井堅にとって非常に重要な時間となる。2015年5月13日にデビュー20周年という大きな節目を迎えるからである。
公演概要
公演名:Ken’s Bar 15th Anniversary Special!Vol.4
会場:さいたまスーパーアリーナ
開催日時:2014年5月28日(水) 17:30開場/19:00開演
動員人数:約15000人
セットリスト
<1st STAGE>
やつらの足音のバラード 【LIVE初披露/アルバム「Ken’s Bar?収録」】
大きな古時計
家族になろうよ 【LIVE初披露/アルバム「Ken’s Bar?収録」】
グロテスク 【LIVE初披露】
タイミング 【LIVE初披露/アルバム「Ken’s Bar?収録」】
瞳をとじて
Love Is Blind 【LIVE初披露/アルバム「Ken’s Bar?収録」】
<2nd STAGE>
いとしのエリー 【アルバム「Ken’s Bar?収録」】
青空傘下 【LIVE初披露】
順子 【LIVE初披露/アルバム「Ken’s Bar?収録」】
切手のないおくりもの 【LIVE初披露/アルバム「Ken’s Bar?収録」】
Virtual Insanity 【LIVE初披露/アルバム「Ken’s Bar?収録」】
Love Love Love
POP STAR
<ENCORE>
even if
【出演者】
Vocal:平井堅(Ken‘s Bar店主)/Piano:鈴木大/Guitar:石成正人/Bass:大神田智彦/Percussion:坂井‘LAMBSY’秀彰
Ken’s Bar 15周年全15公演 トータル約15万人動員!!!
■Ken’s Bar 15th Anniversary Special!Vol.1
2013年5月29日(水)&5月30日(木) 東京都・日本武道館
■Ken’s Bar 15th Anniversary Special!Vol.2 沖縄県・宜野湾海浜公園屋外劇場
2013年7月6日(土)&7月7日(日)
■公演名:Ken’s Bar 15th Anniversary Special!Vol.3 (Ken’s Barとしては3年ぶりのアリーナツアー)
2013年12月 7日(土) 宮城県・セキスイハイムスーパーアリーナ
2013年12月10日(火)&12月11日(水) 大阪府・大阪城ホール
2013年12月13日(金)&12月14日(土) 徳島県・アスティとくしま
2013年12月20日(金) 北海道・北海きたえ〜る
2013年12月23日(祝・月)&12月24日(火) 神奈川県・横浜アリーナ
■公演名:Ken’s Bar 15th Anniversary Valentine Special!
2014年2月14日(金)&2月15日(土) 東京都・BLUE NOTE TOKYO
■公演名:Ken’s Bar 15th Anniversary Special!Vol.4
2014年5月28日(水) 埼玉県・ さいたまスーパーアリーナ
最新リリース情報
平井 堅
CONCEPT COVER ALBUM「Ken’s Bar?」
2014年5月28日(水)発売
<トラックリスト>
01. Open
02. even if 〜instrumental〜 (Music:平井堅)
03. 家族になろうよ (Lyrics & Music:福山雅治)
04. 順子(Lyrics & Music:長渕剛)
05. WE’RE ALL ALONE (Lyrics & Music:William R. Royce Scaggs)
06. いとしのエリー (Lyrics & Music:桑田佳祐)
07. Love Is Blind(Lyrics & Music:Janis Ian)
08. Intermission
09. Virtual Insanity(Lyrics & Music:Jason Kay, Wallis Buchanan, Simon Katz, Derrick McKenzie,
Toby Smith, Stuart Zender)
10. 切手のないおくりもの (Lyrics & Music:財津和夫)
11. タイミング(Lyrics:森 浩美, ブラック・ビスケッツ/ Music : 中西 圭三, 小西 貴雄)
12. やつらの足音のバラード(Lyrics:園山俊二 / Music:かまやつひろし) ※グローバルワークTVCMソング
13. KILLING ME SOFTLY WITH HIS SONG (Lyrics & Music : Chales Fox & Norman Gimbel)
14. マイ・ウェイ(Lyrics & Music:Paul Anka, Claude Francois, Lucien Thibaut, Jacques Revaux 日本語訳詞:片桐和子)
15. Close
◎初回生産限定盤A:DVD付き・豪華紙ジャケット仕様
■特典映像:「Ken’s Bar 15th Anniversary Special!!! Vol.1 LIVE VIEWING EDITION at 日本武道館」
2013年5月30日のLIVE当日、日本武道館から全国の映画館へ同時生上映された一夜限りの
貴重なLIVE FILMを約99分にわたり全編収録!! (価格:5000円+税 /品番: BVCL-590/591)
1st STAGE:even if / 僕は君に恋をする / 少女A / Overjoyed / 桔梗が丘 / 瞳をとじて / LIFE is...
2nd STAGE:告白 / なごり雪 / 太陽と埃の中で / 君の好きなとこ / 君はス・テ・キ? / POP STAR / Love Love Love
ENCORE: マイ・ウェイ
30th May 2013 at Nippon Budoukan
◎初回生産限定盤B:BONUS CD付き・スリーブケース仕様
■特典CD:「Ken’s Bar BEST SONG COLLECTION〜Live at Blue Note Tokyo〜」
平井堅が自身の歴代のヒットソングの数々をわずか300名の観客を前に披露し超プレミアムLIVEとなった
2014年2月のBlue Note公演からベストセレクトされた新録LIVE音源を全11曲を収録!!
平井堅初のLIVE ALBUM!!(価格:3600円+税/品番: BVCL-592/593)
even if / 楽園 / 告白 / 瞳をとじて / LIFE is… / 僕は君に恋をする / 哀歌(エレジー) / 君の好きなとこ / KISS OF LIFE / POP STAR / Love Love Love
February 2014 at Blue Note Tokyo
◎通常盤 CD
(価格:3000円+税/品番: BVCL-594)
Ken’s Barとは・・・
Ken’s Barは、1998年5月29日に都内イベントスペースでひっそりと開店した。
きっかけは、「お酒やソフトドリンクや軽食をとりながら、リラックスした環境でライブを楽しんで欲しい」という平井堅本人の素直な気持ちから始まった。自身がKen‘s Barの店長兼ヴォーカルを勤め、ライヴ全体をトータルプロデュースしている。Ken’s Barでは、平井堅が洋楽・邦楽問わず敬愛するミュージシャンの楽曲を歌い、時にはお客さんからのリクエストに答えてアコースティックスタイルで披露してきた。 因みに平井堅、開店当時26歳。
観客50名(ONAIR Okubo PLUS(現在は閉店)にて開催)から始まり、その後、東京ドーム(’05年12月20日)や数万人収容のアリーナでの開催にまで拡大し、毎回チケット発売と同時にソールドしてしまうほどの人気イベントにまで成長した、自身のライフワークとも言うべきアコースティック・ライヴ・イベント「Ken’s Bar」が昨年の5月29日に開店15周年を迎えました。
不定期でありながらも毎年必ず開催され、平井堅といえば、“Ken’s Bar”というぐらい平井堅の代名詞となったこのライヴイベント。そのコンセプトは、現在のカヴァー・ブームのアイディアのモチーフとなっており、日本人男性ソロアーティストとしては初めてMTV UNPLUGEDに2002年に出演、NYCのスタジオ収録という意味では、日本人初のアーティストということで、日本におけるアコースティックでのカヴァー・ライヴのパイオニア的存在となっている。そのKen’s Barをコンセプトとしたフルアルバムも過去に2作発表。
Ken’s Bar開店5周年を記念した『Ken‘s Bar』、 Ken’s Bar開店10周年を記念した『Ken‘s Bar ?』。アルバムでは、 鉄壁のKen’s Barメンバー(鈴木大,石成正人,坂井秀彰,大神田智彦)を始め、Aqualung, Frank McComb,Jesse Harris , Juana Molina, Lalah Hathaway, Peter Cincotti, saigenji, Toninho Horta,小野リサ,草野マサムネ,クリヤ・マコト,塩谷哲,蔦谷好位置,中西康晴,矢野顕子ら国内外問わず数々の豪華ゲストが客演。また、故坂本九,故美空びばりとは時空を超えて、奇跡のデュエットをするなど話題となった。
<関連リンク>
■平井堅 Official Website