昨年12月、パシフィコ横浜国立大ホールで4日間にもわたって行われた、桑田佳祐によるAct Against AIDS コンサート。桑田がAct Against AIDSのコンサートを行うのは4年ぶりであったことに加え、コンサートの企画が2008年に行われ、大好評を博した『ひとり紅白歌合戦』の第二回目ということもあって、発表と同時に大きな反響を呼び、例年3日間だった公演日を今回は4日間に増したものの、チケットは秒殺で売り切れとなった。
例年、AAAコンサートは、あくまでもエイズ啓発のためのチャリティイベントであるという性質から、商品化が検討されることは稀であるため、ファンにとっては実際にこのステージを生で観るということがとても貴重な体験となっている。今回は特にステージ前半、桑田扮する総合司会の「甘皮静夫」が、会場に映し出された映像の中で「中西!なんでもDVDで売っちゃうんじゃないよ、ライブやるたびに!」と、冗談まじりに自身のチーフ・マネージャーをたしなめる場面があったことなどからもわかるように、映像化の可能性は桑田・スタッフともに、まったく考えていなかった。しかし後日、報道などで公演の模様の一部が放送され、約4時間にもおよぶ大ボリュームのステージだったことなど、その内容が明らかになると、当日会場に行くことが叶わなかったファンからは、その映像化を求める声が殺到したのである。
桑田にとっても、実際に4日間のステージが終わってみると、自身の血肉となった選りすぐりの新旧の名曲を歌い上げた会心のステージとなったため、そんなファンから寄せられた無数の熱い声に背中を押され、映像化の検討を昨年末より急遽始めたのだ。ただし、いざ現実的に検討を始めると、今回も55曲にもおよぶ、新旧さまざま、ありとあらゆる歌手や作曲家・作詞家が関わっている曲、しかもそのひとつひとつが押しも押されもせぬ名曲ぞろいというだけあって、当初はすべての曲の収録許諾を取ることは不可能と思われた。とは言いつつ、この「ひとり紅白歌合戦」は、選曲はもちろんのこと、紅組、白組と歌を交互に歌っていくという制限があるため、その曲順や対決の妙まで含め、桑田が少ない時間の中で練りに練って作り上げたステージである。一曲ですら欠けてしまうと、せっかくの完成されたステージの素晴らしさが半減してしまう。そんな桑田の意志や、ステージ全体の素晴らしさを、すべての関係者の方々に理解いただいたことに加え、Act Against AIDSの趣旨についても快く同意をいただいたことで、ついにこの奇跡のようなラインナップが、すべて映像化され、日本中数多くの音楽ファンのもとにお届けすることができることになったのだ。特に、レディー・ガガの「Born This Way」などは、桑田がレディー・ガガならぬ、ジジイ・ガガという老人に扮するコスプレで、2020年に開催が決まった東京オリンピックをモチーフにしながら、世界の平和を願う歌に仕立て上げるという絶妙な演出であった。そんな奇抜な演出を、海外の超ビッグ・アーティストであるレディー・ガガがOKしたことは、やはり素晴らしい音楽は国境をも越えるということを改めて示している。いずれにしても、藤山一郎や高峰秀子から始まり、中島みゆき、尾崎豊、ユーミン、槇原敬之、西城秀樹、由紀さおり、坂本九、ちあきなおみ、ザ・ドリフターズ、沢田研二、アン・ルイス、小泉今日子、島倉千代子、北島三郎、美空ひばり・・・と、現実には絶対に一堂に会することができないラインナップで、その名曲の数々を一気に楽しめるということでは、文字通り「奇跡の映像化」ということができるだろう。「日本歌謡史」という意味合いとして鑑賞することもできる、後世にもマスターピースとして残っていくような作品となることは間違いない。
毎回様々な企画で趣向を凝らしたステージを行っている桑田佳祐のAAAコンサートだが、横浜パシフィコで開催するのも今回ですでに12回を数えることとなる。このAAAコンサートが映像化されるのは、1996年に行われ翌年発売された『夷撫悶汰(いヴもんた)レイト・ショー〜長距離歌手の孤独 in Jazz Cafe〜』、2008年に行われやはり翌年発売となった『昭和八十三年度! ひとり紅白歌合戦』に続き三回目のこと。できれば、AAAという活動自体が必要なくなるくらい、エイズを取り巻く状況が好転していくことが望ましいが、まだまだ厳しい現実が続いている。理想の状態に一歩でも近づけるよう、すばらしい音楽を通じて、ひとりでも多くの方にHIV/エイズについての正しい知識を持っていただくきっかけ作りができればということで、今回ももちろんAAAの精神の則り、過去二度の映像化同様、作品の収益金は、AAA事務局(http://www.actagainstaids.com/)を通じてさまざまなエイズ啓発活動に使用される。
<作品概要>
タイトル:
昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦
発売日:
2014年3月12日(水)
Blu-ray(1枚)税抜価格 7,000(税込価格 7,350) VIXL-600
片面2層/16:9/リニアPCM2ch(96k/24bit)/DTS-HD5.1ch(96K/24bit)/歌詞字幕有り/210分収録
DVD(2枚組)税抜価格 7,000(税込価格 7,350) VIBL-1200.〜1201
片面2層/16:9LB/リニアPCM2ch/DTS-HD5.1ch/歌詞字幕有り/210分収録
◎.全55曲完全収録
◎.全編完全オリジナル編集
◎.全曲歌詞字幕ON/OFF機能付き
◎.ミニポスター封入
◎.Blu-ray高音質(96kHz24bit)収録
【初回プレス仕様】※Blu-ray、DVD共通
★.シルバースリーブケース付
★.未公開ライブ写真による、ダブルジャケット仕様
*この作品の収益金の一部は、AAA事務局を通じてさまざまなエイズ啓発活動に使用されます。
-収録曲-
01.東京ラプソディ / 藤山一郎 (1936)
02.銀座カンカン娘 / 高峰秀子(1949)
03.銀河のロマンス / ザ・タイガース(1968)
04.虹色の湖 / 中村晃子(1967)
05.スワンの涙 / オックス(1968)
06.涙の季節 / ピンキーとキラーズ.(1969)
07.小さなスナック / パープル・シャドウズ(1968)
08.涙のかわくまで / 西田佐知子(1967)
09.エメラルドの伝説 / ザ・テンプターズ(1968)
10.京都の恋 / 渚ゆう子(1970)
11.若者たち / ザ・ブロードサイド・フォー(1966)
12.この広い野原いっぱい / 森山良子(1967)
13.風 / はしだのりひことシューベルツ(1969)
14.なごり雪 / イルカ(1974)
15.22才の別れ / 風(1975)
16.わかれうた / 中島みゆき(1977)
17.I LOVE YOU / 尾崎豊(1991)
18.恋におちて -Fall in love- / 小林明子(1985)
19.リバーサイドホテル / 井上陽水(1982)
20.桃色吐息 / ?橋真梨子(1984)
21.遠く遠く / 槇原敬之(1992)
22.春よ、来い / 松任谷由実(1994)
23.グッド・ナイト・ベイビー / ザ・キング・トーンズ.(1968)
24.小指の想い出 / 伊東ゆかり(1967)
25.星のフラメンコ / 西郷輝彦(1966)
26.太陽がくれた季節 / 青い三角定規(1972)
27.傷だらけのローラ / 西城秀樹(1974)
28.手紙 / 由紀さおり(1970)
29.港町ブルース / 森進一(1969)
30.恋の奴隷 / 奥村チヨ(1969)
31.シクラメンのかほり / 布施明(1975)
32.みずいろの手紙 / あべ静江(1973)
33.東京砂漠〜おいしい秘密 / 内山田洋とクール・ファイブ.〜桑田佳祐(1976/2013)
34.北の宿から / 都はるみ(1975)
35.見上げてごらん夜の星を / 坂本九(1963)
36.喝采 / ちあきなおみ(1972)
37.ドリフメドレー / ザ・ドリフターズ.
〜チョットだけョ!全員集合(1973)
〜ドリフのズンドコ節(1969)
〜ドリフのビバノン音頭(1973)
38.Jupiter / 平原綾香(2003)
39.カブトムシ / aiko(1999)
40.ありがとう / いきものがかり(2010)
41.イージュー★ライダー / 奥田民生(1996)
42.やさしくなりたい / 斉藤和義(2011)
43.六本木心中 / アン・ルイス(1984)
44.TOKIO / 沢田研二(1980)
45.なんてったってアイドル / 小泉今日子(1985)
46.男の子女の子 / 郷ひろみ(1972)
47.どうにもとまらない / 山本リンダ(1972)
48.Born This Way〜東京五輪音頭〜Born This Way / レディ・ガガ.〜三波春夫(2011/1964)
49.SOMEDAY / 佐野元春(1981)
50.ひだまりの詩 / Le Couple(1997)
51.アンパンマンのマーチ / ドリーミング(1988)
52.愛のさざなみ / 島倉千代子(1968)
53.帰ろかな / 北島三郎(1965)
54.川の流れのように / 美空ひばり(1989)
55.笑って許して / 和田アキ子(1970)
■桑田佳祐 official YouTube channel
『昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦』トレーラー映像公開 (2/20(木)AM4:00〜)
http://youtube.com/kuwatakeisukech
<関連リンク>
■桑田佳祐 公式サイト