多くのバンドを相手に、異種格闘技戦をテーマとした対バンツアー『異色薔薇ノ歌合戦』に挑んだ1年であった2012年をバネに、バンドとしてのスキルを確実に上げた彼らは、その成長の更なる上を目指し、映像や構成にこだわった、エンタテイメント性の高いこれまでのライヴとは異なる、バンドの音のみで見せるツアーを提案したのだ。つまり、『崖淵薔薇ノ背水』とは、“純粋に演奏だけで勝負しよう!”“今回のツアーが失敗したら、バンドがなくなるかもしれないという覚悟で向かおう!”という、崖っぷちな覚悟が込められたモノ。それ故に、決まった流れのセットリストを作らず、ライヴごとに、まったく違う流れで構成しなおしたセットリストで挑んだのである。
初日であった渋谷QUATTROのライヴから、音に対する意識の高さが伺えたこともあり、私は、そのときのライヴレポートの最後に、“5月11日に大阪でファイナルを迎える頃、これらの楽曲たちは、更に光を放ち、jealkbという可能性を広げることとなるだろう”と書き残したのだが、まさに、丸腰で挑んだツアーは、jealkbを更に大きく成長させていた。
18時05分。
ここはいつものご挨拶。edieeの影アナからの幕開けに、ジュアラー(jealkbのファンの名称)は歓声を上げた。
毎回この影アナは、edieeのアドリブで語られているのだが、大阪とあって、ちょいちょい関西弁。そんな関西弁は、大阪ジュアラーたちとの距離を一気に縮めた。
すると次の瞬間、ステージのヴィジョンに、このツアーの地方でのライヴ映像が流され、その映像は、【2013.5.11 『崖淵薔薇ノ背水』umeda AKASO】という“今日”を文字で映し出した。
泣いても笑っても今日という日がファイナル。
その文字は、このツアーの集大成となる、これから始まる時間へ向かう気持ちを、ギュッと引き締めた気がした。
“終わりよければすべてよし”と言われるほど、重要な位置をしめるライヴである。
幕は落とされた???。
elsa、ediee、dunch、がステージに現れ、hideki、haderuがステージに揃うと、彼らは1曲目に「積極的受動人間」をぶつけ、間髪入れずに、「snatch」「嘆きのエンドレス」と畳み掛けた。
「会いたかった?」(haderu)
「会いたかった?!」(ジュアラー)
「ばぁ?か。俺たちのが会いたかったよ!」(haderu)
またしてもお決まりのご挨拶。結成当初から言い続けてきたこの言葉は、ただの決まり事ではなく本心。互いの存在の必需性を確かめ合った5人とジュアラーは、更に激しい運びでライヴを盛り上げていったのだった。
「歪ミイズム」「killss」で助走を付け、High speed boys , GReeeeNプロデューサーとして活躍するJINから提供された楽曲「DEAD LOCK」で、ヘヴィネスに、そしてダークアンドローに攻め立て、同アルバムに収録されていたelsa渾身のヘヴィナンバー「ロザリオ」で追い打ちをかけ、MCを挟み込んで徹底的に煽り立てると、“来いよ! 大阪!”というhaderuの叫びを合図に、見事なまでに息の合った始まりを見せた「AGAINST」へと繋げたのだった。
バンドの軸となり、全体のサウンドバランスの調整に気を配りながら、ときおりスティックをまわすなどのパフォーマンスを折り込み、“魅せるドラム”を聴かせてくれたelsaのドラミングも、動きあるフレーズでアクセントを付けながらも、バンドサウンドの要となっていたdunchのベースも、ソロはもちろん、聴き手の拳を煽るヘヴィさと、聴き手を引き込む鮮やかさで曲をリードしていたedieeのギターも、振り付け先導役として、視覚的に曲を盛り上げていたhidekiのパフォーマンスも、風邪で喉が開ききらないという悪条件を抱えながらも、それすらもこの日にしか聴くことの出来ないライヴ感に変えていたhaderuのボーカルも、このツアーを経験したからこそ手にした力強さであった。
そしてこの日。ニコニコ生放送(毎週木曜23:00頃〜放送)で自らが掲げた、“生放送中に1曲作る”という課題の中で出来たという新曲「珍満」が届けられた。dunch のスラップがフックとなったこの曲は、elsaがマキシマム ザ ホルモンを意識して作ったと言うだけあり、その激しさは半端ない。いままでのjealkbにはない色合いの激しさは、新たな景色となってライヴを盛り上げた。
ド頭からとにかく攻めの体勢を崩すことはなかった流れは、終盤には、前山田健一(ヒャダイン)から楽曲提供してもらった、スパニッシュギターやパーカッションを用いた「瞳・華」や、edieeがボーカルを取る初々しいラブソング「ト或コイ」や、ポップロックとヴィジュアル系の融合である、寺岡呼人からの楽曲「Boots」や、2012年度のファン投票1位を獲得した「恋する日曜日」が、“ルミカゾーン”(ルミカ=ペンライト)として、まとめて届けられたのだった。
ヘヴィさと、一緒に歌い、躍れるキャッチーさと持ち合わせた彼らのライヴは、手放しで“楽しい”と叫べる空間になっていたのである。
アンコールでは、日本のパンクシーンを代表するガガガSPからの楽曲「Glory Days」を1曲目に届けた彼ら。「この曲歌うと、みんな(ジュアラー)と一緒に夢を叶えているんだな、一緒に夢を見て、一緒に夢を追いかけられてるなって思うんだよね。それにさ、この曲歌ってるときにメンバー見ると、なんか泣けてくるんだよね。まったくギター弾けなかった太っちょが(edieeのこと)、こんなにギター弾けるようになったんだなって、なんかジーンとしちゃうんだよね」(haderu)
と、haderuは本音を漏らした。そんな本音をこぼさせたのも音楽の力。シンプルなコード進行でサビへと繋がれるメロディが、真っ直ぐにhaderuの胸をノックしたのだろう。
私はこの日、改めて彼らに音楽の素晴らしさを教わった気がした。
そう。彼らは、バンドとしての成長はもちろん、そこを超越した、音楽の楽しみを伝えられるバンドに変化していたのだ。
最高のファイナル。そう言い切れる熱いライヴだった。
彼らはこの先も、その歩みを止めること無く、10月5日の名古屋を皮切りに、新たなる旅に出ると言う。
jealkb。ますます進化していくであろう彼らは、この先、私たちにいったいどんな世界を見せてくれるのだろう?
Writer:武市尚子
カメラマン:田浦ボン
☆ジュアラーが選ぶ年に1度の「二十薔薇ノ推曲2013」開催決定!
2013年8月3日(土) 渋谷O-EAST
リクエスト受付開始 先行は明日5月12日正午より!!
http://jealkb.laff.jp
☆Twitterで繋がるアーティスト達の音楽の祭典
淳の休日「大人の文化祭」
2013年8月10日(土) 渋谷O-EAST
http://www.atsukyu.com/bunka.html
☆後半戦ツアー開催決定!
2013年10月5日(土) 名古屋
2013年10月19日(土) 福岡
2013年11月9日(土) 埼玉
2013年12月5日(土) 大阪
2014年1月4日(土) 東京
詳しくは後日発表!!
jealkbニコニコ生放送(毎週木曜日23:00頃〜放送)
jealkb「崖淵薔薇ノ背水」@大阪 umeda AKASO
セットリスト
1.積極的受動人間
2.snatch
3.嘆きのエンドレス
MC
4.Julia
5.歪ミイズム
6.killss
MC
7.DEAD LOCK
8.ロザリオ
MC
9.AGAINST
10.baker baker paradox
11.珍満
12.ROLLING
13.D.D.D
MC
14.瞳・華
15.ト或コイ
16.Boots
17.恋する日曜日
18.虚無感狂想曲
MC
19.恋心
20.super special summer
En1.Glory Days
En2.堕落
En3.shell
ダブルアンコール
虚無感狂想曲