3月15日、笹川美和が1月にリリースしたミニアルバムのツアーとなる「都会の灯」東京公演を開催した。会場となった銀座ヤマハホールは、普段クラシックの演奏に使われる事が多く、この日の笹川の布陣にもぴったりの会場。
メンバーは、安藤裕子のアレンジでもおなじみの山本隆二をピアノに迎え、笹川の音楽には欠かせないギタリストの設楽博臣とのトリオ編成。
裸電球が小さく灯された青白いステージに、サテンベージュの花鳥柄ロングドレスと黒アジサイのドライフラワーがあしらわれたアクセサリーを身にまとった笹川とともに2人が静かに現れて、「午前4時36分」を静かに歌いだすと、会場は急激に静謐な空間へ。
色調を押さえたライティングと、ホールの響きが相まって、まるでバンドの様な3人のアンサンブルが波の様に寄せては返す。赤裸々な女性の心情を、笹川ならではのことばで綴った曲では涙を流す女性が続出。一方で、男性は気が気でなくなってしまうほどの生々しさに思わず息を飲んだに違いない。
この日のLIVEで最も印象的だったのは、やはり笹川の透き通るような歌声とその表現力。独特の節回しながら、決して嫌みではなく、他に類を見ない歌唱はまさに唯一無二。客席にミュージシャンや映像、音楽関係者が多く見られるのも彼女の音楽性を象徴する特徴の一つだろうか。
MCでは、人好きするキャラクターで時折笑いを挟みつつ、珍しい「金木犀」のピアノ弾き語りや「晴れてくるだろう」といったリズミカルな楽曲など緩急織りまぜたセットリストであっという間に終盤へ。最後の曲は、ミニアルバムでも最後を飾っている「今日」。これまでとは一転して光にあふれる中、笹川なりの前向きな歌詞を凛とした佇まいで歌う姿には、今年5年振りにメジャーに復帰した覚悟の様なものも見て取れた。
アンコールでは、久しぶりに歌うという人気曲「光とは」を披露したあと、「この曲を歌ってみて、人の曲を大切に歌う事で色々な事に気づかされました」というMCで、初めてのカバー曲、ハナレグミの「家族の風景」を弾き語りで静かに歌い、2時間の幕を閉じた。
今年はデビュー10周年という事もあり、精力的に活動するという宣言もMCであったが、今回の公演が即完したため、近日中にアンコール公演の発表もあるようなので、気になる方はチェックを。
【公演概要】
笹 川 美 和
TOUR 2013 都会の灯
3月15日(金)18:30開場/19:00開演
ヤマハホール
(東京メトロ銀座駅・JR新橋駅 徒歩5分)
全席指定¥4,300(税込) ※SOLD OUT
主催:キョードー東京 企画:cutting edge 協力:株式会社ヤマハミュージックパブリッシング
【出演】
笹川美和
設楽博臣(Guitar)
山本隆二(Piano)
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