昨年12月、セカンドフルアルバム『Modanica』をリリースしたLAMAが、初ワンマンツアー「Modanica Tour」を敢行。その東京公演が、2月2日、東京・渋谷WWWで行われた。
超満員の客席。エレクトロニカに鳥(カッコー)の声を重ねた、独特のBGMが流れている。薄闇に沈むステージ。暗転。ミキサー卓が、暗闇の中で明滅するように浮かび上がる。順番に登場し、スタンバイするメンバー。ひとつひとつのサウンドが、ゆっくりと楽曲にチェンジしながら大きくなり、空間を埋めていく。その様子は、まるで“自分たちの空間”を起動させたようだった。ライヴは『Modanica』のオープニングを飾る「For You,For Me」で幕を上げた。
アルバム『Modanica』を中心に構成されたこの日のセットリスト。収録曲全曲を披露したあたりには、メンバーのいい意味での真面目さと、このライヴに対するスタンス(意気込みと言ってもいいかもしれない)が、強く感じられた。
ブルーやグリーンを貴重にした暗めのライティング。細金卓矢が手がけたVJは、線と面、モノクロとカラー、平面と立体のコントラストが鮮烈。サウンドとのリンクのさせ方も独特で、イマジネーションを増幅させた。この演出と、定位置からほとんど動かず、激しいアクションもほとんど無い4人と相まって、視覚的にはハイセンスでクールな印象のライヴだったが、彼らが放つサウンドは、じつに有機的であった。
エネルギー、そして喜びに溢れていたように思う。
LAMAというバンドの真骨頂が発揮されたのは、中盤からラストに向かう流れだろう。曲間に間をとり、1曲ずつ聴かせた前半から一転、中盤から後半は、ほとんどの曲をミックスしてつなげ、空間にグルーヴを作り出した。特に「In The Darkness」のダウンテンポから「D.B.A.」への流れは、演奏の切れ味や、バンドとしての呼吸もどんぴしゃで、無限に広がるようなサウンドのスケール感が強く残った。繊細なままでダイナミックさも感じさせるこのスケール感こそ、LAMAの真髄だと思った。
アルバム『Modanica』は、例えるなら、パーツごとに丁寧に描いたイラストを重ね、1枚の絵画にしている作品である。それゆえ、独特の奥行があるのが、この作品の最大の魅力だ。こうして出来上がった1枚の絵画を、今度は、別の手法で描き出したのが、今回のライヴだったのではあるまいか。
それはまるで、油絵とでも言えようか。
同じ絵でも、パーツの色味が少し濃くなっていたり。近くで見ると、でこぼこと立体的だったり。感覚的なものだが、オリジナルには無かった、微かな匂いもあったように思う。
東京公演のみで披露された「Seven Swell – based on “Niji”-」でアンコールを終えた後も帰ろうとしなかった観客に応え、予定になかったダブルアンコールを披露したLAMA。メンバーそれぞれが、ダブルアンコールのために準備する間に交わされたメンバー同士や観客との何気ない会話に、このバンドが、今、いい状態であることも垣間見られた気がする。
LAMAというバンドの存在がこれからどうなっていくのか、これまで以上に興味津々である。(伊藤亜希)
SET LIST
M1 For You,For Me
M2 White Out
M3 Spell
M4 Rockin’Your Eyes
-MC-
M5 Strowberry Burn
M6 Domino
M7 In The Darkness
M8 Blind Mind
M9 Fantasy
M10 Dear
M11 So
M12 D.B.A
M13 Parallel Sign
M14 Know Your Rights
M15 Life
M16 And All
EN1 Seven Swell – based on “Niji”-
EN2 Cupid
EN3 Ane Mone
EN4 Dreamin’
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