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スピードスター20周年イベントDay3クイックレポート「世代やジャンルを超えたバラエティ溢れた最終日」

音楽

3日間にわたって開催されてきた、スピードスターレコーズ設立20周年記念イベント〜LIVE the SPEEDSTAR 20th〜もこの日が早くも最終日。「みなさま、ご機嫌いかがでしょうか?」と陰アナウンスでUAのあの声が流れ、スピードスターレコーズとともに日本の音楽シーンを彩ってきたアーティストのラインナップがスクリーンに映し出されていく中で、開演前から満場のフロアに満ちている高揚感が刻一刻と高まっていく。

この日のトップバッターとして登場したのはTHEラブ人間。救いようのない日常風景や魂のブルースを、この上なくエネルギッシュかつ晴れやかなサウンドで鳴らしてみせる5人の爆発力が、1曲目「砂男」から炸裂。《「今日ライブがんばってきてね」と言ってくれたあなたにも》を《こんな俺たちを拾ってくれたスピードスターにも》にアレンジしてみせる金田康平(歌手)の熱唱が、会場丸ごとびりびり震わせるように響く。「ずっと会いたかったです。THEラブ人間はじめます!」の金田のコールから、そのまま「悪党になれたなら」へ。谷崎航大(Vl)の艶やかなヴァイオリンの音色と、ついには裸足で鍵盤を叩きまくるツネ・モリサワ(Key)のアグレッシブなプレイのコントラストが、そのエモーショナルな歌と楽曲によりいっそうの熱量を与えていく。4月3日にリリース予定のセカンド・アルバム『SONGS』から「アンカーソング」を披露したところで「スピードスター20周年おめでとう! 今日は集まってくれてどうもありがとう!」という金田の挨拶を挟んで最後に演奏したのは、『SONGS』からもう1曲「体は冷たく、心臓は燃えている」。生命の在り処を確かめるように《心臓を雑巾のように絞って》と声を限りに叫び上げる金田の姿が、フロアに驚きと感激を巻き起こしていった。

続いては、今や日本を代表するジャム・ロック・バンドとなったSPECIAL OTHERS。「AIMS」であふれ出す軽快なビートとアンサンブルが観客を腰から揺らし、「PB」のオーガニックかつスリリングな音像が会場の温度をさらに上げ、高らかなクラップを巻き起こしていく。インストゥルメンタル主体のバンドながら、4人のフレーズが色鮮やかに“歌って”いるそのサウンドによって多くのリスナーを魅了し、ライブ・シーンで圧倒的な支持を集めてきた彼ら。「スピードスター20周年おめでとうございます! 我々はまだスピードスターに入ってまた3年ぐらいですけど。ビクターではかれこれ6?7年やってます」(芹澤“Remi”優真/Key)、「ディレクターとセットでスピードスターに入ってきたんですよ(笑)。これからもよろしくお願いします、スピードスターさん!」(宮原“Toyin”良太/Dr)というメンバーの言葉からも、スピードスターとの信頼関係が窺える。今年6月29日には、ジャム・バンドとしては初となる日本武道館ワンマン公演が決定している彼ら。「ロックニックの日って覚えてください!」と朗らかに呼びかける宮原の声に、熱い拍手喝采が広がった。ラストの「BEN」では柳下“Dayo”武史(G)がソロパートに「風の谷のナウシカ」のフレーズを忍ばせたり、芹澤がくるり「ばらの花」を弾いてみせたり……という自由度の高さも含め、たった3曲のアクトの中でその音楽的な可能性を存分にアピールしてみせた。

次は巨匠・細野晴臣。高田漣(G)、伊賀航(B)、伊藤大地(Dr/SAKEROCK)というメンバーとともに登場……したかと思いきや、「僕が歌う前に……今、高田漣のソロを制作中でしょ? スピードスターで出るんだよね?」(細野) 「あ、はい。夏に」(高田) 「2曲聴かせて。高田漣ユニットで」という会話とともに、3人を残してムーンウォーク調の後ろ歩きで退場する細野。そこで演奏された「野バラ」は、詩人・菅原克己の詩に高田が曲をつけたという楽曲。磨き抜かれた歌メロとギターのフレーズが、類稀なる彼の才気をリアルに物語っている。もう1曲は「僕のおじいさんの高田豊という人が大正時代に書いた詩で、それに僕の父親でフォークシンガーの高田渡が昔、曲をつけたことがありまして」という紹介とともに披露された「火吹竹」。高田の華麗なスライド・ギターのプレイが、静謐な音像に色鮮やかな響きを与えていく。「“制作中”とは言っても、まだ1音も録音してないんですけど(笑)」とMCで話していたが、来るべき新作への期待感を十二分に感じさせる内容だった。

ここで再びオン・ステージした細野、「珍しくピアノの前で」と話していた通り、前半はピアノ・スタイル。「I’m Going In A Field」で雄大なスケール感を描き出したかと思えば、「じゃあ、(デューク・)エリントンの即興を模倣したやつを……」の前置きで会場を沸かせて「Untitled」へ突入したり、「このステージのせいかもしれないけど、舞台ものの悪夢を見て。演奏してるんだけど、歌詞がないわけ。その辺に散らばってるんだけど、拾ってみると、居酒屋のメニューなの。これは『歌詞を覚えなきゃダメ』っていう夢だと思って(笑)」という話で爆笑を誘ったり……自由闊達な演奏とリラックスした語り口で、若いオーディエンスもぐいぐい惹き付けていくあたりはさすがだ。後半はアコースティック・ギターに持ち替えて「Cow Cow Boogie」からスウィンギンなブギー・コーナーへ。英語詞の曲が続いたところに「細野さん、日本語!」と観客から声が飛べば、「日本語? 忘れた(笑)。次の曲は英語でもない。スキャット」と返して「Tutti Frutti」へ。日本の音楽をリードしてきた音楽的なレンジの広さとその歌の包容力を、どこまでも爽快に伝えてくれたステージだった。ラストの「The House of Blue Lights」の後、再びムーンウォークで退場する細野に、会場がどっと沸いたのは言うまでもない。

3日間を締め括るのはくるり!「始めよか!」という岸田繁(vo,G)のコールから、「everybody feels the same」「ロックンロール」でいきなり会場を多幸感とクラップでいっぱいにしてみせる。岸田、佐藤征史(B,Vo)、吉田省念(G,VC,Vo)、ファンファン(Tp,Key,Vo)の4人に、サポートのあらきゆうこ(Dr)を加えた5人編成をコアとしつつ、「シャツを洗えば」からは権藤知彦(Euph)が加わることで、ファンファン&権藤がホーン隊となってさらに豊潤な響きを聴かせていく。「春風」のセンチメンタルなメロディも「argentina」のエキゾチックな躍動感も至って自然に鳴らしてみせる、まさに最高進化形の「今」のくるり。先ほどの細野のMCに応える形で「僕もね、悪夢を見るんですよ。武道館の打ち上げから帰って寝て、起きてギターを弾こうとすると、弦が豆腐でできてるんですよ(笑)」とフロアを笑いで包む岸田。「スピードスター20周年なんですけど、僕らメジャー・デビュー15周年です。大半をスピードスターと一緒に過ごさしていただきました」の言葉に、あたたかい拍手が広がる。「じゃあ、スピードスターでいちばん頑張った曲を……」と流れ込んだのは「WORLD’S END SUPERNOVA」。すべての音がファンファーレのように誇らしく響いた「ワンダーフォーゲル」。15年以上の付き合いになるディレクターのエピソードで笑いを誘った後、「今日でとりあえず最後なんです、ゆうこさんとは。またやるけどね、たぶんそのうちね。だから、気合いを入れて挑みますわ」の岸田の宣言とともに5人で最後に演奏したのは、メジャー・デビュー・シングルでもある名曲「東京」。全身から振り絞るような岸田の絶唱が胸を震わせる、感動的な場面だった。

鳴り止まないアンコールのリクエストに応えて、岸田、佐藤、吉田、ファンファン、あらき、権藤に高田漣を加えた7人で再登場したくるり。「スピードスターレコーズに来まして、みなさんとも会うことができましたし。ありがとう! そして、いいミュージシャンとの出会いもたくさんありました。高田漣!」と岸田。「1曲だけ、最新曲をやります。いい曲ができました」と披露したのは、iTunes限定配信リリースされたばかりの新曲「Remember me」。音楽の幸福感を結晶させたような歌とアンサンブルが、この最高の3日間と、この場に集まった人すべての「これから」を祝福するように美しく響いていた。

written by 高橋智樹

<SET LIST>

THEラブ人間
1.砂男
2.悪党になれたなら
3.アンカーソング
4.体は冷たく、心臓は燃えている
SPECIAL OTHERS
1.AIMS
2.PB
3.BEN

細野晴臣
1.野バラ(高田漣)
2.火吹竹(高田漣)

3.I’m Going In A Field
4.Untitled
5.Gradated Gray
6.Cow Cow Boogie
7.Tutti Frutti
8.The House of Blue Lights

くるり
1.everybody feels the same
2.ロックンロール
3.シャツを洗えば
4.太陽のブルース
5.春風
6.argentina
7.WORLD’S END SUPERNOVA
8.ワンダーフォーゲル
9.東京
en. Remember Me

<ライブ情報>
「SPEEDSTAR RECORDS 20th Anniversary Live 〜LIVE the SPEEDSTAR 20th〜」

★official HP
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https://twitter.com/speedstar20th

★YouTube
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●出演アーティスト  *出演順
THEラブ人間 / SPECIAL OTHERS / 細野晴臣 / くるり

●日程: 2013年1月20日(日) open 17:00 / start 18:00
●会場: Zepp DiverCity(TOKYO)

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