今年9月からTVオンエアが始まった、富士フイルム アスタリフトのCM曲が話題となっている。CMはちょっと懐かしいヨーロッパのSF映画風の映像で、登場する二人の大女優のキャスティングとともに大変注目度の高い作品となっているが、この美しい映像との絶妙なコラボレーションを聞かせてくれる楽曲が、アート・オブ・ノイズの「ロビンソン・クルーソー」である。
アート・オブ・ノイズとは、1980年代に活躍した、テクノ/エレクトロ・ポップのアーティストで、そのグループ名のとおり、日常にあふれる雑音の中から切り出した音を使って曲を作るなど、実験的なサウンドを生み出す音楽集団である。現在はグループとしての活動はおこなっていないが、彼らの音楽は当時多くのアーティストに影響を与えており、アヴァンギャルドでありながら、琴線に訴える音楽のツボをおさえた作品を数多く残している。
「ロビンソン・クルーソー」もそんな作品の一つだ。「ロビンソン・クルーソー」は言うまでもなく、イギリスの空想小説の古典で、無人島を舞台とした冒険物語である。アート・オブ・ノイズの曲は、1964年この小説がTVドラマ化された際に作られたテーマ曲のカヴァー・ヴァージョンだが、彼らのカヴァーではまさしく、フワフワとした浮遊感のなかに、どことなく不安を感じさせるような感覚を味わうことが出来る。この曲が、「アスタリフト」のCM曲に起用されているのだ。
テレビでオンエアが始まると、その映像美にマッチした曲の注目度が急上昇。第2弾CMがスタートした12月初頭、Amazonの「音楽のベストセラー」ランキングにて、「アンビエント」及び「エレクトロニカ」の2つのカテゴリーで、アート・オブ・ノイズのベスト・アルバムが1位になるなど、静かなブームとなっているのだ。曲を構成するシンセ・ストリングスはレトロ・フューチャーな音色で、フランソワ・トリュフォーあたりを思い起こさせる、60年代のSF映画のような映像と見事なハーモニーを見せてくれる。アート・オブ・ノイズの「ロビンソン・クルーソー」は1989年に発表されたアルバムに収録されていたが、原曲から25年後のカヴァー・ヴァージョンであり、更に23年後のいま、テレビCMで注目されているのは、偶然とはいえ何か運命的なものを感じさせられる。
ぜひこの懐かしけどモダンな「ロビンソン・クルーソー」を、チェックしてみて欲しい。
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