credit: 三吉ツカサ(showcase)
6月9日、ムックの日に、結成15周年を記念した15th Anniversary year Live「MUCC vs ムック vs MUCC」が千葉・幕張メッセ国際展示場ホール1〜3で行われた。
この日のライヴは、「1997〜2002−密室−」、「2002〜2007−死生−」、「2007〜2012−鼓動−」と、結成から5年ごとにブロック分けした3部構成で、4時間に及ぶライヴであることが事前に告げられていた。
そんなライヴの幕開けは、風の音とともにスクリーン一面に流れる雲が映し出される映像に重なるようにギターが鳴り響いた「輝く世界」。絡みつくようなベースとドラムが作り出す独特の世界観を目の当たりにし、一気に「2002〜2007-死生-」の世界へと引きずり込まれる。現在のライヴでも後半を盛り上げる大事な1曲として存在している「蘭鋳」では、イントロのギターに合わせて客席からの大きな”ハイハイハイ”という掛け声が響く。かと思えば、「はりぼてのおとな」「モンスター」など久々に演奏される曲では、1万2千人を収容した会場をモノクロな世界へといざなっていた。そんな一部のラストは、逹瑯(Vo)に投げかけられた「死ぬほど騒げ!」の言葉通り、会場が大きく揺れるほどの熱気で満たされた「大嫌い2006」で締められた。
ライヴとライヴの合間は、スクリーンに15周年を迎える彼らへのお祝いコメントが流されるなど客席への配慮も怠らない。先輩ミュージシャンから、親交のある後輩バンド、さらには今回のライヴ告知で渋谷を走ったラッピングトラック広告に出演してくれた出川哲郎さんからもコメントが寄せられ、バラエティ豊かなメンツでお客さんを楽しませていた。
第二部となる「1997〜2002-密室-」では、早着替えを施し、先ほどまでとは、まったく違う衣装で登場。「アカ」「絶望」「娼婦」という、この時代を象徴する3曲をたて続けに披露した。続く「イタイ手紙」では、スクリーンに歌詞が映し出され、視覚に”言葉”で訴えかけてくる。当時のライヴのスタイルを再現しようということで、カヴァー曲(今回は、BUCK-TICKの「JUPITER」)と「夢鳥三か条」という”おかし”の三文字を題材にしたあいうえお作文を披露したりとなごやかな雰囲気の時間をはさみつつも、ラストの「ズタズタ」まで11曲、歪んだ愛とねじれた感情が作り出す楽曲と歌詞が、彼らの原点であることを感じさせるブロックとなった。
credit: 三吉ツカサ(showcase)
そして、ラストとなる第三部では、最近のライヴではお馴染みのリズムが流れ、スクリーンに「ARE YOU READY TO DANCE
?」の文字が浮かび上がる。カラフルな照明がくるくるとまわり、緑のレーザーが客席を照らす中、シンセとバンドサウンドをマッチさせた最新曲「ニルヴァーナ」をはじめとする楽曲を次々と披露。SATOち(Dr)とパーカッション(ミヤ(Gt)が担当)のセッションという新しい試みをはさみ、「フライト」では、ファンへのメッセージが刻まれたメタリックカラーの銀テープが宙を舞って客席に届けられた。ラストナンバーとなった「流星」を歌い終えたあと、逹瑯の「ありがとう」を待たずに大きな拍手が沸き起こったことからも、この日のライブライヴが、オーディエンスの心に響くものだったかがわかるのではないだろうか。アンコールで呼び戻されたメンバーは、それぞれの心境を吐露。「自分が思っていたより、この会場は、2倍大きかった」というYUKKE(Ba)は、「そんな幕張の客席をムッカーで埋め尽くせてうれしい」とファンと喜びとわかちあい、ラストナンバーとなる「優しい歌」を1万2千人と大合唱をした。ラストは、「みんなのおかげで15周年を迎えられたと思ってます。これからも一緒に年を取ってカッコいいクソジジイ、クソババアになろうじゃないか!」という彼ららしい言葉で締めくくった。
始まったばかりの15周年を「人生でいえば、中学を卒業したばかりの思春期真っ盛り」とし、そんな思春期を迎えたばかりの彼らは「暴走」を宣言。「-MUCC 15th Anniversary year Live(s)-「97-12」と題したライヴハウスツアーを発表。さらに、この日3部構成で行われたライヴが1部ごとに新曲CD付きでパッケージ化され、8月22日発売の第1弾「死生」、9月12日発売の第2弾「密室」、10月4日発売の第3弾「鼓動」と3ヶ月連続でリリースされることになった。10月には、約2年ぶりとなるニュー・アルバムのリリース。そして、そのアルバムを引っさげたツアーの告知もされるなど、15周年を迎え、さらなる進化を遂げるであろう彼らの活動には期待が高まるばかりだ。