3月3日、香港にて“WORLD TOUR 2012”を開始したL’Arc〜en〜Ciel。全10カ国14都市17公演 を廻るこのツアーは、総動員数45万人を記録。3月25日にはアメリカ ニューヨーク Madison Square Gardenにて日本人初の単独公演を大成功に収め、大きな話題を呼んだことも記憶に新しい。国内アーティストの世界ツアーとしては、おそらく後世に語り継がれるであろう、前代未聞の巨大スケールで行われている。
そして5月12日。ヨーロッパ、アジア諸国を経由して、凱旋公演の初日が開催された。ここ横浜 日産スタジアムは、2002年日韓ワールドカップ決勝の舞台としても知られる日本最大のスタジアムである。開演前のステージ上は、前面がLEDパネルで覆われ、場内には静かにストリングスアレンジが流れている。定刻を少し過ぎた頃、BGMが止んでLEDパネルに映し出されたのは、世界各国で行われたライヴとオフステージの模様。その歓迎ぶりや熱狂ぶりを伝える映像は、今日のステージが“凱旋”であることを改めて認識させ、超満員の客席から自然発生的な拍手が湧き上がる。そして同時に飛び込んできたピアノの音色が拍手を大歓声へと変化させた。オープニングはこのツアーの1曲目にふさわしい壮大なドラマティックチューン「いばらの涙」。LEDパネルが左右に開くと、向かって右側にはフェンダーのオリジナルモデルをかき鳴らすken、3台のキャビネットをトリコロールカラーにレイアウトしたスピーカーから重低音を響かせるtetsuya、ハードウェア類に至るまで全てをブラックフィニッシュのドラムセットに新調したyukihiroがいる。そしてhydeがステージ最前線に歩み出ると、そこに最強の四角形が完成した。

「Come on! Japan!!」次々と繰り出される大ヒットナンバーの中、「GOOD LUCK MY WAY」のイントロで発せられたhydeの第一声だ。直後のMCでは、「何て言えばいいんだろう、ここは。ジャパン? 横浜? 日産?(笑)」と会場の笑いを誘いながらも、「ただいま。世界を廻ってきたよ。今日はすごいたくさんの人が来てくれて、いきなり涙目になってしまいました。やっぱり日本が一番良かったなと思えるような日にしたいんだけど、いける!? 」と語りかける。また、「『BUTTERFLY』っていうアルバムを出したんだけど、そのあとワールドツアーに出ちゃったんで、あんまり演ってないんですよね。もうすぐツアーも終わってしまうから、ちょっと今日は多めに演っちゃっていいですかね」と嬉しいひと言。これには客席が大声援で応える。というわけで、この日のライヴは最新アルバム『BUTTERFLY』収録曲はもちろん、歴代の数々の名曲に加え、「metropolis」など、久々のナンバーも披露された充実のセットリスト。イントロが奏でられるだけで、スタンドから大声援が巻き起こる新旧ナンバーの数々が、20年の歴史とバラエティーに富んだ彼らの音楽性の深さをくっきりと浮かび上げた。ライヴ中盤には、L’Arc〜en〜Cielならではのエンターテイメントな驚きが。これからのライヴをご覧になる方々のために詳しくは触れないが、お馴染みの爆笑CMや、客席最後方が最前列となるサプライズなども用意されているので、お楽しみに。

約3時間におよんだステージ。hydeのMC通り「多め」の演奏を締めくくったのは「BLESS」だった。場内からは大きな歓声が降り注ぎ、その声のひとつひとつは、凱旋を、またアニバーサリーイヤーを祝福するように優しく、温かい。待望の国内公演初日は“世界規模”のパフォーマンスに彩られ、7万5千人(!)を動員した巨大スタジアムが文字通り揺れていた。
迎えた2日目。本日も晴天なり。前述したように日産スタジアムは、周囲に緑地公園や各種スポーツ施設が併設された屋外型多目的競技場。それゆえ、時間の経過による空模様の変化も絶好のステージ演出となる。夕暮れに輝くあの曲や、宵のくちに似つかわしいあの曲など、その景色とマッチングされた楽曲が楽しめるというわけだ。加えて、野外だから可能な、ド派手な特殊効果が巨大会場を彩っていた。この日のライヴは、バンドとしてのまとまりがずば抜けて素晴らしかった。「Killing Me」など過去のアルバムからのナンバーはそれぞれのパートの音がはっきりと聞こえていながらも独特のうねりのある演奏で、例えばギターがハードでアップテンポ…ということとは次元が違う。圧倒的な演奏力による、パワーとスリル。「SHINE」のようなメロディアスなチューンはもちろん、「Pieces」のようなミディアムナンバーでこそL’Arc〜en〜Cielの持つ確かな技術力とタフな側面が露わになるようだ。

さらには最新アルバムからの楽曲が新鮮に響く。インプロヴィゼーションを思わせるが、その実、緻密に計算され尽くしたギターフレーズが天に突き抜ける「wild flower」、各パートのフレーズが複雑に、しかし絶妙に絡み合うアンサンブルを構築した「shade of season」など、アレンジ面で随所に工夫が凝らされていることが、ライヴの場で改めて実感できた。とりわけ、インターバルの後、tetsuyaのアップライトベースがクローズアップされた「未来世界」は秀逸。そのアコースティックムードな曲調に加えて、夜空と客席のサイリュームが天地に星空を作り、実にドラマティックでロマンティックな音空間を演出した。初日に引き続き、たっぷりと演奏された充実のセットリスト。何よりも楽しそうに揺れていた客席(初日と合わせて15万人を動員!)が、ライヴの大成功を物語っていた。ステージ上のメンバーも、すれ違いざまに顔を見合わせて微笑む姿が幾度となく見受けられ、コンディションの良さがうかがえる。
この日、hydeのMCの言葉を借りれば、「こうやって日本に帰ってきたら、みんなが温かく迎えてくれるっていうのは、ホント幸せなバンドやなと思いました。みんな綺麗だよ」と。また、「L’Arc〜en〜Cielは、まだこれからも続く」と語ってくれた。ワールドツアーは残すところあとわずかだが、この後、バンドがまだまだ加速していくことは間違いないだろう。ステージの去り際、「国立で待ってます」とhydeが語ったとおり、L’Arc〜en〜Cielはこの後、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン 野外特設ステージ(5月19日、20日)、そしてロックバンド初の東京 国立競技場(5月26日、27日)公演を開催。国内最終公演ともなる東京 国立競技場は、“20th L’Anniversary year”を締めくくるライヴとして、“WORLD TOUR 2012”とはひと味異なるスペシャルな演出も期待される!世界各国を熱狂させてきたL’Arc〜en〜Cielの待望の国内公演。世界規模のパフォーマンスに今後も注目したい。

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