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Para:noir、全力で駆け抜けたラストライヴ。その美しい散り際。

音楽

ついにこの日を迎えてしまった。Para:noir LAST ONEMAN LIVE “nihilism.”。

この日のライヴをもって活動終了を発表した Para:noir。2009年の活動開始から精力的に活動を続け、全国の多くのファンにその圧倒的な魅力と強さを誇ってきた。その Para:noirがこの日をもってその活動を終える。いつも心待ちにしていた Para:noirのライヴ。しかしこの日だけは、まだ来ないで欲しいという複雑な思いが初めて頭をよぎった。ラストライヴのリハーサル。メンバーは気負うことなく一つ一つ細部にまでこだわり、サウンドとバランスを組み立てていく。開場し、ファンが押し寄せる熱気溢れる Para:noirの最後の舞台。ついにその舞台の幕が開いた。

SEとともに、前方スクリーンに Para:noirの精神世界を表すメッセージが映され、1曲目「nihilism.」のイントロとVo.茜の歌声が響き渡る。影絵となって映し出されるメンバー。直後、ラストライヴの幕が文字通り切って落とされ、最後の瞬間に向けて時は動き始めた。

ラストライヴかどうかは関係なく、ステージで疾走し続ける Para:noir。そのパワーは、常に限界を超えようとするいつもの素敵な Para:noirだった。ここまでサポートを務めてきた Dr.匠(UnsraW)のグルーヴ溢れるドラミング、全身を貫く重低音でバンドを支える Ba.相沢翔、華麗な出で立ちでステージを動き回る Gt.悠哉、にこやかに鋭いリフとフレージングを繰り出す Gt.暁-satoshi-、そして全身全霊を込めて観客と対峙するフロントマン Vo.茜。MC無しでストイックに攻撃的にたたみかける Para:noir。会場のファンも腕を振り上げ、ヘッドバンギング、モッシュと力の限りそれに応える。バラードも交えたバリエーションで多彩なステージングを見せ、走り抜けた本編は早くもラストの曲「Amaryllis」へ。全力で演奏を終え、無言でステージを去るメンバー。ファンも分かっている。ここからが本番なのだ。アンコールの大絶叫が途切れることなく続く会場。SEとともにラフなスタイルで登場するメンバー。再び全力の演奏に入る Para:noir。茜が久々の MCへ。

「ラストワンマン nihilism. 第二幕。ここからが Para:noirだ!言っとくけど、ここからはめっちゃキツイぜ。まだ半分だからな」
「行けるか東京!!!!」

再び全力で応える会場のファン。茜の言葉通り、ハイテンポな楽曲をこれでもかと繰り出す彼ら。アンコールからが Para:noir。さすがであった。会場は全く負けずに動き、叫び、頭を振り続ける。中でもお馴染みの「infinite∞numbness」での掛け合いは、ステージとファンの熱気が会場を埋め尽くした圧倒的な迫力であった。本編11曲に対して 13曲を突っ走ったアンコール。最後の曲「THE VIRTUES」でそのステージを終えた。

しかしここでもライヴは終わらない。再びアンコールの大歓声に応え登場したメンバーを迎える会場。再度ハイスピードで突っ走る Para:noirとともにライヴを作り出すファン達。メンバーが次々と客席にダイヴし、ライヴは最高潮の盛り上がりへ。そしてついにその時が訪れた。アンコール 2回目、最後の曲を迎える。ここまで全力で突っ走ってきた茜が会場に向かって語りかける。

「次が最後の曲。Para:noirが終わる時です。お前らがいくら叫んでも Para:noirは戻って来ない。だから今日、お前らの記憶に焼きつくように叫ぶから、同じライヴに、同じ空間にいたことを誇りに思おう」

「行けるか!!!!」

会場は悲鳴にも似た絶叫に包まれ、最後の曲「Merciless sorrow-666-」が始まった。全ての力と思いをぶつけ合うメンバーと観客。激しく過激な演奏と楽曲。しかしその中には、ステージと会場の両方から伝わる悲痛な叫びが確かにあった。

全ての演奏が終わった。言葉にならず立ちつくすメンバーと、悲鳴と嗚咽が溢れる会場。ファンに精一杯の感謝の言葉を伝え、ステージを降りていくメンバー。匠が、悠哉が、相沢翔が、暁-satoshi-がステージを降りる。そしてメンバーにありがとう、ありがとうと言い続けるファンの姿。最後に、茜が思いを込めて、Para:noirからの最後の言葉をマイクを使わずに会場に向かって絶叫した。

「ありがとう!!!!」

茜がステージを去った。スクリーンには、メンバー一人一人からファンへのメッセージが映し出される。そして画面に映る Para:noirの文字が一文字ずつ消えていく。最後の文字が消えた時、多くのファンに愛された Para:noirは静かにその時の歩みを止めた。文字通り心血を注いで来たバンドを自らの手で終わらせる、そこには一言では表せない様々な思いが詰まっていただろう。しかし、Para:noirはそこから逃げることなく真正面から向き合い、自らの手でその最期を迎えた。美学を貫き通した、美しい散り際であった。活動終了はもちろん寂しく悲しい。しかし、その場に一緒に居られたことは幸せなことであり、誇りに思う。

これから様々な道を歩んでいく Para:noirのメンバー達。Para:noirをこんなにも愛してくれた多くのファンがいてくれたことを、あなた達は誇っていい。そしてあなた達が必死になって作り上げてきた Para:noirという存在は、ファンの記憶の中に確実に残り続ける。あなた達とファンが作って来たものは、他の誰でもない、あなた達だからこそできたものなのだから。

Text: 大泉 繁

Para:noir LAST ONEMAN LIVE “nihilism.”
2012.4.30 SHIBUYA O-WEST

01. nihilism.
02. ANTI+CHRIST anthem
03. Good morning,MOTHER fxxker
04. I want to die
05. blindness MARIA
06. paradox
07. 瓦解
08. December 24.
09. the code number[13.]
10. PROMINENCE inc.
11. Amaryllis

E.C.
SE. John Doe
01. Cosmos(full ver.)
02. SCREAMING PARTY!!!
03. taste of the rust
04. irony
05. BLEADEAR
06. FOOLISH STEREOTYPES
07. FOOLISH STEREOTYPES
08. Mogaz
09. 失くした両手
10. 刈ルベキ華ヨ刻キタレリ
11. infinite∞numbness
12. the RED
13. THE VIRTUES

E.C.2
SE. Jane Doe
01. S.K.P
02. $how time in the [xxx]
03. Merciless sorrow-666-

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