昭和3年(1928年)、今も多くのシンガーに歌い継がれる「青空(マイ・ブルー・ヘヴン)」と、「♪沙漠に日が落ちて〜」の歌い出しで知られる「アラビアの唄」の二大ヒットにより、日本ジャズ史の幕を開けたと言われる伝説のシンガー・二村定一(ふたむらていいち)。
喜劇役者、ボードビリアンとしても一世を風靡し、その独特の風貌と歌唱、パフォーマンスで、現代でも熱烈なファンを獲得している稀代のエンターテイナーの全貌が、その評伝とCDのリリースで初めて明かされることになりました。
『沙漠に日が落ちて 二村定一伝』(毛利眞人著・講談社)は、前著『ニッポン・スウィングタイム』(講談社)の好評を受け企画された、同著者による戦前昭和ジャズ本の第二弾。膨大な資料を読み解き、SP盤から聴こえて来る音色に耳をすまして、戦前ジャズメンたちの姿を活き活きと描いた前著『ニッポン・スウィングタイム』から約1年。第二次大戦後、進駐軍が来るはるか前から日本のジャズは輝いていたとし、昭和文化史の書きなおしを迫った気鋭の筆者による待望の新著です。
「昭和はなにも『三丁目の夕日』だけではない。物心ともに豊かで、多彩な文化を誇った“戦前”という時代がある」、その戦前モダニズムの夢の世界への「扉を開けるのが、時代の象徴としての二村定一」なのだと筆者は述べています。
同時にリリースされたCD『私の青空〜二村定一ジャズ・ソングス』(ビクターエンタテインメント)には、前述の「青空」「アラビアの唄」の他、二村の全盛期の魅力たっぷりな歌を網羅した全26曲を収録。伝記とあわせて聴くことで、時代の象徴としての二村定一を堪能できる選曲となっています。
なお、このCDは、戦前昭和に花開いたモダンな音楽を、レコードメーカー4社共同でリリースしている「ニッポン・モダンタイムス」(http://www.nippon-mt.com/)シリーズ全8タイトルの最後を飾る作品。
同シリーズは、戦前レコード文化研究家で“ぐらもくらぶ”を主宰する保利透氏等によるTwitterやUSTREAM公開イベントでも話題になっていますが、イベントに出演した音楽ライターの柳樂光隆氏は、「日本における『オシャレな音楽』の本質って、戦前から何も変わっていないんだなと。こっちの方がオシャレかもだけど」とコメントを寄せています。
ほぼすべてが日本語で歌われ、日本のシティー・ポップスの源流とも言える戦前ジャズ・ソング。その名曲名演が一挙にリイシューされた「ニッポン・モダンタイムス」(http://www.nippon-mt.com/)シリーズにも、ぜひあわせてご注目下さい。
<1月25日リリース>
『沙漠に日が落ちて 二村定一伝』(毛利眞人著・講談社)
定価:¥1,890(本体価格1,800) ISBN978-4-06-217391-9
『私の青空 〜二村定一ジャズ・ソングス』(ビクターエンタテインメント)
解説:毛利眞人 全26曲収録 VICL-63839 定価¥2,520(税抜価格¥2,400)
<シリーズ全8タイトル発売中>
[レコードメーカー合同企画]
ニッポン・モダンタイムス 〜日本のスウィング・エラ1928-1941
シリーズ監修:瀬川昌久
企画・監修:高橋正人、保利 透、毛利眞人
http://www.nippon-mt.com/