今年も「何か」を巻き起こしてくれそうな国民的ラッパーKREVA。2011年の幕開けとなるシングル「挑め」を2月16日(水)にリリースにあたり印象的な宣伝を展開していました。それがアナログ的な手法とも言えるアドボードを使っての意味深な広告です。1月16日(日)より渋谷センター街に、3曲目のフィーチャリングアーティスト名が意図的に隠された巨大な看板が設置され、「KREVA今度は誰とやるのだろう」と話題となっていました。というのも この看板は『くればいいのにfeat.草野マサムネfromSPITZ』(2007年6月)をリリースした際に草野マサムネとのコラボレーションを発表した、ファンにとってはメモリアルボードであったからです。前回はこのボードにアーティスト名を追加してコラボレーションを発表しましたが、今回はオフィシャルサイトでスリーショット写真を発表というデジタル手法で衝撃的なニュースが発表されました。
KICK THE CAN CREW(活動休止中)のメンバーLITTLE、MCUの二人がKREVAの楽曲に参加しています。『「3」と言わない縛りで作ったこの曲を、この3人でやったらヤバイし トラックから声が聴こえてきたから』というKREVAの思いに、2人も快く応えました。「KREVAは『リトルはこうだから、こういうのが良いんじゃない?』とか、あんまり他のトラックメイカーには言ってもらえない様なことも言ってくれるし、懐かしくて、新鮮で良い時間だった。」(LITTLE)、「メラメラと心が燃えました。なのでソッコーリリック書きに挑みました」(MCU)とコメントしています。約7年ぶりの3人のマイクリレーによる作品です。気になるこの楽曲ですが KREVAがレギュラーを務めるラジオ・レギュラー番組 『J-WAVE「RADIPEDIA」』(81.3 /毎週火曜 24時〜26時)の2月1日放送で世界初オンエアーされる予定です。
それではこのRemixについても追加されている『挑め』インタビュー原稿をお届けさせて頂きます。
2010年9月15日、キャリア初のミニ・アルバムにして、新たな音楽世界を創出した『OASYS』をリリース。10月13&14日、その『OASYS』を軸にさらなるライヴ・パフォーマンスの進化を具現化し、小室哲哉をキーボーディストとして招いたことでも大きな話題を呼んだ武道館公演『意味深3』。あれからKREVAは、相も変わらず止まることなく制作を続けていた。「もう、毎日曲を作ってやろうと思って。ひたすらスタジオで制作していました。だから、武道館とかも遠い話っていう感覚があって。そんな日もあったよね、みたいな(笑)」
そして、KREVAの2011年が幕を開ける。「挑め」というニュー・シングルとともに。これがもう、リスナーの胸をすくような楽曲なのである。タイトル、トラック、リリック、フロウ??そのすべてにラッパー・KREVAの遊び心と凄みが全開になっている。ダイナミックかつキャッチーに浮遊するシンセ=OASYSから生み出したループ。このループを軸に、自由度が高いからこそスキルが際立つフロウをもってライムが刻まれていく、格別の昂揚感。まさに“ディス・イズ・KREVAのラップ”である。ただ、『OASYS』を経て、こういうタイプの曲をシングルにもってきたのは、予想外でもあった。シンセのループには『OASYS』以降の感触を覚えるが、こんなにもラップを強くフィーチャーした曲をシングルとしてリリースする意外性は、多くのリスナーも感じるところだろう。
「俺自身もスタッフサイドも“いい歌”を作りたい、作ってほしいという思いがあったんです。まずはそこに向けて曲を作っていたんですけど、あるときスタッフサイドから“今度はラップの曲を聴きたい”という要望があって。最初はそれまでの流れがあったから“え?”ってなったんですけど、でも期待に応えたいから、そこからラップを意識したトラックを作りはじめて。それでできたのがこの曲なんです。歌にフォーカスを当てた曲も今後発表していきたいと思っているんですけど、この曲を作ったことであらためてラップっていいなと思ったんですよね。そう思えたことは、結果的にすごくよかったです」
そう、KREVAだからこそ大きく、広く、強く、表明できるラップのダイナミズムがある。「ラジオを聴いていたら、ちょっとイラッとするくらいダサいラップが流れていて。“これはちょっとマズいな”と思ったんですよね。スキルを見せつけるようなラップをシングルで出すことで、リスナーにはラップのカッコよさを感じてほしいし、ダサいラップをしているやつらにはボディブローを打っておこうかなと。あと、こういう曲をシングルでリリースする姿勢をもっているのも俺のチームのいいところだと思うから」
刺激的な言葉遊びを展開していった先に、自らの生き様や信条が表れ、それがまたメッセージとしても機能するリリックには、こんなテーマがある。「とにかく“3”って言わないっていう(笑)。前から“なんで三度目の正直? 一度目から最高であれよ”って思っていて。あと、“仏の顔も三度まで”とか、日本のことわざとかには3がつくものが多いなと思って。それをあえてひたすら言わないという言葉遊びですよね。たとえば〈俺は東京事変より能動的〉というフレーズも、東京事変の『能動的三分間』がすごく好きだから、そこから“三”を取って、っていう。だから、俺自身は、リリックで自分のことを書いたという感覚があまりないんですよね。この曲はとにかくラップってカッコいいなって思ってもらいたいです」
カップリングには、高野寛が1990年にリリースした名曲「ベステンダンク」のカヴァ?を収録。OASYSとヴォコーダーを駆使し、原曲よりセンチメンタルな色合いが増したアレンジを施している。「リリースされた当時から好きな曲だったんですけど、あらためて歌詞を読むと今の自分にフィットしていたんですよね。この曲はコードがすごく難しくて。アレンジの作業はかなり時間がかかったんですけど、それもまた勉強になったし、楽しかったです」
そして。M3に収録される「挑め Remix」には、このふたりをフィーチャリングしている。LITTLEとMCU! そう、“あの3人”のそろい踏みである。あれから7年、KREVA、LITTLE、MCUがソロ・ラッパーとして「挑め」という曲のもとに集った。3人のマイクリレーから、それぞれの現在進行形を感じてほしい。
「曲のテーマが“3”じゃないですか。だから、リミックスをこの3人でやったらおもしろいと思って。それと、いちばんの理由は、このトラックからLITTLEとMCUの声が聴こえてきたことで。草野マサムネさんとの『くればいいのに』のときもそうだけど、その人の声が聴こえてきたらオファーしてみることが大事だと思っていて。だから、今回も自分自身でいきなりふたりに電話したんです。そしたら、ふたりとも快諾してくれて。MCUはトラックを送った次の日にリリックを書いてくれたんですよ。それをLITTLEに言ったら、LITTLEもすぐに書いてくれました」
レコーディングも3人だけで行ったという。「純粋に3人だけで作業したいと思ったから、エンジニアも呼ばずに俺が録ったんです。メジャー・デビューしてからは3人だけで作業したことなんてなかったから、新鮮でしたね(笑)。ふたりとも曲のテーマをしっかり理解してくれて、おもしろい感じにラップを仕上げてくれたので。楽しんで聴いてもらいたいし、話題の曲になったらいいなと思います」また、初回盤のDVDには『意味深3』より小室哲哉が参加した『OASYS』パートのライヴ映像を収録。こちらも、ぜひ見逃さないでほしい。最後に2011年、KREVAが何を見据えているかを語ってもらった。こんな言葉もまた、KREVAにしか吐けない。「このシングルがいい感じのパッケージになったと思うので、ここから連発で作品を投げていきたいですね。そして、売れたい。みんな不況だって言いたがっている気がするから、俺は大きな声で“儲けたい”って言いたいですね。リスナーに届かないのは不況のせいじゃない、そいつのスキルがないだけだと思うから」
ライター 三宅正一(fixed)
■KREVA / 挑め
■発売日:2011年02月16日(水)/PONY CANYON
■初回盤【CD(紙ジャケット)+DVD(トールケース)】
¥2,900(tax in) / PCCA-04210
■通常盤【CDのみ】
¥1,050(tax in) / PCCA-04211
■収録曲:
■CD(初回盤&通常盤 共通)
M1:挑め
M2:ベステンダンク
M3:挑め Remix feat.MCU & LITTLE
-bonus track-
M4:挑め(inst.)
M5:挑め(TV ver.)
M6:挑め(Acappella)
■初回盤特典DVD
OASYS in 意味深3@日本武道館
■ J-WAVE RADIPEDIA
J-WAVE(81.3 FM) 火曜24:00−26:00 http://www.j-wave.co.jp/original/radipedia/
2010年1月にスタートしたラジオ番組「RADIPEDIA(ラジペディア)」。現代社会にあふれる「正解の無い疑問」をリスナーとアーティストが一緒に考える番組です。KREVAは火曜ナビゲーターを務めています。
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