完全に明らかになっているのはその声のみ。いまだ多くがベールに覆われた『十五少女』の最新シングル「何度死んでも構わない。だから」が、本日リリースされた。今作は、終わらない夏の終わり:8月32日に発売が予告されている死をテーマにしたE.P.「HATED(DEATHのアナグラムになっている)」からの第4弾先行シングル。
作詞・作曲・編曲を手掛けたのは『かいゑ』。2020年代的なバンドが奏でるデカダン(退廃的)なサウンドを基調に、浮遊音が意識を遥か遠くへと運ぶプリコーラス、エレピをフィーチャーしたJazzyなインタールード、ポエトリーリーディングなアプローチまで、終始分類不可の斬新な発想で破壊と再構築を繰り返したギターロックとなっている。共同プロデュースを手掛けた『sfpr』のFZのシングルコイルのストロークと『IIVU』のJunkoの這う様なベース、伊田知リンの気怠い透明声の生み出すアンニュイなグルーヴが、悲劇的な詞世界のピカレスクをさらに疾走させる。
今作は、HATED第2弾「君が死んだ日の天気は」のアンサーソングにもなっている。大切な “キミ” を亡くした側から書かれた抒情詩であった前々作には、死に対する本質的な怒りと諦めが漂っていた。人に限って本当の死とは、肉体がこの世から消え去ることではなく、残された人々の心の中から忘れ去られること。『忘却』という残酷な真実の前で、主人公が力無く空に祈る言葉(願い)が切なかった。同時に、それは残された者に与えられる『許し』を予感させた。悲しいかな、人は忘れ去り・忘れ去られる事で再び前を向いて生きて逝ける。今作では、先立つ側からその『真実(残された人々の心の中から自分が忘れ去られていく事)』に対する未練だけではなく『諦め(許し)』が語られる。人は皆、忘れ去る事で再び前を向いて生きて逝ける。「振り向かないで」と(残された)主人公を突き放すキミの言葉は、残された人々が変わらない過去を抱いたまま、変わっていく未来へと踏み出す先を照らしてくれる。
十五少女が歌うのは、大仰なメッセージでも理想的な愛でもない。多感な時期を普通に生きる若者が感じている「言い様のない不安」や「行き場のない焦燥」など、ありきたりに見えて非常な日常の機微に寄り添った『ミクロ・ミュージック』と呼ばれる些細な大事だ。夏の終わりに向けて5作連続でリリースされてきた「HATED」シリーズも残すは2作。その旅路の先にあるのは絶望か希望か・・・死というある種のタブーへと冒涜的にも迫る十五少女の代弁から耳が離せない。
■「何度死んでも構わない。だから」Leak Video(限定公開):
【information】
十五少女
6th Single(1st E.P. HATED からの先行シングル第4弾)
「何度死んでも構わない。だから」
2021年8月18日 配信限定リリース
Linkfire:https://15shoujo.lnk.to/therefore
【アーティスト:十五少女 PROFILE】
大人になる瞬間があるって、信じてるのは、子供だけだ。15人の仮想少女からなるジュヴナイル・コミューン。アーティストとしては、2021年4月1日という嘘が許される日にメジャーデビュー。終わらない夏の終わり:8月32日にファーストE.P.「HATED」をリリースすることが発表されている。存在しないはずの時間軸で、この世界とよく似た世界に存在する “誰か” の “場合” を代弁する。
Twitter:https://twitter.com/15shoujo
Instagram:https://www.instagram.com/15_voices/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC0X2iA5Y4jaSeI9DFSqjJdA
【作詞・作曲・編曲:かいゑ PROFILE】
2020年5月に突如インターネットに現れた新進気鋭の音楽家。美を至上とする「耽美」という言葉さえ陳腐に感じられるピアノは単に美しいのではなく、人間社会の「理想と現実」や「怒りと許し」あるいは「畏怖と解放」などを内包したかのように心の内深くにまで響き渡る。
Twitter:https://twitter.com/cahievo
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCVHPTisQmrAc3-whhP3G4Rg
【Co-Produce / ギター:FZ(sfpr / Radical Hardcore Clique ) PROFILE】
いち早くエレクトロとロックの融合を図ったバンド『sfpr』のVo./Gu.として活動する一方で、『Radical Hardcore Clique』名義では安室奈美恵やFEMMの楽曲プロデュースやDiploのリミックスを手掛けながら、世界的なビッグイベントで音楽監督を務めるなど全方位に異彩を放つ音楽家。
sfpr Twitter:https://twitter.com/sfprjapan
Radical Hardcore Clique:https://twitter.com/RHC_japan