毎年クリスマスになると聴きたくなるようなアルバムを作れたら
──10月9日に東京・BUNKAMURAオーチャードホールで開催された「10th Anniversary Grand Finale ~The Request Live~」は、リクエストで選ばれた曲たちを見事な構成で紡ぎ、最後まで惹き込まれました。超満員の観客は年齢も幅広く、小さいお子さんから「メイちゃーん!」と可愛い声援も飛んでいましたね。リクエストライブはいかがでしたか?
デビュー10周年イヤーのファイナルを飾るライブでしたけど、あの日のためだけに皆さんから沢山のリクエストをいただき、そこから選曲しリハーサルをしてMCを考えてと、1回限りというのはもったいない気がしましたね。皆さんが聴きたいリクエスト曲から作った、今までに無いセットリストが凄くいいなって今も思います。バンドのメンバー全員が同じ気持ちでしたし、打ち上げでは「このセットリストでツアー周りたいね」「1回だけというのは本当にもったいないね」と話していました。でも、1回限りだからスペシャルなんですよね。
──そのライブで今回の『Christmas Songs』のリリースを発表し、そして「サンタクロースメドレー」を披露されました。どういうキッカケからクリスマスアルバムを制作されたんですか?
クリスマスソングが大好きで小さい頃から歌っていたので、ずっと以前からクリスマスアルバムを作りたかったんです。また、自分の好きなアーティスト、例えばデスティニーズ・チャイルド、クリスティーナ・アギレラ、ステイシー・オリコもクリスマスアルバムを発表していて、毎年クリスマスの時期になると聴いていました。だから、私も毎年クリスマスに聴きたくなるようなアルバムを作れたらいいなと、ずっと思っていたんですね。ただ、クリスマスシーズンに合わせるには夏ぐらいから制作しなければならないし、アルバムの制作中だったりすると同時進行は出来ないから、なかなか実現できませんでした。そんな中、今年は次の作品を考えるタイミングで「時期的に今だったら間に合うんじゃないかな?」ということになり、念願のクリスマスアルバムが制作できたんです。
──いつ頃から制作をスタートされたのですか?
夏ぐらいからアイデアを出して、選曲をしてアレンジを考えて。それでもレコーディングが始まったのは10月からだったので、結構ギリギリでしたね(笑)。リクエストライブのリハーサルの時に、最初に「サンタクロースメドレー」をレコーディングしました。
──スタンダードナンバーを中心に構成されていて、クリスマスの定番になりそうな作品です。さらに、アップテンポありバラードあり、ゴスペルあり美しいコーラスワークのアカペラありと、May J.さんの多彩なボーカルが堪能できる1枚になっています。それで1枚を通して聴いているうちに、「家族で過ごすクリスマス」の風景が頭に浮かびました。子供たちと賑やかにパーティーをして、その後お子さんを寝かしつけて夫婦二人きりでゆっくり過ごすようなイメージでした(笑)。リクエストライブの観客の年齢層が幅広かったので、そういうことも意識されたのかと。
多くの皆さんが知っていて一緒に歌える曲を中心に選んでいます。子供向きの曲もあれば、大人が楽しめる曲も、良い具合のバランスになったと思います。
実は、収録曲のほとんどは、私が小さい頃から家族のクリスマスパーティーで歌っていた曲です(笑)。父が弾くピアノに合わせて皆で一緒に歌ったりしていました。当時は英語で歌うことが多かったのですが、今回の『Christmas Songs』は、子供から大人まで皆さんが楽しく聴けて、そして歌っていただけたらいいなと思い、日本語と英語の両方で歌っています。
普段歌うキーよりも少し高めの設定で
──1曲目の「サンタが町にやってくる」はビッグバンドのゴージャスなサウンドで、笹路正徳さんがアレンジを担当されています。笹路さんにアレンジをお願いした理由をお聞かせいただけますか?
何度も仕事をご一緒して、私のことを理解してくれていますし信頼できるからですね。前作シングルに収録されている「Can’t Take My Eyes Off You」もアレンジをしていただきましたが、その時に続き、今回も一発録りをしたんです。笹路さんも「一発録りは気分が上がる」と言ってくださったので、それならもう1回やろうと(笑)。
でも、やっぱりレコーディングは緊張しますね。ビッグバンドのホーンセクションの方々が吹きやすいというか、ホーンの音が映えるキーがあるんです。今回はそのキーに合わせて歌っています。だから、私が普段歌うキーよりも少し高めの設定で、サビは全力で精一杯歌いました(笑)。転調も普通は半音上げですけど、それが1音上げになっています。すごくキーが上がるんです。
──普通は歌う方のキーに合わせるのではないですか?
笹路さんが「キーによって音がすごく変わる」とおっしゃって、より良い作品を作るためにホーンのキーに合わせました。私の歌が心地良く聴こえる範囲と、ホーンセクションの音が一番映えるところを探っていって、普段より少し高めのキーになりましたね。
──続く「サンタクロースメドレー」はパーティー感溢れる始まりですね(笑)。
「It’s Christmas Time!」って(笑)。本当にクリスマスパーティーをしているような、バンドの皆と一緒に楽しく過ごしているような雰囲気を出したかったんです。私のライブに来たことのある人は、あのバンドメンバーと一緒にやっているんだなって想像できると思います。冒頭の英語は「サンタから何が欲しい?」と問い掛けています。その質問に皆が一斉に答えているから何を言っているか良く聴こえないかもしれませんが(笑)。
──ライブでもギターを弾いているSho Kamijoさんのアレンジです。多彩なギターサウンドですが、ライブのバンドメンバーが演奏をされているんですか?
リクエストライブの時と同じバンドメンバーが演奏しています。メドレーですけどこの曲も一発録りなんです。途中でリズムが変わるのですが、最後の「ジングルベル」の歌に入る前だけリズムが無いので、そこは歌に入るタイミングを取るのが難しかったですね。
──May J.さんのライブを観たことが無い方でも、このメドレーは楽しく聴けると思います。
『Christmas Songs』を聴いてくれた皆さんが、この曲の雰囲気を楽しんでくれたら嬉しいです。
──DVDには、今お話しを聞いた2曲のミュージックビデオが収録されています。どのような作品に仕上がりましたか?
2曲のストーリーが繋がっています。「サンタが町にやってくる」はレコーディングブースで歌っているんですが、途中でサンタクロースがいる気配を感じるんです。「あれ!?サンタが此処にいるんじゃない?」って(笑)。いないんだけどいるような気がするっていう演技をしています。そこからブースの中にプレゼントがあることに気付いて…と展開していきます。その終わりから「サンタクロースメドレー」へとストーリーが繋がっているんです。「サンタクロースメドレー」は、部屋の中でバンドメンバーの演奏で歌ったり、ダンサーと一緒に踊ったりしています。
──2つの映像作品がどのようなストーリーで繋がっているのか気になりますが、撮影はいかがでした?
「サンタが町にやってくる」はレコーディングと一緒に撮影しました。「サンタクロースメドレー」は撮影日を設けて、シッカリとミュージックビデオを作ることだけに専念しました。3曲のメドレーですけど、曲が変わるタイミングで途切れている感じを出さずに、映像も全部が繋がっているように見せたかったんです。だから、基本的にはメドレーの中の1曲をまるまる撮影する感じですね。部屋から部屋へ移動して行くところも、カメラを止めずに撮影してもらっています。さらに、ちょっとした早変わりも、今までにやった事が無かったので新鮮でした。皆でケーキをデコレーションしたり、少し食べちゃったりとかして(笑)。そういうイタズラをしたり楽しかったですね。
讃美歌とゴスペルの両方を取り入れたアレンジ
──オリジナルの新曲「Wish Forever」は優しい歌声が耳に残りますが、クリスマスアルバムに向けて書き下ろしたのですか?
実は2~3年ぐらい前から温めていた曲です。メロディも歌詞も出来ていて、仮歌を入れていた状態でずっと残していたんですね。あとは本番のレコーディングをするだけで「どのタイミングでリリースしよう?」と。冬らしいというか、心が温かくなるような歌詞ですし、クリスマスアルバムにマッチしていると思って、今回発表することが出来ました。
メロディも歌詞も自分の中に残っていたので、こういう風に歌いたいというイメージが自分の中で成長していたと思います。だから、仮歌からは全く雰囲気も変わっていますし、より大人っぽくなっているように思います。歌詞がすごく可愛らしいんですけど、それを大きな愛で包み込めるような、そういう風にイメージして歌いました。熱く歌う曲ではないと思うんですよ。暑苦しくなってしまうので(笑)。そこをあえて抑えて歌うようにしましたね。
──メドレーがもう1曲入っています。「Christmas Medley」は全て英語詞ですね。
この3曲は英語で歌ったほうがカッコよく仕上がると思いましたね。
──恥ずかしいことに「LET IT SNOW! LET IT SNOW! LET IT SNOW!」は知りませんでした。昔から歌い継がれているスタンダードナンバーなんですね。
「Let It Go」とは関係ないです(笑)。でも、ご存じなかったと聞いて思いましたけど、この曲は海外の人が歌うイメージかもしれないですね。日本でも街中では流れているかもしれませんが、誰もが歌うような曲ではないかもしれないです。
──そして、今冗談で出た「Let It Go」ですが、今作では「Christmas Gospel Ver.」として新録されています。クリスマスムードたっぷりの鈴の音から厳かに始まり、後半はゴスペル調で壮大に盛り上がります。
ハモンドオルガン奏者のトップの方と、その方と一緒に演奏されているドラムの方に参加していただいたのですが、2人の演奏が本当に凄くて。是非聴いていただきたいです。
──ゴスペル調の後半は圧巻です。
クリスマスといえばコーラス隊というか、教会のイメージがあります。それで、讃美歌とゴスペルの両方を取り入れたアレンジになっています。始まりは静かに歌うイメージで讃美歌ですよね。そこから後半はゴスペルのようにハンドクラップをして盛り上がる流れになっています。歌詞は、お子さんも歌えるかなと思ったので、日本語バージョンにしたんです。
──本当に幅広い年齢層が聴いて歌えて楽しめる1枚です。リクエストライブで10周年イヤーを締めくくり、さらにクリスマスアルバムで、また1つ念願が叶いました。11年目のスタートに向けて、2017年の抱負をお聞かせいただけますか?
リクエストライブでピアノの弾き語りをやりました。4年ぶりぐらいかな(笑)。そういう機会をもっと増やしたいと思っています。また、自分で作曲したりとか出来たらいいなって思います。作曲の経験はありますし、作品も発表していますけど「Interlude」とかなんです。今までまるまる1曲を自分で作詞、作曲したことは無いから挑戦したいなって。そして、2017年も、ファンの皆さんが喜んでくれることを考えて活動していきたいですね。
1. サンタが町にやってくる
2.サンタクロースメドレー[赤鼻のトナカイ ~ ママがサンタにキスをした ~ ジングルベル]
3. Wish Forever(オリジナル新録曲)
4.Christmas Medley[JOY TO THE WORLD ~ LET IT SNOW! LET IT SNOW! LET IT SNOW! ~ WHITE CRISTMAS]
5. I Believe~手をつなごう~ with May J. クリス・ハート『Song For You Ⅱ』より
6. Let It Go ~ありのままで~ [Christmas Gospel Ver.]
7. Silent Night
8. [Bonus Track] All I Want For Christmas Is You
〈DVD〉
・サンタが町にやってくる
・メドレー[赤鼻のトナカイ ~ ママがサンタにキスをした ~ ジングルベル]
・I Believe~手をつなごう~ with May J. (LIVE映像:『クリス・ハート 日本武道館 LIVE 2016 僕はここで生きていく~ 47都道府県Tour 2015-2016 ~続く道~ FINAL ~』より)
【CD情報】
[CD]
ミニアルバム
発売:2016.11.16
RZCD-86212
rhythm zone
1,800(税抜)
[CD+DVD]
ミニアルバム
発売:2016.11.16
RZCD-86213/B
rhythm zone
2,500(税抜)
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日本、イラン、トルコ、ロシア、スペイン、イギリスのバックグラウンドを持ち多彩な言語を操るマルチリンガルアーティスト。
幼児期よりダンス、ピアノ、オペラを学び、作詞、作曲、ピアノの弾き語りをもこなす。
圧倒的な歌唱力とパワフルかつ澄んだ繊細な歌声、そして前向きでポジティブなメッセージが共感を呼び、幅広い世代から支持を受けている。
2006年7月12日ミニアルバム「ALL MY GIRLS」でメジャーデビュー。
記録的な大ヒットで社会現象にもなった、2014年公開のディズニー映画「アナと雪の女王」の日本版主題歌を担当。
同年の第65回紅白歌合戦に初出場。
2015年1月には自身初となる、日本武道館の単独公演を開催。