──昨年11月リリースの前作『YES』のメールインタビューで、宍戸さんが「現在更に新しい曲も沢山作っています」とおっしゃっていたとおり、2ndフルアルバム『Time To Go』は、『YES』から半年足らずというハイペースでのリリースになります。『Time To Go』の制作は、いつ頃、どのようなところからスタートされたのでしょうか? また、今作の制作にあたって、特に意識した、こだわったのは、どのようなところですか?
宍戸 翼(Gt/Vo):昨年9月、『YES』のマスタリングが終わりました。3人とも曲を作り、9月中に新しい曲をスタッフさんに聴いて貰い始めて、10月には今作のプリプロに…。
まずは食らいつくことから始まり、次第に次はより吹っ切れたアルバムを作りたいと思って行きました。自分達が好きなルーツ音楽のエッセンスを気兼ねなく入れる事、新しく挑戦する事、BPMを落としめで作っていく事、名曲だけのアルバムにする事でした。
──『Time To Go』というアルバムタイトルは、どのように決められたのですか?
美代一貴(Dr):このアルバムは、前作『YES』の延長線上にあるという認識から、始まりました。
実際に収録曲を作って、出揃っていく過程で、メンバーそれぞれ言葉を持ち寄り、それをスタッフさん含め、協議して考えていきました。たくさんの候補が出しながら、ボツになり(笑)、それを繰り返しながら、イメージも全員一致し始めました。
そんな中で、最終的に僕が出した『Time To Go』に決まりました。
決意の瞬間だったり、出会いや別れの瞬間を切り取った曲が揃ったこと。
つまり「今、この瞬間」にかける気持ちを後押ししたいということ。
今のバンドのモードや心境を、このタイトルに込めました。
──収録曲そしてアルバムのリード曲は、どのように決められたのですか?
宍戸 翼:最初の質問で言ったように、曲ネタを持ち寄って、スタッフさんと共に皆んなで聴いて話して、こんなアルバムなら、こんな曲だよねと、イメージを拡げてまとめて、としていきました。リード曲は最もポップだった「ファンファーレ」になりましたが、それこそ振り切ったポジティブさを持った楽曲だったので、どう聴かせるか、どんなメッセージを載せるか、本当にこれをやるのかと、皆んなで悩んだものでしたが、今ではとてもお気に入りの曲です!
──今回のレコーディングは、いかがでしたか?
西田裕作(Ba):今回は今までで一番多くのベースを使って、音を吟味しながら録る事ができました。
楽曲もストレートなロック、ファンクの様な16分でスラップをするもの、細かいけど大きく流れるリズムなど様々なノリのものがあるので、グルーヴを掴むのが大変でした。
美代一貴:特に印象に残っているのは、個人的には、「butterfly (in my stomach)」と「After party lululu」という曲です。
「butterfly (in my stomach)」は、バンドの攻めまくりなアンサンブルと、今作で一番リズムアレンジを詰めた曲です。拍のアタマにアクセントを置かないビートをベーシックに据えたり、曲が進むごとに違うリズムパターンを仕掛けたり。間奏部分のアレンジなどは、宍戸が作詞に時間を当てている間、ベースの西田とスタジオに入って、リズム隊から組み上げていきました。
とにかく、リズムの面白さを追求しました。
ここまではプリプロ段階で固めていたのですが、レコーディング本番では、更に即興演奏が飛び出してきたりして、とてもスリリングでした(笑)。個人的に、もともと即興演奏というものが大好きなので、それをこうして曲に落とし込めたのは、本当に嬉しかったです。それによって、曲の熱量が更に上がったように思います。
「After party lululu」に関しては、40インチの大太鼓を叩いたことです。初めての経験だったのですが、音の空間がすごく広がって、最高のアレンジが施せたと思っています。
──それでは、収録曲についてお聞きします。アルバムのリード曲となる1曲目の「ファンファーレ」は、「拝啓皆様僕は今日から迷いを捨てました」という歌い出しが印象的ですが、詞曲は、いつ頃作られたのですか? また、作詞をされた宍戸さんご自身も、何か迷いを吹っ切ったのでしょうか?
宍戸 翼:曲は9月中に出来ていたと思います。10月からはポップなこの曲を僕たちがどうプレイするか、そこを意識したプリプロを始めて、カッコイイ曲に出来そうだなと思ってから、歌詞をはめていきました。今作は春にふさわしく僕達の新しい一面や、強気な一面、少々ふざけた一面などを見て貰いたいと思っていたので、愉快な言い回しは意識しました。結果僕の中で最もポジティブな歌詞でも、僕の性格もよく表せた歌詞になったと思います!迷いを捨てられたんだと思います(笑)。
──「ファンファーレ」はミュージックビデオを撮影されていますが、どのような作品に仕上がりましたか? また、撮影はいかがでしたか?
西田裕作:楽曲の持つ明るさというか、開けた感じが出せたと思います!前に進むイメージで臨んだのですが、終わってみたらシールドを踏みすぎたようで、壊れてしまいました。
──2曲目の「butterfly(in my stomach)」というタイトルが目を引きますが、曲名は、どんなところから発想されたのですか?
宍戸 翼:この曲はリズム隊がスリーピースでここまでやっていいのかというくらい奇想天外でアクの強いプレイをしていて、伴奏だけとって聴いていても充分楽しめる曲だと思っていたので、歌詞は語弊を恐れず言うとなんでもいいなって思って、今までになかった、浮わついた感じのストーリーを描きました。結果全然浮わついてない様にも感じますが(笑)、新たな書き方が出来たと思います。このタイトルは日本語で言うなら、愛情と憎悪を込めて「尻軽女」といった意味合いです。
──「butterfly(in my stomach)」の他にも、例えば「ギブ・ミー・チョコレート」や「スタンドアローン」など、歌詞の内容を暗示、示唆する曲名(曲名が必ずしも歌詞のフレーズではない)が多いような印象も受けました。ケースバイケースかとは思いますが、制作のどの段階で曲名を付けられることが多いのでしょうか?
宍戸 翼:タイトルはほとんどの楽曲、一番最後に決めています。歌詞が先に完成して、そこから感じられる内容から、名づけています。今まではタイトルはそこまで重視せず歌詞の一節から付けたりしていましたが、今作は積極的に、映画のタイトルを考える様に改めて考えたタイトルを名付けています。
「ギブ・ミー・チョコレート」は「ご褒美くれよ」とか「優しくしてね」といったイメージで、「スタンドアローン」はたった一人で立ち尽くす様、「天涯孤独」といった様なイメージです。
──今作ではドラムの美代さんが、「まっすぐに」、「ラストワルツ」の2曲の作詞を手掛けています。昨年1月リリースの1stフルアルバム『WHATEVER WILL BE, WILL BE』の収録曲「白雪」は宍戸さんと美代さんの共同作詞でしたが、今回、2曲の作詞を手掛けて、いかがでしたか? また、「まっすぐに」、「ラストワルツ」の歌詞は、いつ頃、どのように作られたのでしょうか?
西田裕作:「まっすぐに」も「ラストワルツ」も、どちらも、曲の原型は昔からありました。
美代一貴:「まっすぐに」はもう3年前くらいにありました。「すべての『衝動』を肯定する」というテーマです(前作『YES』のテーマと近い部分でもあります)。日々のやるせない気持ちを解放するような、湧き上がる熱狂を、すべて肯定したいという思いと、僕の好きな夜の風景描写を織り交ぜつつ、自分なりの解釈で表現した曲です。自分自身に宛てて書いた部分もありますが、聴いてくれる人の背中を後押しするような曲になると良いな、と思います。
なかなか収録を許されなかった曲でしたが、今回収録することが決まって、そこで改めて歌詞を再構築し始めました。ずっとワンコーラス分はできていましたが、イメージはあるものの、その先の具体的に詩になかなか落とし込めず…更にディレクターさんからもなかなかOKをもらえず、苦戦して、ギリギリまで絞り出して、書き上げた曲です。
「ラストワルツ」は、別れ、遠く離れていった人、過ぎ去っていった日々を想う曲です。それに沿いながら、どんどん書き上げていきました。こちらも、自分自身に宛てて書いた部分もありますが、聴いてくれる人の救いになるような曲になると良いな、と思います。
もともと車を運転している時に浮かんだメロディが元で、それがサビになり、録音した鼻歌をメンバーに聴いてもらいながら、足りない部分は宍戸君にメロディを作ったりしてもらいながら、スタジオで形にしていきました。自分の思う曲のイメージと、歌詞を、きちんと一致させることができました。
作詞にあたっては、どちらも、歌い回しであったり、宍戸が歌う上で「これはどうしても…」という部分をクリアする作業が多かれ少なかれあります。「白雪」は、いわゆるインディーズ時代の再録曲ですが、それよりもっと前のデモの段階の「氷菓子」という仮タイトルの時点では、宍戸がワンコーラス分の歌詞を書いていました。その後、僕がフルコーラス分の歌詞を書かせてもらったのですが、それが今の1Aの部分に残っているという話が『WHATEVER WILL BE, WILL BE』の再録の際に出たのと、当時のマネージャーに押し切られ、共同作詞という形になりました。つまり、すべて書き切ることができなかった部分があって、それがずっと心残りでした。
今作の2曲は、そういった部分が結果的になく、自分の中で書き切ることができました。
ドラムを演奏する他に「歌詞を書く」という方法で、僕が曲に落とし込みたいイメージをより明確に、ダイレクトに形にすることができたように思います。
それを本当に嬉しく思っていますし、The Cheseraseraの持つ「幅」として、聴いてもらう人に楽しんでもらえたら良いなという気持ちです。
──そして、ラストナンバーの「After party lululu」は、静かな出だしのギターソロにベースとドラムが続くイントロから、次第に盛り上がる壮大なアレンジ、そしてラストの余韻が耳に残る印象的な1曲ですが、アレンジはどのように進められたのですか? また、レコーディングはいかがでしたか?
宍戸 翼:この曲は元々弾き語りの楽曲で、非常にシンプルなワンコーラスがありました。アレンジは、この曲にある浸りがちな部分を、むしろロマンチックに壮大に描こうという発想があって、美代君や僕がシューゲイザーが好きなルーツから、こういったアレンジが生まれて行きました。ダイナミックなコーラスや、途中で鳴る大太鼓など、様々な狙いが功を奏したアレンジになったと思います。大事な曲です。
──2ndフルアルバム『Time To Go』を通して、リスナーにどのような想いを伝えたいですか? もしくは、どのようなところに注目して聴いてもらいたいですか?
宍戸 翼:出会いや別れ、決意の瞬間を切り取った、聴きごたえと聴きやすさが共存したアルバムだと思います。4月新年度を迎えての不安を期待に、過去の後悔を美しい思い出に、変えていけるアルバムだと思います。皆にとってもそういった名盤として響くと思うし、自分達にとっても作る音楽の力をまた一回り大きく出来た、大切なアルバムになりました。
──そして、2ndフルアルバム『Time To Go』を引っ提げ、6月3日よりリリース・ツアーがスタートします。今回のツアーに向けての抱負をお聞かせいただけますか? また、「うたまっぷ」において2016年最初のインタビューとなりますので、今年の抱負、目標もお聞かせいただけますでしょうか?
西田裕作:これまで同様、もしくはそれ以上にあつい気持ちを届けたいと同時に、今までで一番音楽的というか、演奏に重きを置いたグルーヴィーなライブをお届けしたいです。
美代一貴:リリースツアーはワンマンツアーで、とにかくたくさんの時間をお客さんと共有できると思っています。とにかく楽しんでやりたいなと思います。
今年の抱負としては…とにかく飛躍したい、バンドも自分自身も高めていきたいです。
そのためにやれることを、ひとつひとつクリアしていきたいです。
毎年同じ感じなんですが(笑)。
宍戸 翼:去年の喉不調を経て、自分の今までのキャパシティを自覚し、生活や歌い方、色んな事を見つめ直しました。身を無闇に削った表現の良さもありますが、今出来ている演奏はそれもひっくるめた最善のものだって自分で感じてます。ワンマンライブは、深い世界観に浸れる一回の長い尺の中で自分が成長する瞬間を味わえる貴重な物だと思います。それを今回ツアーという形で各地でやっていけるのがドキドキするし、お客さんにもきっと同じくこの高揚感を味わってもらえると思います。ぜひ、遊びに来てください。
4. まっすぐに
5. ギブ・ミー・チョコレート
6. seen
7. ラストワルツ
8. Lullaby
9. スタンドアローン
10. AIR PLANE
【CD情報】
アルバム
CROWN STONES
発売: 2016.04.06
CRCP-40454
2,667(税抜)
CD購入
オフィシャルサイトはコチラ!
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Zher the ZOO YOYOGI 11th Anniversary
2nd Full Album「Time To Go」リリース記念
The Cheserasera presents 歌い手冥利につき LOST IN TIME編
4月09日(土) Zher the ZOO YOYOGI LOST IN TIME編
The Cheserasera
y’s presents『貴ちゃんナイト vol.8』
2016.05.07 [Sat]下北沢 CLUB 251
GREAT3 / 菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)/ The Cheserasera
MC:中村貴子
The Cheserasera 2nd full album「Time To Go」発売記念インストアライブ
4月23日(土)広島アリスガーデン(即売:タワーレコード広島)
5月14日(土)タワーレコード津田沼店 店内イベントスペース
5月22日(日)タワーレコード渋谷店4F 店内イベントスペース
6月2日(木)タワーレコード仙台パルコ店 店内イベントスペース
The Cheserasera “Time To Go Tour”
★全公演ワンマン&来場者特典あり。
6月03日(金) 仙台 Flying Son
6月05日(日) 札幌 SPIRITUAL LOUNGE
6月11日(土) 福岡 Queblick
6月18日(土) 大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
6月19日(日) 名古屋 HUCK FINN
6月26日(日) 東京 WWW
■料金:前売 3,000円 / 当日 3,500円(税込/ドリンク代別)
■発売:4月9日(土)
※各公演の詳細、最新のLIVE情報はOfficial HPをご確認下さい。
http://www.thecheserasera.com/
2009年、東京にて前身バンドを結成。
2010年2月26日、渋谷屋根裏との共同レコ発企画を開催。同日、1st demo『夜も消えない』をリリース。
2010年11月21日、初自主企画『曇天ケセラセラ』を開催。バンド名を「The Cheserasera」に改名。
2011年4月15日、渋谷屋根裏にて、レコ発自主企画を開催。同日、2nd demo『empty,empty,dream』をリリース。
2011年12月、rockin’on presents『RO69JACK COUNTDOWN JAPAN 11/12』の入賞アーティスト16組に選出される。
2012年5月3日、渋谷屋根裏にて、レコ発自主企画を開催。同日、3rd demo『さよなら光』をリリース。
2013年3月22日、下北沢SHELTERにて、初のワンマンライブを開催。チケットソールドアウト。
2013年10月9日、タワーレコード限定1st Single『Drape』をリリース。
2014年1月8日、初の全国流通盤となる1st Mini Album『The Cheserasera』をリリース。
2014年6月4日、Mini Album『WHAT A WONDERFUL WORLD』でメジャーデビュー!
2015年1月14日、メジャー1st Album『WHATEVER WILL BE, WILL BE』をリリース。
2015年11月18日、メジャー2nd mini Album『YES』をリリース。
2016年4月6日、メジャー2nd Full Album『Time To Go』をリリース。