また、映画館TOHOシネマズ初の試みとなる“TOHOシネマズメッセンジャー”に大抜擢され、音楽活動以外での活躍も期待されるなど、急激に注目を集めている。
今までの“宇宙兄弟”のテーマソングは、メロディーやサウンド面でとても爽やかな印象があったので、今回この曲を使って頂けるというお話を伺ったときは、とても嬉しかったのと同時に、すごくビックリしましたね。この曲はすごくマイナーコードを多用していて、決して爽やかな曲ではなかったので(笑)。
ただ、この曲がオンエアされる期間のストーリーを全体で考えると、ある意味ハマっているのかなと思えて、放送される度にストーリーと深く繋がっていけたらな、と思っています。
歌詞は、主人公である“日々人”と“六太”の兄弟でいうと、“六太”目線だと思います。自分で盛り上がっては、自分で盛り下がってしまう六太の不器用さが重なりますね。
今回はデビュー作のc/wに収録されている「無表情」に続いて、江口亮さんにプロデュースして頂いたんですが、当初はアレンジがもうちょっとストレートなサウンドだったんです。
ライブやスタジオリハーサルでこの曲を何度か演奏していく内に、僕が段々とラテン音楽の要素を足していって、色々と試行錯誤していく内に現在のイントロのフレーズだったり、リズムが出来てきて。
ある程度固まってきた段階で、それらを踏まえてもう1度江口さんにアレンジし直して頂きました。
この曲は安全圏にいくより、振り切った方が逆に“まとまる”と思っていたので、それが形になって今はほっとしています。
“to Iじゃないや”の部分は、まさにそのまんまなんですが、ここ何年か“自分自身への得や利益”を追求するよりも、“自分以外への得や利益”を追求したほうが、結果的に自分自身にも返ってくるものが多かったと思えた事が何度かあって。
“自分だけで終わらないもの”っていう明確なテーマがあった中で浮かんできたのが“手”だったんです。
僕自身そうなんですが、人ってやっぱりどこか欲張りで、色々やりたい事があっても、結局そんな行動力はなかったりする。
結局それをやる為に何かするかっていうと、いつも“願う”ことだけだったんですよね。
願うこともすごく大切な事だけど、それ以上にやっぱり何かを叶える為には行動しなきゃいけない。だから“自分自身”と結ばれているこの手をほどいて、いつかは何かを掴み、守る“手”にしたい。そこからは“手”にひたすらこだわって書きました。
サビの歌詞にもありますが、あくまで、2つではなく1つ。2つあるけど1つ。というところにこだわって、“手と手”のように“複数”じゃなくて、“単体”にしたかったんです。だから繋げて「テテ」。
これ、意外と説明しないと伝わらないんですけどね。
デビュー曲の「フルール」もそうですが、昭和歌謡にインスパイアされてずっと楽曲を作ってきたので、その流れの中で“アップテンポ”に初めて挑戦した曲でもあります。
コード進行も2コードを繰り返したり、サビが2段階あったり、Dメロの展開、僕の中でも珍しい…というかとても変な構成なので、僕じゃなきゃこんな変な構成にはならないだろうなぁと。
この構成に対しては、自分にしかできないだろうっていう根拠のない自信があります(笑)。
本当に“手”が沢山の場面で出てくるし、“手”が鍵になってきます。
フィンガーダンサーとして活躍されている【K.E.N-DIGIT】さんの超絶パフォーマンスにもぜひ注目して下さい。この曲の意味とか歌詞をめちゃくちゃ把握してくれた上で動きも考えてくれているので、細かいところまで見て欲しいですね。
今回のリミックスはtofubeatsさんにお願いしたんですけど、まず自分の曲をリミックスして頂く事自体が初めてだったので、“どうなるんだろう”とワクワクしてましたね。
tofubeatsさんから届いた楽曲を聞いた時の率直な感想は、僕自身がソングライターとして自然に培ってしまった“固定観念”を持っている事を痛感しましたね。まず曲の“沸点”と、“ピーク”の解釈の仕方が凄いなと。それはテンションのウェーブ感もそうですし、“予想させない”展開を不自然じゃなく実行する事がこんなにカッコイイのかと。オリジナルのサウンドもしっかり活かされていますので、そこにも注目して欲しいですね。
人それぞれにキャパシティがあると思います。何個も何個も抱えようとすると、持ちきれなくなって、1番大事にしたかったはずのもが溢れていく。そういう事が僕の中で何度もあって。
結局自分が成長して大きくならないと、キャパシティも大きくはならない。そんな中で、本当に大事にしたいものをまず大事にする事が、自分を成長させ大きくする最大の方法なのかなと。
大事なものを大事にする、っていうすごくシンプルな事が難しくなってきてしまった時代ですけど、シンプルであるための、1つの切っ掛けになったら嬉しいです。
【寂しさとは「哀しさ」じゃなく 幸せに寄り添う「願い」のよう。】っていう歌詞があるんですけど、誰かが居なくなった隙間って、誰かが居てくれた居場所でもあって、幸せと寂しさが共存する空間なんですよね。それをダイレクトに言葉にできたこの部分は、ある意味この曲の芯かもしれません。
語尾ってなかなかピックアップされにくい言葉なのかもしれませんけど、言い切れない美しさとか、言い切れないから残されるものってあると思うんですよね。
それがこの言葉に凝縮されているのかなと。…って言ってる側から使ってますね(笑)。
プロデューサーの江口亮さんと相談して、この曲が出来る前から、ピアノ&アコギ&チェロっていうシンプルな構成でレコーディングしたい、という話をしていて。
歌の居場所を“近く”にするために、そういう手法をとったんですけど、メロディーラインはそこを意識して“息”が伝わる音域を中心に組み立てました。
聴く人それぞれの“寂しい”という思いを浮かべながら聴いてみて欲しいですね。
企画としてすごく面白そうでしたし、この様なお話を頂いた事はすごく光栄でした。
ただ、自分は役者ではないし、どういう風に取り組んでいくのか、不透明な部分が大きかったんですが、監督から“演技をするとミュージシャンの空気感がなくなってしまうので演技をするな”っていう話をして頂いて。
何度かやったシーンも最終的に演技が自然だったものではなく、いかに“普通”に、近藤晃央であることが出来るか、という事を追求したテイクがOKになりました。だから個人的に演技をした部分はほとんどありませんでした。一般的なお芝居として考えたら、毎回それで良いとはもちろん思えないんですけどね。“表情”や“声のトーン”が、あまりにも素の自分だったので、映画館で見たときは、単純に“いつも通り”感情があまり表に出てきていない無頓着な自分が、自分ではない状況に在るような不思議な感覚でした。
最近改めて“バグダッド・カフェ”を観たら、以前観たときよりも更に良かったですね。
人間関係の相違性を分かりやすく表現していて、展開やペースも質感もすごく好みです。
「Calling you」(挿入歌)のような映画に密着した名曲が存在するのも、映画と音楽の関係性が深いものだと改めて感じさせられましたね。
抱負としては“目的”を見失わないこと。
活動面では、アルバムを出して、ツアーをやる事です。
アルバムは既に制作に取りかかっているので、早くお知らせできる日が来ると良いなと思ってます。
●「テテ」発売記念ミニライブ&サイン会
①2012/12/5(水)
会場:名古屋ナディアパーク 2階 アトリウムイベントスペース
開演:18:30〜
観覧方法:フリー
②2012/12/7(金)
会場:愛知県アスナル金山
開演:18:30〜
観覧方法:フリー
●oricon Sound Blowin’ 10th Anniversary Supported by NTT西日本
公演日:2012/12/08(土)
会場:渋谷AX
開演:15:00
入場:招待制
●FM AICHI presents STAND UP
公演日:2012/12/23(日)
会場:ell.FITS ALL
開演:18:00