Cheeky Parade6周年記念ツアーの東京公演が、2月18日に東京・WWWにて開催された。大阪と名古屋と、会場に熱狂を生み出してきたチキパ。ファイナルでは、本ツアーで初披露された新曲に加えて、現状を鑑みた上でのメンバーの熱い想いが語られるなど、不屈の精神で闘い続ける5人の感情を爆発させたステージが展開された。
メンバーだけでなく、スタッフもまた寝れない夜を過ごしたというファイナル前日。大阪と名古屋の公演を受けて、セットリストもイチから組み直して臨むなど、彼女たちのこの日にかける気合いと緊張、覚悟は相当なものであった。
東京公演の第一部。1曲目は、5人で作詞した「Answer」。体制が新しくなった2017年の夏以降、自分たちの信念とともに、“覚悟”を決めて活動してきた5人。それが正しかったのか、間違いだったのかはわからないまま、不安や、時に絶望とも直面し、いくつも悩み、いくつも傷つきながらも平然な顔をしてここまで歩んできた。「6周年ツアーが開催できるとは思っていなかった。」という言葉は、決して大げさではない。暗中模索と試行錯誤を経て、彼女たちの今があった。闘い続けた毎日の中で、5人が感じた悔しさ、悲しさ、不安、葛藤、それでも信じたい気持ち。すべてを詰め込んだのが、この曲だ。
「このツアーで私たちなりの答えを見つけられれば」と、彼女たちが初日に語っていたツアーのファイナルは、こうして幕が上がった。
公演では、「無限大少女∀」「C.P.U !?」「M.O.N.ST@R」、そして今年の夏フェスで一帯を席巻した「Hands up!」といった会場の熱量を一気に引き上げる“これぞチキパ”な楽曲から、「僕らの歌」「Mighty Girl」「JUMPER JUMPER」「marigold」など、5人体制になってから制作された楽曲まで全17曲を披露。加えて1部では、鈴木友梨耶、渡辺亜紗美、島﨑莉乃の3人がアコースティックバージョンで「SUPER STAR」を、関根優那と永井日菜が、同じくアコースティックバージョンで「SKY GATE」のハーモニーを響かせるなど、“聴かせるチキパ”でも魅了する。
永井日菜が「次の曲は、広い心で受け止めてください。」と話しての、もうひとつの新曲「I Don’t Care」。真っ赤に染まったステージで、HOME MADE 家族のKUROが綴ったリリックを借りてチキパが一斉に牙を剥く。その歌詞に返り討ちにあった人もいたかもしれないが、これもまた今の彼女たちのスタイル。少女はいつまでも少女のままではない。それは、第2部の中盤に放映された、デビューからの足取りを追った映像からも明らかだった。
激しい熱量を保持したままで、ほぼノンストップで行なわれた本ツアー。各地の2部のみ、5人は観客からのアンコールに応えた。東京公演のアンコール、それは本ツアーの最後の曲であり、Cheeky Paradeの6年間の活動を締めくくる楽曲。その曲を前に、メンバーを代表して、島﨑莉乃が語りかける。
6年間の中でいろんな人にいろんなことを言われて、信じて裏切られて人間不信になったこと。5人体制になって、自分たちの中で何かが変わり、その活動に光が見えたこと。そして「このツアーで私たちなりの答えを見つけられれば」と話した言葉の“答え”とは、“ステージに立つこと”だったこと。この場所を諦めたくないという想い。
瞳から涙を溢れさせながら「私たちを信じてください。みなさんを信じるから、私たちを信じてください。」と訴える彼女の姿に、会場中は静まり返り、そして、暗闇に飲まれた客席のいたるところから鼻をすする音、涙をそっと拭う音が聞こえていた。
最後の曲として5人が披露したのは、このファイナルのオープニングナンバーであり、今の彼女たちにとって、一番強い想いが込められた曲、「Answer」。涙を振り切らんと、力の限りのダンスを見せる渡辺亜紗美。位置移動で交差する際、MCでの涙もそのままに曲に入った島﨑莉乃の背中を関根優那が笑顔でポンと叩く。鈴木友梨耶と永井日菜は、己の感情に流されることなく凛とした表情で完璧なステージパフォーマンスで魅せる。普段は誰かの振りをきっかけに5人が動きを合わせるこの曲のフリーダンスの個所では、誰ともなくステージ上に集まって、5人は円陣を組むように、輪になって抱き合う。「諦めたくない……。」という言葉が聴こえてきそうなほどの胸を締め付けられるような光景の中、感情の昂ぶりがついに抑えきれなくなったのか、さっきまで笑顔だった関根も、続く「後悔なんてしない」のフレーズが涙で歌えない。その背中に笑顔で駆け寄って、手を伸ばして支える渡辺と永井。
どんなことがあっても、このメンバーで支え合う。「私たちは、私たちを信じる。このメンバーは、私を裏切らない。」と、島﨑は名古屋公演のMCで、そう口にした。まさにこの言葉を彷彿とさせるテージに、目の前が滲んでぼやけつつも、力の限りの声援を送るオーディエンス。“フェスのチキパ”とも呼ばれた彼女たちだが、それとはまた違ったベクトルでの強烈な熱狂と一体感を生み出し、目撃したすべての人たちの心に、ひとつの想い── この場所をなくしてはならない。という想いを残して、5人は晴れやかな笑顔で光に包まれたステージを降りた。